【高橋奈七永インタビュー】”夢の時間”を提供したい25周年記念大会、「こんなにやるとは思ってなかった」レスラー人生を振り返る

レスラー生活25年を振り返って

― ― 後楽園ホール大会の3試合についてうかがいました。大会名が高橋奈七永25周年記念というタイトルですが25年を振り返ってプロレスラー人生はどうでしたか?

高橋 長すぎる(笑)こんなにやるとは本当に思ってなかったので。

― ― 長くやると思ってなかったんですか?

高橋 20周年の時、5年前は「次(25周年)は無いだろうなあ」って思ってたので。

― ― でも25周年を迎えたと。では20周年(2016年)で「もう無いだろうな」と思ってから25周年までのこの5年間ってどうでした?

高橋 自分的には2016年…そのあたりでラウェイとかやってました。


©SEAdLINNNG

― ― 以前のインタビューで2017年を振り返る時に電流爆破をやったりラウェイをやったりと伺いましたが、いろいろやりましたよね。
※2017年のインタビューはこちら⇒https://proresu-today.com/archives/42463

高橋 いろいろやりました。そうだそうだ。20周年の後とかも、もう自分は終わりに向かうかもしれないから、後悔しないように何でもやりたいと思ったことをやろうと思ってラウェイも挑戦したし電流爆破とかもやりましたし。男子の選手とのシングルとかもやりました。

― ― その当時を振り返ったインタビューの中で、「とにかくいろいろやった」という風におっしゃってましたけども、電流爆破・男子の選手とのシングルマッチなどなかなか大変だったと思いますが。

高橋 はい。一番最初は田中将斗選手(プロレスリングZERO1)ですね。それが2016年かな。

― ― 2016年1月後楽園ホールですね。

高橋 そうです。色々ありましたね。

― ― では、さかのぼって全女(全日本女子プロレス)時代とかはどうですか。

高橋 全女時代は本当に人生で大事なことは全女が教えてくれたなって思います。本のタイトルとかでありそうですけども(笑)そういう本を出したいなと思うぐらい人生を強く 生きるためにはみんな全女に入ればいいんだよって…もうないですけど(笑)ぐらい、いまだに全女出身のスタッフの人とかでも会うと「あの時があったから何があっても動じないよね」みたいなことをスタッフさんですら言うので。全女は尋常じゃない団体だったと。

― ― 試合数も多かったですしね。

高橋 試合数もそうですね。年間で250とかしてたのかな…

― ― しかもビッグマッチもいろいろやり、バチバチな対抗戦なども。

高橋 そうですね。だから毎日が必死でしたけど、やっぱり充実してたし楽しかったし。キッスの世界(高橋奈苗、納見佳容、脇澤美穂、中西百重)っていうアイドルグループとかもつんくさんプロデュースでできたりとか。今思えば楽しかったなって。

― ― キッスの世界はCDも出して。

高橋 はい。貴重な経験を、テレビとかも。

― ― テレビも出てましたね。めちゃイケにも。

高橋 はい。出ました。

― ― 確かにすごくいろいろな経験されてますね。

高橋 はい。だからその時に負けない気持ちの大事さとか、努力も大事だなっていうのも学んだし。ホントに強い人しかいなかったんで。自分が勝ち上がっていったりベルトをとったり、目立つためには強くいなかったら落ちていくだけなので。そこでどうにかして生き抜く強さというものが身についたかなと思いますね。

― ― 人生のいろんなことを学んだということですね。やはり全女はすごかったですね。

高橋 はい。すごかったですね。地方大会もいろんなところに行ったんですけど、空き地で試合をする時なんかはまず草を刈って場所を整えるところから始めて、そこでリング設営をして、試合会場にする。それで試合が終わったらバーって撤収して何もなかったかのように次の土地に行くみたいなそういう日常だったから、無ければ作ればいいしみたいな。やらないんだったら私がやればいいんじゃんみたいな感じの考え方です。

― ― できないからやらないねっていう発想じゃなかったっていうことですか?

