【大日本・FREEDOMS】菊田一美&杉浦透、BJWタッグ王者が語る流血の美学「誇り高き競技としてのデスマッチなんだということを知ってもらいたい」

デスマッチ――それは、プロレスというジャンルの中でも一際異彩を放つ、過激で危険な闘い。

蛍光灯が砕け散り、血しぶきが舞うリングには、日常では決して味わうことのできない「生と死の狭間のエクスタシー」が存在する。

現在、日本のデスマッチシーンを牽引する二大団体がある。「大日本プロレス」と「プロレスリングFREEDOMS」だ。

歴史と伝統を重んじ、プロレスリングの基礎の上に狂気を乗せる大日本。

圧倒的なエグさとアイテムの進化で、独自の過激さを追求するFREEDOMS。

決して交わることがないと思われていたこの2つのイデオロギーが、今、一つのタッグチームとして融合している。

BJW認定タッグ王者、菊田一美(大日本プロレス)と杉浦透(プロレスリングFREEDOMS)。

かつてはタイトルを争い激闘を繰り広げていた同士が、なぜ今、強固な信頼関係で結ばれているのか。

3月31日、新木場1stRINGでの防衛戦(vs 伊東竜二&デイル・パトリックス)を控えた王者の二人に、互いの団体の違いからデスマッチへの覚悟、そして血まみれのリングでしか通じ合えない“共感”について、たっぷりと語ってもらった。

――本日は大日本プロレスの菊田一美選手、プロレスリングFREEDOMSの杉浦透選手にお越しいただきました。よろしくお願いいたします。

菊田・杉浦:よろしくお願いします!

――現在お二人はBJW認定タッグ王者として君臨されています。3月31日には新木場1stRINGで、伊東竜二選手&デイル・パトリックス組を相手に2度目の防衛戦を控えています。本日はこの防衛戦のお話を中心に、お二人の「デスマッチ観」や、これからのデスマッチ界をどう牽引していくのか、深く伺っていきたいと思います。まず、お二人は「大日本プロレス」と「FREEDOMS」という、デスマッチ界を代表する二大団体の越境コンビです。それぞれが肌で感じている「両団体の違い」について教えてください。菊田選手は以前、FREEDOMSのリングに上がった際に独特の空気感を感じたと仰っていましたが。

菊田:同じデスマッチというジャンルではあるんですが、簡単に言葉にするなら「凄みの大日本、エグさのFREEDOMS」というイメージがずっと僕の中にはあります。FREEDOMSさんはとにかくエグい。僕がレスラーになる前から、そしてなってからも、そのエグいイメージは変わりません。逆に、プロレスとしての底力というか「凄み」で言えば、大日本の方が強いんじゃないかなと。実際にFREEDOMSのリングに上がった時は、やっぱり空気感が違いました。ヒリヒリとしたピリつくような緊張感があって、独特でしたね。でも、そういった違う団体の空気を経験できたことは、自分にとってすごくプラスになったと思っています。

 

――「凄みの大日本、エグさのFREEDOMS」、非常にわかりやすい表現ですね。杉浦選手は、FREEDOMSの人間として大日本プロレスをどう見ていますか?

杉浦:特別な違いというほどのものは感じないですが、やはり「日本のデスマッチの歴史を作ってきたのは大日本プロレスだ」というリスペクトは、FREEDOMSの人間として常に持っています。大日本は伝統を作り、それを守ってきている。僕は大日本のデスマッチの基礎を通らずに、FREEDOMSで独自のデスマッチファイターとして育った人間です。だからこそ、大日本が積み重ねてきた歴史やセオリーから一歩外れた、「今までにないもの(新鋭的な戦い)」ができているのかなという自負はあります。

――実際に交わってみて、大日本の選手からはどんな印象を受けましたか?

杉浦:菊田が言うように、やっぱり「凄み」は感じましたね。肉体を極限まで酷使し、プロレスの技術をしっかりとベースに置いた上で、激しいデスマッチをやっている。FREEDOMSは、選手にもよりますけど「俺たちはデスマッチだ! アイテムが全てだ!」と振り切っている人間が多いんです。その中で大日本の選手と肌を合わせると、「ああ、彼らはどんなに血を流しても“プロレス”というものを忘れていないな」と実感します。そこは歴史の重みですね。

――そんな歴史やカラーの違うお二人が、今こうしてタッグ王者として並び立っているのは、不思議なご縁を感じます。そもそもお二人は、シングルマッチで杉浦選手の首が(蛍光灯で)ざっくり切れるという大惨事の激闘を経て、今の絆が生まれていますよね。

杉浦:いや本当に(笑)。まさか、自分の首を切ってきた相手とタッグを組むことになるとは思いませんでしたよ。

菊田:あの時は本当に場内がざわつきましたからね……。一番ざわついて、焦っていたのは僕なんですけど。

杉浦:僕は自分の首が見えない場所だったし、体自体は元気でアドレナリンも出ていたから、「全然続けられるぞ!」って興奮状態だったんです。でも、周りの空気が「ヤバいぞ……」ってなってて。大日本の登坂(栄児)社長がデビルマンみたいな物凄い形相で飛んできて、試合を止められた時に初めて「あ、俺ヤバいんだ」って冷静になりました(笑)。

――結果的に救急車で運ばれ、首に麻酔を打って縫合する大怪我でした。ご家族の反応はどうだったのですか?

杉浦:妻はリングアナウンサーをやっているので、「まあ、こういう仕事だからしょうがないよね」って肝が据わってました。

菊田:後日売店で、杉浦さん娘さんが「父の敵が来た!」ってにらまれました(笑)。あれは本当に平謝りするしかなかったです(苦笑)。

Pages 1 2 3 4

◆プロレスTODAY(LINEで友達追加)
友だち追加