【新日本】安田優虎、直訴のシングルで玉砕も「夢は憧れを超えること」高橋ヒロムから受け取った魂と入場テーマ

新日本プロレスは2月8日、大阪・大阪府立体育会館・第2競技場(エディオンアリーナ大阪)にて『Road to THE NEW BEGINNING』第8戦を開催した。

第1試合に組まれたのは、2月11日をもって新日本プロレスを退団する高橋ヒロムと、ヤングライオン・安田優虎によるシングルマッチだ。

この一戦はヒロムの退団発表を受け、その背中を追い続けてきた安田が「最後に闘いたい」と直訴したことで急きょ実現した。ヒロムにとっては、この日のセミファイナルと合わせてのダブルヘッダーとなるが、未来ある若手のために快く受けて立った形だ。

入場から会場はどよめきに包まれた。スピーカーから流れてきたのは、現在のヒロムの曲ではなく、かつて彼がヤングライオン時代に使用していた入場テーマ曲。リングの周りを全力で走って入場するその姿は、15年前の「高橋広夢」そのものであった。

ゴングが鳴ると、安田はあふれる感情をぶつけるようにエルボーを連打し、ドロップキックで先制。しかし、ジュニアのカリスマとして時代を築いたヒロムの壁は厚く、そして高い。安田のボディスラムをカウント1で返すと、挑発的に安田の頭を突き飛ばす。

安田が必死の形相で放つ逆水平チョップを無表情で受け流したヒロムは、「来いよ!」と叫び、自身の胸を突き出す。踏みつけられても声を張り上げ、安田の闘争心に火をつけようとする王者の振る舞いを見せた。

試合中盤、ヒロムの「教育」は激しさを増す。「休むな!」と檄を飛ばしながら安田の張り手を受け止めると、倍返しの強烈な一撃で安田を殴り倒す。連続フォールでスタミナを削り取り、髪を掴んで「気持ち出せよー!!」「気持ち出して来いよ!」と絶叫。それは単なる攻撃ではなく、プロレスラーとしての魂の叫びを要求するものだった。

安田も必死に食らいつくが、ヒロムは「新日本はな、新日ジュニアはな、そんな簡単なモンじゃねぇんだよ!!」と吠え、強烈な逆水平チョップで安田を黙らせる。最後はボディスラム2連発から逆エビ固めでガッチリと絞り上げ、貫禄の勝利を収めた。

試合後、ヒロムはリング上でマイクを握り、安田への想いを語った。 「安田ーーっ!! 安田!! ありがとう。安田、俺に憧れてくれて、ホントにありがとう」 感謝を口にしながらも、プロとしての厳しさを説くことを忘れなかった。 「まあでも、申し訳ないけどさ、まだまだだよ。な? まだまだだ。自分がよくわかってるだろ? 悔しいだろ? ムカつくだろ? イライラするだろ? その気持ちだよ! その顔だよ! いまのその顔を! みんなに見せろ! な! 全部の試合で! いまの感情を出すんだよ、わかったか!!」 安田が「ハイ!!」と応えると、ヒロムは「いやあ、まるで15年前の高橋ヒロム君を見ているようで、このあとが楽しみになりました」と目を細めた。

そして、ヒロムは安田に対し、予想外の「罰ゲーム」と「プレゼント」を与えた。 「ということで、安田君。罰ゲ~~~~ム! まあ、俺は去ってしまうんだよ。俺も新日本プロレスから出てしまうからさ、高橋ヒロムという名を、みんなが忘れないように、絶対に言い続けること。わかりましたか? みんなが忘れないようにね、言い続けること。そしてもうひとつ! 俺がヤングライオンのときに使ってたこの入場テーマ、あげるよ」 自身の原点とも言える入場曲を安田に継承するというサプライズに、場内からは大きな拍手と歓声が沸き起こった。

 

バックステージで安田は、ヒロムの退団を知った際の衝撃的な胸中を明かした。 「クソ……自分が高橋さん……ヒロムさんに……アァクソ!退団の話を聞いた時、自分は迷わず新日本プロレスを退団することを覚悟してました」 憧れの存在の後を追って退団することさえ考えていた安田。しかし、今は違う決意を固めていた。

「だけど、今、自分に必要なことは新日本プロレスで経験を積んで、一流になって、いつかヒロムさんを超えることです。自分の夢は憧れを超えることなんで、いつかまたやりましょう。ありがとうございました」

その時、コメントスペースにヒロムが姿を現した。 「オォ、安田! 元気よくいけよ、元気よくな! 誰よりも元気よくいけ! 高橋ヒロムよりも! 元気よくいけよォ!」 去り行くヒロムからの最後のエールに、安田は涙をこらえながら「はい!」と何度も力強く答えた。

新日本プロレスを去る者と、その意志を継いで残る者。

大阪の第2競技場で交わされた魂のバトンタッチは、安田優虎というレスラーの未来を大きく変える転換点となるだろう。

<写真提供:新日本プロレス>

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