ディアナ香藤満月「プロレスはコンプレックスを長所に代える」

「写真提供:ワールド女子プロレス・ディアナ」
晴れてデビューしてからも、不安は消えなかった。プロレスラーになれたとの実感もなかったという。
「デビューできた達成感というのもホントになくて、これはまだ過程でしかないんだという気持ちでした。なので、最初はプロレス楽しくなかったです(苦笑)。(リング&会場の)設営から撤収まで全部全員でやるし、自分の試合もあって、終わったらすぐに仕事がある。ホントにあっという間に一日が終わる感じで、どんな試合をしたかも覚えていないような状態でしたね」
しかし、試合をこなすうち、しだいにプロレスについて考えられるようになっていく。他団体選手との交流もきっかけになった。
「プロレスが楽しいと思えるようになったのは、40試合くらいたってからですかね。尾﨑妹加さんとか、他団体のパワー系の選手と組ませていただく機会が増えて、自分の身体の使い方を教えてもらっていったんです。優宇さんや柊くるみさんの試合からも、こんな身体の使い方あるんだとわかったり。自分の身体が活かせるとなったら、プロレス楽しいなって」

コンプレックスを長所に代える。その思いが形になって表れるようになっていった。試合での香藤の動きを見ていると、とても100キロ近い体重を抱えているとは思えない。確かにこれは武器である。とはいえ、彼女にとって大きな身体はやはり劣等感につながっていた。プロレスラーをめざすまで、どうやってコンプレックスと向き合っていたのだろうか。
「小学生の頃から大きかったです。男女含めてクラスで一番重かったし、一番食べる(笑)。でも最初は、自分が特別大きいとは思ってなくて。というのも、みんなと一緒にドッジボールしたり鬼ごっこしたりしていたんですよね。普通にできていたので、自覚のないまま中学生になりました。でも、中学生になってからはイジメじゃないけど、体型でからかわれたりバカにされたりすることが増え始めて、あまりニコニコできなくなり。親にも言えず、学校に行かない時期もありました。高校生になってから、体重が80キロまで増えたんですね。年頃ですし、ダイエットしようと思い、50キロ台まで落としたんですね。でも気づいたら70キロ超えてて、すぐにまた60キロ切るくらいに落としたりとか。けっこうできるんですよ(笑)。そんなことを20歳くらいまで繰り返してました。落としたらまた増えるで、結局は劣等感が消えることもなく…」

「写真提供:ワールド女子プロレス・ディアナ」
それがいまでは逆に長所になっている。プロレスラーとして覚えてもらえる存在になった。現在の体重は96から97あたり。どうせなら100キロになりたいと、香藤は笑顔を見せる。
「プロレスって夢のある仕事だと思います。身体にコンプレックスを持ってても欠点を長所に代えられる。プロレスだけじゃなく、誰にでもコンプレックスを長所に代えられる場所がどこかに必ずあると思うんですよ。それが私にはプロレスでした。私はプロレスを通じて、それを伝えていきたいと思ってます」
そんな彼女がいまめざすべきは、若手ナンバーワンの座なのではなかろうか。他団体でライバル視するのは、EvolutionのChiChiやwaveの炎華。また、昨年末と年始にはプロレス入りのきっかけとなったスターダムに初参戦。ただ、スターダムにはあこがれではなく、すでにディアナ代表としての意識が大きくなっていたという。
「プロレスラーになって視点が変わっていましたね。スターダムさんには同期がたくさんいて、団体のライバルとして見るようになっていました。“出られた、やった!”という、うれしい感情はいっさいなく、勝ちにいく感覚でしたね。爪跡、結果を絶対に残してやるとの思いで行きました」
12・26竹芝では6人タッグマッチで敗れるも、1・3有明でのタッグマッチでは自身の勝利でディアナ軍に白星をもたらした。他団体、しかも25年開幕戦のビッグマッチで勝ち名乗り一番乗り。爪跡、結果とも残してみせたのである。
「今年は(ディアナのクリスタル王座、仙女ワールドジュニア王座など)ヤングのタイトル戦線に絡んでいきたいです」と目標を掲げる香藤。どこまで大きくなるか、注目したい。

インタビュアー:新井宏














