【編集長コラム】「2020年 激動の幕開け」

日本プロレス界「激動の2020年」が始まった。

新日本プロレスの1・4、1・5東京ドーム2連戦は予想を上回る観客動員となり、熱闘の連続に歓声が渦巻いた。とはいえ、2連戦のシメは何と悲鳴と怒号だった。

内藤哲也がIWGPヘビー、インターコンチネンタルの2冠王に輝いた。ファンは待望の「デ・ハポン!」の大合唱に準備万端。拳を突き上げようとした瞬間、目の前に展開されたのは、とんでもない光景だった。

KENTAが乱入し、何と内藤はKENTAの尻に下敷きにされてしまった。ダメージが大きい内藤は、態勢を立て直すこともできず、ドームの長い花道を最後に凱旋することもできなかった。用意されていたであろう「特殊効果」はスイッチを押されないまま、撤収された。

「大逆転」を実現させた内藤が、最後に思わぬ「大逆転」を食らい、悪夢に沈んでしまった。

「激動」で始まったのは新日本だけではない。全日本プロレスでは「今度こそ」と期待が高まっていたジェイク・リーの3冠奪取が実現しなかった。

イケメン、長身、紳士的な振る舞い・・・それこそ「時代が待ち焦がれる男」ジェイクの戴冠失敗に、衝撃波が走った。

前王者・青木篤志さんの不慮の死によって空位となった世界ジュニアヘビー級王座は、外敵・横須賀ススムに奪われた。天国の青木さんは「喝」と叫んでいるのではあるまいか。

NOAHでは、昨年一年、「新たな景色」を見せ続けた清宮海斗が「グリーン」のコスチュームを着用した潮崎豪に敗れた。


写真提供:伊藤ミチタカ氏

NOAHのど真ん中に立つには、三沢光晴さんゆかりの「グリーン」。あえて清宮とかぶることを承知で「グリーン装束」に身を固め、不退転の決意で臨んだ潮崎の覚悟が、清宮の決意を上回ったということだろう。

三沢さんの右腕と知られていた小川良成がGHCジュニアヘビー級ベルトを初獲し、4つのGHCタイトルをすべて獲得したことになった。

53歳にして快挙を達成した小川。ナショナル王者・杉浦貴もV2に成功。49歳にして素晴らしいコンデションを維持している。丸藤正道とともにGHCタッグ王者に輝いた望月成晃も49歳(1月17日に50歳)。若い王者が台頭する日本プロレス界にあって、NOAHには「アラ・フィフ」パワーが爆発している。

NOAH1・5後楽園ホール大会には、武藤敬司も登場。NOAHの丸藤がDDTの1・3後楽園ホール大会で「DISASTER BOX」入りを表明するなど、団体のボーダレス化も進んだ。

若き王者たちと円熟期を迎えているベテラン選手がしのぎをけずり、団体間の壁を乗り越える抵抗感も薄れつつある日本プロレス界。新日本プロレスに「追いつけ、追い越せ」で踏ん張っていた団体が、結果を出したのも今年の正月興行だった。

毎年、お正月興行に行くのを楽しみにしているファンがいる。家族行事として、友だちとの新年会がわりに会場を訪れる。

一人のお正月の淋しさを紛らわせるために行く、という人もいる。「プロレスがあるから淋しくないですよ」と笑顔を爆発させる。

お正月はプロレスと決めているというファンも多い。ドームや後楽園が、プロレスファンの初詣であり、ビッグマッチを観戦して「これで今年一年、頑張れる」と、気合いを入れる。

プロレスは感情移入しやすい。どん底から這い上がる、怪我からの復帰、何度やられても立ち上がるなど、レスラーに自分の人生を重ねているケースも多々ある。

毎年、お正月興行は改めて「プロレスの力」を認識させてくれる。


写真提供:伊藤ミチタカ氏

「東京五輪イヤー」と目される2020年だが、終わってみれば「プロレスイヤーだった」と言われるかもしれない。いずれにせよ、激動の「2020年」が幕を開けた。

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