高橋 ない!だから「できません」とか言う人ホント嫌いです。「え?何で?やればいいじゃん!」みたいな。

― ― できないことはないだろうと。

高橋 ないですよ。やればできるから。人生で大事なことですよね。

― ― 確かにそれは実際に経験されてる方だから言えることかと。

高橋 はい。

― ― 会場がなかったら草を刈って会場を作るなんてなかなかな経験ですね。

高橋 ないですよね。だから全女出身の人たちは気持ちがいいですよやっぱり。ゼロワン(プロレスリンZERO1)の沖田さん(リングアナ)とか。7月22日に新潟大会があるので、一緒にプロモーション活動をしてたんですけども。仙女(センダイガールズプロレスリング)さんの新潟大会(6月27日)に出たんです。全然違う話なんですけどその時も、試合開始の直前に、試合開始、始まるぞ!みたいな空気があるじゃないですか。でも今声が出せないから、そしたら沖田さんが適当に手拍子を始めて。「何やってんの?」って言ったら「え?盛り上げたいじゃん」みたいなことを言い出して。だから私も一緒にやったらお客さんもちょっとポツポツやってくれたりとかして。そういう風な空気で試合が始まるみたいなことをできたらいいじゃんみたいな。でもあの時に俺が笛を持ってたらもっと盛り上げられたって、次の日とかにすごい悔やんでたんですよ。それがある意味の全女魂っていうか。だっての仙女の人でもないし、もしかしたら「うるせえな」って思われるかもしれないし。「でもせっかくここに居させてもらってチケット売らせてもらってるんだから盛り上げたいじゃん」って言うんですよ。そういう考え方が全女だなって。

― ― そういうのに感じるんですか?

高橋 感じます。

― ― 来てもらったら楽しんで帰ってもらう。

高橋 はい、全女魂ですね。

― ― 全女魂があるから男子のトップファイター、田中将斗選手もそうですし、潮崎豪選手ともシングルでやりましたし。それがあるからこの2人に挑んだみたいなのもあるんですか。

高橋 いや~、それは違うと思います(笑)

― ― それは違う?

高橋 はい。それはだって最初イヤでイヤで仕方なかったですもん。怖い。

― ― 怖かったんですね?

高橋 怖かったです。

― ― 弾丸戦士(田中将斗)に当たっていくわけですからね。

高橋 そうです。田中選手と試合する前なんかは…だってあのエルボーとかヤバイのは…もう分かるし。勢いとかすごいし、身体もゴリゴリだし。いや~と思ったんですけど。それでも遠慮しないで逆にきてくれたことが私にとっては勲章だし、素晴らしいレスラーだなと思いました。最終的にスライディングDで記憶飛びましたけど。

©SEAdLINNNG

― ― 逆にそこである程度手加減していたら、もしかしたら記憶は飛ばなかった?

高橋 記憶は飛んでないかもしれないけど、でもここまでやってくれたっていうのが私にとってもそうだし、見たお客さんもスカッとするというか、勇気をもらえると思うし。あとは大谷晋二郎さんとも電流爆破(2018年8月川崎競馬場)でシングルマッチやりました。

― ― 電流爆破やりましたね。

高橋  あの試合とかも結構すごかったですね。だってシングルってだけでハンデみたいなものなのに。電流バットっていうアイテムもあって、結構きつかったです。でもその試合を見て「プロレスで久々に泣いた」っていうお客様がいたりとか。自分がやられても立ち上がっていく姿でそういう風に思いが伝わったんだったら嬉しいなあっていうか、報われるなあと思います。


― ― 試合で感じてもらえたら最高ですよね。

高橋 はい。あと潮崎選手はチョップがやっぱり…

― ― あれはものすごかったですね。色がどす黒かった。

高橋 真っ青。

― ― 青いというかもう黒くなってましたよね。

高橋 そうですね。

― ― 試合後の写真はすごかったですね。

高橋 すごかったですね。一発目のチョップで星が飛んで。

©SEAdLINNNG

― ― チョップで星が飛んだんですか?

高橋 はい。びっくりしました。それは初めての経験です。「あ、こんななんだ?!」みたいな。ビビリました。

― ― 日本でもトップクラスのチョップの使い手ですからね。

高橋 そうですね。だからホント試合をしてくださって感謝ですね。

― ― 潮崎選手も全力できて、あの豪腕ラリアット食らってましたがどうでしたか?

