7・21両国でKO-D無差別級王座挑戦のMAO「このタイミングで無差別級を獲って、僕がDDTでプロレスをやってる証明をします」

 DDT UNIVERSAL王者のMAOが夢の舞台に燃えている! MAOはDDTプロレスの真夏のビッグマッチ「WRESTLE PETER PAN 2024」(7月21日、東京・両国国技館)のメインイベントで、The37KAMIINA(サウナカミーナ)の盟友である上野勇希の保持するKO-D無差別級王座に挑戦する。

2015年8月23日の両国大会でデビューして9年を経て、夢の舞台にたどり着いたMAOは今何を思うのか? 世紀の大一番目前のMAOに迫った。

――元々DDTの両国大会を見たのがきっかけでDDTになることを志したんですよね?

「そうです。2009年8月23日、DDTの両国初進出の大会でした。中学1年の時、映像で見ました。元々プロレスに興味があって見てたんですけど、それまでプロレスラーはなりたいものではなかったんです。でも、その大会を見て『こんな大人になりたいな』と思いました。レスラーになりたいと思ったきっかけがその大会でした」

――そんなに衝撃的でしたか?

「ハイ。髙木(三四郎)さんと(ザ・グレート・)サスケさんの試合だったんです。それまで、おもに新日本プロレスを見てたんで、ウェポン・ランブルという試合形式にまず度肝を抜かれました。次から次へと凶器が投入される中で、人間が凶器として出てくるとか、こんな何でもありなんだってところで、引き込まれて。そこからDDTをチェックするようになって、路上プロレスとかマンションプロレスとかやってて、そこで衝撃を受けちゃって。DDTでレスラーになりたいと思いました」

――みちのくプロレスへのリスペクトもあったと思いますが…

「見ていたのは同じくらいの時期ですね。みちプロは地元の団体というか、街中でポスター見てるんで、プロレスを見てない頃から、なんとなく知ってはいたんです。その中でサスケさん、いつもポスターの真ん中にいて、小さい頃から何回も見たことある顔がDDTに出るんだって。最初はサスケさんが出るからDDTを見たって感じなんです」

――デビュー戦も両国ですから、この会場への思い入れは深いですよね?

「DDTの選手だったら、だいたい特別な地だと思いますけど、自分にとってはすべての始まりの地。DDTの両国大会からすべてが始まってるんで、人一倍思い入れは強いと思います」

――デビュー後、両国は何度も経験してきて、昨年11月12日の両国でマット・カルドナに勝って、2度目のUNIVERSAL王座戴冠を果たしました。UNIVERSALを獲って、自分の考えが変わっていった部分はありましたか?

「今まではフラフラ自由な感じでやってたんですけど、2度目のUNIVERSALを獲って、同じ日に上野勇希がKO-D無差別級獲って。2人で王者で並んでるうちに、無差別に負けないようなUNIVERSALにしようとやってきて、そこで意識がガラッと変わった結果が、この前の『KING OF DDT』優勝だったかなと思います」

――UNIVERSAL王座は9度防衛。クリス・ブルックス選手との「D王 GRAND PRIX」公式戦を防衛戦にしたり、キックボクサーの町田光選手とバチバチの試合をしたりで、常識にとらわれない防衛ロードになりましたね?

「UNIVERSALは無差別と同じような防衛ロードになったらいけないなと思って、幅の広いプロレスをしていきたくて。そういうのを見せていって、お客さんにこういうプロレスもあるんだというのを知ってもらいたくて。幅の広い相手とやるように心がけています」

――ある意味、上野選手と直接試合をするわけじゃないけど、無差別と違う形で対抗していった感じですか?

「対抗していったと言うより、お互いに支え合ってきたというのが正しいのかなと思います。無差別がガシっとDDTの柱としてやってくれるからこそ、僕はUNIVERSALで自由な防衛戦をしてくることができた」

――そもそも、これまで視界の中に無差別は入ってなかったですか?

「そうですね。結果としては自分がやってきたことが正しくて、実力もついて、『KING OF DDT』で優勝して、無差別に挑戦って形になったんですけど。ふだんだったら自分から挑戦したいと言い出すことはなかったと思います。上野勇希が素晴らしいチャンピオンだというのを身近で見れば見るほど、上野勇希が引っ張って行く姿をもっと間近で見たかったと思ったし…。おかげさまでUNIVERSALも自由にやれてるし、『KING OF DDT』優勝という機会がなかったら、挑戦表明するってことはまずなかったと思います」

――これまで「KING OF DDT」や「D王」で、対ヘビー級が課題としてあったかと思いますけど、今回の「KING OF DDTでは、対ヘビー級を含めて突破できたのが大きかったですか?

「DDTでやってる以上は無差別級なんで、ヘビー級と当たることは避けて通れないことなんですけど。ヘビー級とは体格とかで当たり負けしちゃうんで、とにかくヘビー級に負けない打撃をたちまちに手に入れたという。そこは1、2年かけて磨いてきた部分なんで。最近その成果が出てヘビー級にも通用するようになったのかなと思います」

――打撃と言えば、今でも「骨法烏合會矢野卓見道場」には通われてるんですか?

