【経営者インタビュー①】プロレスリングWAVE 二上(GAMI)社長・桜花由美専務が団体10周年、8.12大田区大会について語る

<WAVEの10年。企業としてのプロレスを貫く>

山口:この10年を振り返って、若手の台頭などもあったと思いますが、今振り返るとどうですか?

桜花:……10年、あっという間だった気がする。


2017年開幕戦の挨拶(公式ホームページより)

GAMI:それは歳取ったからやで。

桜花:過去を忘れてしまって(笑)

GAMI:10年間で変な辞め方をしたのが誰もいない。退団したのも、この前の小林香萌が初めてです。勇気(彩)は契約をしなかっただけで、フリーとして呼んでるし、逃げたり揉めて辞めた選手はいません。

山口:プロレス団体を経営するにあたって、選手の気持ちを理解したり、ケアしたりということは意識していますか?

GAMI:ケアしてないよね?

桜花:してない(笑)

GAMI:私はバッサリ、そんなんええわ、ってタイプなんで。フォローしてくれる人が周りに多いですね。

山口:二人の経営スタンスが所属選手に伝わっているのかもしれませんね。お二人が過去に所属していた団体と今のWAVEとで、ポリシーや考え方に決定的な差はありますか?

GAMI:自分は受け身を取ってきた人だから、プロレスラーのメンタルの部分はわかります。背広組のおじさんたちが社長をやっているところは、そこが分からないんです。受け身を取っているのは生身の人間なのに、プレイヤー側の感情が、背広組には分からない。

あとは、自分で10年やって、会社を立ち上げて5年やってきてわかったんですけど、プロレス界の常識は、世間では非常識です。それを、ホンマに一般社会に適合させないといけない。「プロレスの企業なんで」というのは、もう通用しないんです。一番嫌いなのが、「いつもやってるんで」って言いながら、リング作りなんかをボランティアで手伝う人。ファンの人でも、勝手にリング触ってマット丸める人がいるんです。そういう人は「ほかの団体では普通にやってる」っていうけど、うちはガツンと言って追い返します。

山口:なりきりスタッフがいるんですね。

GAMI:関係者面したファンが、女子プロレスにはすごく多いんです。私はそれがすごく嫌。仕事やるならお金を渡すから、最後まで責任もってやって、っていうスタンス。WAVEは最初からボランティアスタッフは入れないで、ちゃんとお金を発生させてます。そんなの当たり前じゃないですか? それにはもちろん源泉徴収税が発生して……って、細かいところから始めてる。カメラマンをタダで雇うとか、そういうのもやらない。勉強ならいいんですよ。だけど趣味でやってるならいい加減にしろ、って。バッサリです。

山口:他団体では、ボランティア的なスタッフがいるんですか?

GAMI:受付やグッズ販売員も、ファンがやってたりするのが普通にあるんですよ。そのファンの人は自分の推してる選手だから手伝うんだろうけど、それはなんか違うと思う。

山口:女子プロレスだと社会人デビューがプロレスの人が多いと思うので、社会人教育を基礎から選手に教えるのは大変だったんじゃないですか?

桜花:うちは社会人を経験している人が多いんですよ。

GAMI:未経験は朱崇花くらいじゃない?

桜花:あとは大畠も経験していないですね。長浜は高校生の頃にバイトしたことがあったかも。

山口:社会の中の礼儀などはちゃんとできてたんですか?

GAMI:まあまあできてるけど、一応レスラーってタレントじゃないですか。それでタレントになった瞬間に、ごっつぁん体質になる人が多いんです。私はそういうのが嫌いなんで、怒ります。

山口:プロレスラーはスターなので、スターらしさは持っていてほしいですけど、最近はSNSでも変な事件とか多いし、気を付けてもらいたいですね。

桜花:ファンとの関係が近くなりすぎるのもよくない。

山口:女子プロレスの場合、熱狂的なファンが多いですからね。

 

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