高橋 いやもう全部ヤバイですよ。ヤバイけど、そういう試合を経験したことによって私がどんどん強くなるので。あれを食らったんだしみたいな。身体も覚えるし。

― ― 男子のレスラーでも潮崎選手のチョップはホントに嫌がりますもんね。

高橋 うん。みたいですね。この間、仙女の新潟大会で里村選手と鈴木みのる選手と対戦して、鈴木みのる選手は初めてだったんで。なので正直試合前はめちゃくちゃビビってたんですよ。でもやっぱり試合中の鈴木みのる選手の表情が失礼ですけどムカつくんですよ。

― ― 世界一性格の悪い男ですからね。

高橋 はい。さすが世界一性格の悪い男だなっていう。だからすごく私は試合中に火がついたんですね。だから機会があればまたぜひ試合をしたいなと思います。

― ― それはタッグ、シングルどっちで?

高橋 いやー、やるんだったらシングルですかね。

― ― 今度は鈴木みのる選手とシングルやりたいと?

高橋 と思っちゃいました。もう男子とは試合はいいんじゃないかって思ってたんですけども。またどこかにちょっと火がつきました。

― ― それはなかなか挑戦者ですね。新たな目標という言い方は変ですけど、いつか実現したら楽しみですね。

高橋 そうですね。

― ― そういう機会を楽しみにしています。

高橋 はい。

▼前編ダイジェスト動画はこちら

後編の25年続けられた理由、そして個人・団体の未来については近日公開予定ですのでお楽しみに!

高橋奈七永(たかはし・ななえ)プロフィール
【生年月日】1978年12月23日
【出身地】 埼玉県川口市
【身長】 165cm
【体重】 65kg
【デビュー戦】1996年7月14日、全日本女子プロレス、東京・後楽園ホール、対中西百重

初代SEAdLINNNG BEYOND THE SEA SINGLE 王者
第4代爆女王
第58代&第60代 WWWA世界シングル王者
第14代 JWP無差別級王者
初代 ワールド・オブ・スターダム

経歴
アニマル浜口道場出身として1996年7月に老舗団体・全日本女子プロレスでデビュー。
当時、女子プロ界最高峰のベルトと言われたWWWA世界シングル王座(現在は封印)の最後のチャンピオンとして名を連ねる。
全女解散後はSUN→スターダムを経て、2015年8月にSEAdLINNNGを旗揚げ。
2016年末には世界一危険な格闘技・ラウェイに挑戦。2017年はザ・グレート・サスケとのTLCマッチで勝利。
2018年は大谷晋二郎との電流爆破、潮﨑豪とのシングルなどその活動は多岐にわたり、11月には初代SEAdLINNNG BEYOND THE SEA SINGLE 王者、2019年には電流爆破マッチを制し第4代爆女王となった。
2020年1月24日後楽園ホール大会後、左変形性足関節症の手術の為長期欠場に入る。
2020年12月23日、自身の誕生日に奇跡の復活を果たし、2021年7月で25周年を迎える。

「SEAdLINNNG〜高橋奈七永25周年記念大会☆ARIGATOU〜」
日時:2021年7月11日(日)17:00 OPEN 18:00START
会場:東京・後楽園ホール

ー全カードー

〈第1試合 タッグマッチ20分1本勝負〜OPENINNG POP UP!〜〉
花穂ノ利&水森由菜(我闘雲舞)
vs
海樹リコ&笹村あやめ(2AW)

〈第2試合 タッグマッチ20分1本勝負 〜THE SCRAMBLE!〜〉
堀田祐美子&真琴
vs
山下りな&川畑梨瑚

〈第3試合 25th ANNIVERSARY スペシャルエキシビションマッチ 〜夢の7分間〜〉
高橋奈七永&中西百重<NANA☆ MOMO☆> with前川久美子
vs
さくらえみ(我闘雲舞)&夏樹☆たいよう

〈ダブルメインイベント SEAdLINNNG BEYOND THE SEA Single Championship 30分1本勝負〉
〈王者〉朱崇花 vs 〈挑戦者〉水波綾
※第5代王者、初防衛戦。

〈ダブルメインイベント シングルマッチ 30分1本勝負 〜GO!NOW!〜〉
高橋奈七永 vs 中島安里紗

大会詳細はSEAdLINNNG公式サイトにて
http://seadlinnng.com/

 

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