「矢野卓さんのとこには結構大事な試合の時とかに、フラっとおジャマさせてもらって、調整させてもらってます」

――そこに行けば、掌底の打ち方とかを再確認できますか?

「そうですね。上野勇希戦でも一番最後に残るのは、自分が一番信じられるのは打撃。上野勇希も鋭い打撃、瞬発力があるんですけど。最後に僕が残せてるのは掌底とか打撃になってくると思います」

――上野選手とは彼のデビュー2戦目でシングルマッチをやっています。当時から「この選手はすごい選手になりそうだな」って予感はありましたか?

「練習生の頃から一緒に練習してて、とにかくバネはすごかったですね。今そのバネを生かしたドロップキックがホントに強烈な彼の武器になってて。練習とか試合だけじゃないんですよ。ふだんの雑用とか飲食での仕事とか、そういったところからずば抜けてたと思います。すごい選手はそういうところもすごいし、セコンド業務とかもひたむきにやってたんで。そういうところからも、この選手は上に行く選手だよなっていうのが最初からありました」

――サウナカミーナで一緒に行動することになって、対戦する機会がほとんどなくなりましたよね?

「ホントになかったですね」

――その間、対戦してみたいなって気持ちはありましたか?

「いつかあると思ったんですけど、僕はサウナカミーナをやめた後とか、サウナカミーナがなくなった後の話かなと思ってたくらいです。『D王』とか『KING OF DDT』とか、そういうところでは当たるかもしれなかったんでけど、『D王』でもブロックが分かれて当たらなかったですね」

――この数年でシングルマッチは全くないですよね?

「DDTサウナ部が正式に始まる前、(2020年11月8日に)UNIVERSALをかけて試合したのが最後ですね。その後はシングルで当たることもなく、『年越しプロレス』でたまたまちょこっと6人タッグで当たったかなくらいです」

――久しぶりのシングルだけに、前哨戦は意味のあるものだったと思いますけど、サウナカミーナから家出しないと向き合えないというところから、“家出”という発想が出てきたんですか?

「1ヵ月前哨戦が続くだろうなって思った中で、前哨戦も1個1個意味のあるものにしていきたいし。いろんな意味を見出すのは簡単ですけど、お客さんから見た時、パッと変わり映えしないと面白くないよなって思った。家出して、いろんなユニットにおジャマさせてもらうというのが、1個目玉になって、それでより注目してもらえるというのがありました。自分が上野勇希と向き合うためというのが第1の理由なんですけど、第2の理由はせっかく前哨戦シリーズが始まる時、スペシャルなものにしたくて家出という決心をしました」

――前哨戦で、ふだん隣にいない人たちと組んで、上野選手と対峙する構図で、いつもと違う風景が見えましたか?

「そうですね。自分が最初に入場して、サウナカミーナの入場を待ってるんですけど、上野勇希が出てきた瞬間の華とか、対峙した時の存在感、改めてすごいなって思って。家出しなきゃ気付かないとこだったんで。王者の風格もひしひしと感じます」

――無差別級に挑戦するのは、2020年2月23日、後楽園ホールでの田中将斗戦以来、4年5ヵ月ぶりとなります。無差別に挑戦するという意識は強いですか?

「前回挑戦した時はまだまだペーペーだったんで。英国から帰って来たばかりで。勢いのまま挑戦して玉砕したんですけど。今はもうどっしり構えて、自分の力をぶつけたら、獲れるんだろうなって。昔と違って、自信だとか勝ち方だとか打撃の強さとか全く別物だと思うんで。4年前とは相手も違うんですけど、4年前とは違うしっかり勝ちにいける挑戦者になれると思います」

――両国でデビューした若者が、9年後に両国でシングルのメインを務めるというのは格別のものがありますか?

「DDTを夢見て、DDTに入って、両国の第1試合でデビューして。9年経って、最高の相手と最高の舞台で。自分の人生にとっても一大イベントだと思ってるんで。両国のメインイベンターになるってことは。それくらいの特別感があります」

――勝つためのポイントがあるとしたら?

「容赦しないこと。同じチームで、家出しないでやってたら、最後の最後で、食うか食われるかのところで、容赦しないで叩き潰す気でいくっていうのは…どこか情が沸いたりしてできないと思うんですけど。そこをなくすために家出してるんで、最後の最後、食うか食われるか、勝つか負けるかってところで、容赦しないでいけるかどうかが勝負の分かれ目だと思います。一瞬でもちゅうちょしたら負けてしまう」

――挑戦する以上は無差別級のベルトを巻きたいですよね?

「ハイ。最高の舞台で初戴冠するのに、意味のある相手で、ふさわしい舞台が揃ってると思うんで。もしこのタイミングを逃したら、どのタイミングで戴冠するんだろうってところに来てるんで。このタイミングで無差別級を獲って、僕がDDTでプロレスをやってる証明をします」

――無差別級を戴冠した場合、UNIVERSALとは違う色で防衛戦をしていきたいですか?

「そうですね。一人で2人チャンピオンやるみたいな。UNIVERSAL王者としてのMAO、無差別級王者としてのMAO。それぞれ別の形で、別の色で防衛戦をしていきたいです。もし統一戦(ダブルタイトル戦)を要求してくる人がいたら、断ります」

<写真提供:DDTプロレス>

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