【編集長インタビュー】「議員レスラー」土方隆司「プラスアルファが必要」

「議員レスラー」土方隆司が現在のプロレス界を厳しくも暖かく分析。情報過多時代だからこそ「情報発信」の大切さを訴えた。「プロレスラーがファイトだけしていればいい時代は終わった」という土方「埼玉・狭山市議会議員」の声はこうだ。

 

 

 

――2月7日、プロレスラーデビュー19周年を迎えました

 

土方 デビューしたころは、19年もプロレスをしている自分を全く、想像もしていなかった。残されたレスラー人生はそうは長くない。悔いなく全うしたい! 素直に思っています。

 

――バトラーツに入門し、フリーを経て全日本プロレスに所属し、今またフリーとして活躍されています

 

土方 皆さんの応援のおかげです。感謝しています。

 

――狭山市議会議員も2期目です

 

土方 「狭山って、どこにあるの?」という声が多い。狭山市は西武ライオンズの本拠地がある所沢市と小江戸と呼ばれる川越市に挟まれているんです。中核都市として栄える二市の間で、どうしても認知されにくい。まずは知ってもらうことが大切。狭山市の認知度を上げるためにも活動しています。僕がプロレスラーとして活躍すれば、狭山市に興味を持っていただけるはずです。

 

――確かに、狭山市の知名度は、いまひとつかも知れません

 

土方 行政発信、狭山市役所が発信しても、固い話になってしまいやすい。プロレスを通じてアピールすることで、皆さんの目に留まりやすく、耳に届きやすい。こう信じて日々、活動しています。プロレス大会を狭山市で開催したり、アニメソングの歌手を招へいしてイベントもやりました。他の議員の方たちとは「肩書」も「生きてきた道筋」も全く違うし、僕しかできないやり方で狭山市振興のため、動いています。

 

 

――とはいえ、プロレスラーと二足のわらじは大変では?

 

土方 誤解を恐れずに言えば、プロレスと政治は似ています。「正解」「ゴール」がありません。武藤敬司さんが「プロレスはゴールのないマラソン」と言われましたが、本当にその通り。政治にもゴールはありません。プロレスのチャンピオンでも、ファンの皆さん全員が「いい王者だ」とは言ってくれません。「いい王者」という人もいれば「よくない」という人もいます。政治も一緒です。でも、選ばれた人を「正解」として、やっていかなくてはいけない。責任もあるんです。いつも思っています。トランプ米大統領も選ばれたんです。選んだのだから、ごちゃごちゃ言ってもダメなんです。出た結果をいかに正解にしていくか?  プロレスも政治も似ています。

 

――二刀流もやりがいたっぷりですね

 

土方 プロレスは嫌いな方もいらっしゃるかも知れないけど、親しみをもってもらえるスポーツ、大衆スポーツです。「馬場さん」とか「全日本プロレス」「新日本プロレス」とか、地域の皆さんとの話によく出てきます。でも「小さい頃は見ていたけど、今は…」という方もいらっしゃる。僕は「プロレスラーがプロレスだけやっていればいい時代は終わった」と考えています。これだけ、情報が大量に発信されている時代に、ただ時間に流されているだけでは、埋没してしまう。見る側は情報を努力しなくても、すぐに集められる。だからこそ、情報を工夫して発信する。目に留めてもらう努力、工夫が大事じゃないですか。

 

――情報発信、大切ですよね

 

土方 これだけ団体が増えてしまうと、ファンの奪い合いになってしまう。もしかしたら、市場は小さくなっているのに、争奪戦は激しくなっている。新日本プロレスが成功しているのは、情報発信の仕方をはじめ、戦略があったからでしょう。ある意味、納得の結果ですよ。

 

――フリーとはいえ、出場する機会の多い、全日本プロレスの今後が気になるのでは?

 

土方 若き3冠王者・宮原健斗選手、いいじゃないですか。佐々木健介さんの元で育った選手ですから。あの厳しさを乗り越えられたんだから、大概のことは何ともないでしょう。ノアのGHC王者・中島勝彦選手は全日本プロレス時代に、よくからみました。彼が全日本に上がってきたときの初のシングルマッチの相手が僕でした。健介さんとの親子タッグと、最初にぶつかったのも川田利明さんと僕でした。彼にとっては、僕は通り過ぎた相手の一人でしょうけど、僕は彼との戦いを大切にしています。

 

――新日本プロレスのオカダ・カズチカ選手も含めて、20代のチャンピオンが頑張っています

 

土方 チャンピオンベルトは重いんです。僕も丸藤正道選手に世界ジュニアヘビー級王座を奪われて、レスラー人生が大きく変わりました。高校の後輩である彼とそれなりの闘いができたという思いはあるんですが、ノアの丸藤選手に全日本プロレスの宝を奪われた結果は大きかったです。だからこそ、今のチャンピオンの皆さんには心して頑張ってほしいですね。ベルトもチャンピオンの責任も重いんです。だからこそ、僕ももう一回、チャンピオンベルトを腰に巻きたいです。

 

 

議員バッジをつけているがゆえに、参戦スケジュールも制限される時もある。だからこそ「プロレスのありがたさ」を痛感するという土方。「もう一度、ベルトを腰に巻きたい」とジュニア王座を目指していく。

 

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