【高橋奈七永インタビュー】”夢の時間”を提供したい25周年記念大会、「こんなにやるとは思ってなかった」レスラー人生を振り返る

― ― 奈七永さんはスペシャルエキシビションマッチをやって、さらに中島選手とシングルマッチもありますね。前回の新木場大会(6月17日)で色々とありましたが、あえて組んだ意図はありますか?

ダブルメインイベント シングルマッチ 30分1本勝負〜GO!NOW!〜
高橋奈七永 vs 中島安里紗

©SEAdLINNNG

高橋 うーん…何でしょうね。私が2020年の1月を最後に欠場に1回入って、足首の大きな手術をしたんですよね。去年の初めの時にはもう1回復帰できるかどうかとかいうのも分からなくて。その前年の2019年に中島と髪の毛をかけて髪切りマッチっていうのをやったんですけど。

― ― だいぶ話題になりましたね。

高橋 はい。その時もう犬猿の仲というか、普段から口もきかないみたいな感じだったんですけど。私はその時点でもう中島と試合するのは最後かなって思ってたんです。そのぐらい2019年というのは足首もめちゃくちゃ痛かったし、「もうこれ以上できねえわ」みたいな状況に自分的には追い込まれていて。その足首の手術をするにしても、プロレスラーとして前例がなかったので、どうなるか分からないっていうのがあったので。これが最後になっても後悔しないようにっていうので自分をさらに追い込むように髪の毛を賭けたとかあったんですけども。でも中島からしたら、髪の毛を賭けて私が負けたから坊主になって、話題も取られてみたいな気持ちも若干あったかもしれない。今回は何も賭かってない。まっさらな。

― ― まっさらな、本当に純粋なシングルマッチですね。

高橋 そう。ベルトもかかってないし。なので、そのまっさらな状態でやるのは中島が入団したいと言った時の試合以来なんですね。それが2017年だったかな。なので結構要所要所で試合をしてきている相手なので、25周年を迎えた高橋奈七永っていうものを点と点で見ていくと、線になった時に現状高橋奈七永を中島を通して、「あ、こうなのね」っていうものが見えてしまうのではないかなという。結果も含め、内容とかテンションとか。中島はそういう唯一無二の相手なのかなと思います。

― ― これを何もないシングルマッチで、正面からぶつかるということをやりたかったのですね。

高橋  やりたかったと言うか、私は今年タッグを組んで、強引ながらも「シトラスの風」という風にタッグを組んでユニットも作って、横に立つことによって、私はこの子を知りたいなと思ってやってきたんですけども。前回の新木場で水波とシングルの挑戦権をかけて試合をした時に私が負けてしまって、そこで水波と握手をしてたらまた蹴り飛ばしにやってきまして。もうすごかったですもん。「おめえきれえだったことを思い出した!」って言われて。どこの江戸っ子だと思って。今年はホントにタッグで景色を変えていきたいと決めてたので若干ショックでしたけども。これが中島なのかなという…

― ― 特に遺恨があるではないかもしれないですけど、何かこの対決に対しての思いはありますか?

高橋 遺恨…遺恨しかないんじゃないですか。今は特に。なんだろうな、タッグを組んできたことを中島は「平和ボケ」みたいな風に表してたんですけど。じゃあ結局あなたは何をやりたいんですか?っていう。何をリング上で示して、どうやってお客さんを楽しませたいんですか?っていうのがやっぱり私は隣に立っても理解できなかったので。何かレスラーとして明確なものを示してほしいですよね。それを私が受けて立ってやりますよっていう思いですね。

― ― 示してほしい、そこらへんを感じてみたいというか。

高橋  そうですね。私がさっき言ったように中島っていうフィルターを通して見てくださいと言ったように、中島からしたら高橋奈七永っていうフィルターを使っていいから、お客さんにどうぞ示してくださいって。

― ― 表現してくれよと。

高橋 うん。

― ― 深いですね。

高橋 うん。深いですよ。

― ― 試合タイトルとしては普通のシングルマッチですけれども意味合いとしては非常に深い戦いですね。 

高橋 そうですね。はい。

― ― これは結構なバチバチな戦いになりそうですけども。

高橋 それは間違いないですね。

― ― これは楽しみです。

高橋 はい。

― ― ダブルメインイベントで水波選手が朱崇花選手へ挑戦します。この試合を奈七永さん的には見どころ的なところも含めて、どういう風に感じていますか?

