三冠王者・安齊勇馬率いるシン世代軍の用心棒・綾部蓮 身長2メートルのシン大巨人が見ている風景

【柴田惣一のプロレス現在過去未来】


<写真提供:伊藤ミチタカ氏>

三冠王者・安齊勇馬率いる全日本プロレス「シン世代軍」の用心棒「シン大巨人」綾部蓮のネクスト・ジャイアントぶりとは。

今年4月1日に全日本入りした綾部。最初のシリーズ「チャンピオン・カーニバル(CC)」でいきなりやってのけた。

2メートルの存在感に加え、開幕戦で「最高」宮原健斗を撃破。結果的にCCを制覇した宮原に唯一の黒星をつけている。「ベルトはなくても全日本の象徴である宮原との初シングル。「入場から一気にすべてを持っていかれるかと覚悟していたけど、そうでもなかった。入場でも対抗できたし、ファンの俺への期待感が伝わって来た。これは、と楽しくなった。そして勝てた」と振り返る。


<写真提供:伊藤ミチタカ氏>

プロレスをいい意味で楽しむ。もちろん対戦相手をぶちのめす決意で闘っているのだが、その場の空気感を感じ取り、ファンの熱い想いを自分の力にしてしまう。いわばプロレスの力を体現していくのが綾部流なのだ。

JTOでプロレスラーとなり、全日本マットにも参戦。フリー戦士としても王道のリングに上がっていたが「全力でぶつかれる相手がたくさんいるのに、自分のふがいなさを思い知らされた。入団して環境を変えることで、プロレスラーとして一皮むけたかった」と全日本入団を決めた。

この選択は大正解だったようだ。合宿所入りし、道場での合同練習に加わった。基礎運動から始まりウエイトも競ってやる。ガッチリやり込む練習に「ああ、これだ」と王道の入り口を知った。地方大会をサーキットするレスラーライフにまたまた「これだ」と合点がいった。

大満足の全日本入りに続いて、第二の分岐点がやって来た。三冠王者・安齊の元に、本田竜輝、ライジングHAYATOが集結したが、綾部も加わったのだ。


<写真提供:伊藤ミチタカ>

「何か面白いことができるのではないか」と自然と動いていた。20歳代の4選手。前列に本田とHAYATOが座り、安齊と綾部が後列に立つのが、シン世代軍の隊列。さしずめ綾部は用心棒といったところか。

安齊を「デカイことをやってのけたライバルでもある」と捉えている。王道マットを選んだからには三冠ベルトは目標。年下でキャリアも自分よりも短い安齊が大偉業を成し遂げている。負けてはいられない。

「面白いことができるかも」と安齊のシン世代軍に加わった。先のことはわからないが、まずは安齊らと暴れまわるつもりだ。


<写真提供:伊藤ミチタカ>

CC開幕戦でお披露目したニューコスチュームはオカダ・カズチカを彷彿させる。「よく言われる」と屈託なく笑う。実はオカダの勇姿がプロレスラーを夢見るきっかけだった。

いつかは闘いたい。オカダだけじゃなく、佐賀のBURST6・16決戦にも乗り込んだように他団体のリングにも興味津々。トップを張っている選手たちとの対戦も実現させたい。ノアのGHCヘビー級王者・清宮海斗は同世代であり、気になる存在だ。「SNS始め、いろんな所で名前を見る。その内、渡り合いたい」と目力がぐんと増した。

身長2メートルのシン大巨人の存在自体が非日常だが「非日常の闘いを見てほしい」と熱く繰り返す。大型選手が多い全日本はメンバーが揃うと豪快そのもの。中でも一番身長の高い綾部はまるでシンボルタワーである。

大きさは武器であり魅力だ。この先、キャリアを積んで体の大きさを活かす技を習得すれば、さらなる飛躍が期待できる。

「プロレスを知らない人にも認知されたい」とズバリ。プロレス界のシンボルを目指すネクスト・ジャイアントこと綾部蓮の日進月歩の成長を見届けたい。


<写真提供:柴田惣一>

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