【編集長コラム】オカダVS柴田 「勝てば官軍」

「勝てば官軍」とはよく言ったものだ。

 大一番を控えたプロレスラー同士の”舌戦”は、互いのプロレス哲学、スタイルへの思い…などを真っ向からぶつけ合い、大いに盛り上がる。

特にそれが団体のトップを競う場合には、激しい火花が散るようだ。

新日本プロレスの4・9両国決戦では、まさに天下分け目の大一番が行われる。

IWGPヘビー級王者オカダ・カズチカに柴田勝頼が挑戦する一戦。連日、前哨戦で両者が対戦しており、リング上の激突はもちろん、会見や試合後のマイクの応酬もファンを熱狂させている。

柴田は挑戦者らしく盛んに挑発。「俺は生まれながらの新日本プロレス」と、 暗に”昭和プロレス”の一撃必倒、殺気みなぎるファイトスタイルの再現をアピールし、オカダらが展開する”新時代のプロレス”に一石を投じている。

受けて立ったオカダも「根性だけで取れるほど、このベルトはやすくない」と、ここ数年の大活躍を盾に胸を張る。「レインメーカー」の異名通り、ファンを会場に呼び込み、新日本プロレスに「金の雨を降らせている」自信と自負は揺るぎない。

「根性」とは、生まれつきの性質。根本的な考え方。また、苦しさに耐えてなし遂げようとする強い精神力。「一生懸命頑張る」とか「ド根性」などを「ダサい、古い、格好悪い」などと敬遠した時代もあった。

しかし、近年は また「根性論」が注目されており、柴田の発言で、プロレスファンの「根性論」に火がついたようだ。

例えば、科学的トレーニングは理論的で合理性があるが、砂浜のランニングや、階段のうさぎ跳び、ぶっ倒れるまで受け身を取ることなどは根性論が優先する。

もちろん、柴田がそういう練習をしている訳ではないが、精神面でのスタンスとして、そういう発言を繰り返しているのだろう。

「イデオロギー対決」。昭和のプロレスにつきものだった。

今回の一連の舌戦は、まさに「イデオロギー対決」。互い意地があり、どちらも譲らない。

あとは「リング上で決着をつけよう!」ということだろう 。

「金の雨」を降らせることがメインイベンターの仕事だが、となれば現在のオカダには誰も文句をつけられまい。

ただ、ファンは常に新しい刺激を求めるもの。柴田がほのめかす「昭和のプロレス」の復活を、今こそ要求する人たちも大勢いることは間違いない。

どっちが良い悪いではない。「勝ったモノが正義」なのだ。リング上でハッキリと白黒をつければいいこと。

ここ数年の黄金時代をけん引する王者・オカダか、あえて「根性」を前面に押し出した挑戦者・柴田か?

光り輝くIWGPベルトを巻いた方が「正義」であり、2017年の「ストロング・スタイル」なのだ。

どう転ぼうが、両国国技館が爆発するほどの名勝負になる事だけは確かだ。

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