SEAdLINNNG BEYOND THE SEA Single Championship 30分1本勝負〉
〈王者〉朱崇花(あすか)vs〈挑戦者〉水波綾
※第5代王者、初防衛戦

©SEAdLINNNG

高橋 朱崇花がSEAdLINNNGのシングルとタッグのベルト2本巻いてて、2冠なんですよね。ラスエゴ(ラス・フレッサ・デ・エゴイスタス)っていうチームも組んでて。朱崇花に結構流れがいきがちなんですよね。それがやっぱりあの世代では朱崇花が飛び抜けてるものがあると思うし。だからこそベルトが人を選ぶと言いますけど、ベルトが朱崇花を選んでいってるっていうものを、自分からタッグのベルトを取っていったので、余計に思わされているんですけど。アニキ(水波)も今年AEWに行って。

― ― AEWの女子世界王座次期挑戦者決定トーナメントSide Japanを優勝して。

高橋 そうそう。

― ― AEW女子トーナメント決勝戦も制して、最終的にはAEW女子王座戦で志田光選手には勝てなかったですけども、群を抜いてますね。

高橋 そうですね。アニキと去年マックスボルテージっていうタッグを組んだり。復帰戦でもアニキが隣にいてくれたりとか。やっぱりプロレスにおいてすごく話が合うというか、いろんな話を聞いたり夢を聞いたりとかしている仲なんですけど。「絶対アメリカ(AEW)に行って結果を残したいんだ」っていうものをすごい聞いてて。トーナメント優勝っていう日米同時でやったものを優勝してっていうのは一個称号を作って帰ってきたっていうのがあって。今本当に大きくなっている最中だと思いますし。朱崇花にしても水波にしてもAEWに出たりもしているので。日本だけじゃなくってアメリカとか世界からも少しは注目されるカードなんじゃないかなと思います。

― ―  朱崇花選手はジェンダーレスレスラーとして男子ともガンガン当たりますし。

高橋 そうですね。

― ― アニキでパワーファイターだし。アメリカでも人気ですね。

高橋 はい。

― ― でもこの試合が見れるっていうのは後楽園ホール大会で貴重なカードですよね。

高橋 貴重だし、この先ももしかしたら無いかもしれないし。

― ― この2人がシングルに上がるっていうことは無いかもしれないですね。

高橋 そうですね。もしかしたらAEWのトーナメントで当たってかもしれないし。そうなったらもう基準が世界基準になってるというところが、私からしても羨ましいというか、すごいレスラーだなあと思いますし。私を倒してアニキはここに立つことができたわけなので。その時アニキにも「自分がベルトとったら挑戦してきてくださいよ」って言ってくれたので。そういう道筋を私も思い描いて応援したいなとは思います。

― ― そうすると水波選手に取ってもらって、そこにまた挑戦しに行きたいと。

高橋  そうですね。朱崇花からとりたいっていうのもあるっちゃありますけども。

― ― 朱崇花選手からとって水波選手をもう1回挑戦させるっていうやり方もありますよね。

高橋 そうですね。

― ― 水波選手が「挑戦してきてください」と言ったけれどもそういうことも言えるわけですね。

高橋 だから7月11日のこのタイトル戦っていうのがとても重要になってきます。8月も実は6周年大会で後楽園ホール大会(8月19日)があるので、そこにも自然とつながっていくと思うので大事な一戦です。

― ― これは非常に楽しみです。結果いかんによっては大きく変わってきますね。

高橋 変わってきますね。

 

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