スターダムで「帰れコール」まで出たSareeeのブーイング騒動

写真提供:Sareee-ISM ペペ田中
開幕戦後、Sareeeは「正直、スターダムに負けたと思いました」と心境を吐露。しかも地方大会においてもブーイングは鳴りやまず、対戦相手に大声援が飛んでいた。
「開幕戦は会場が大きかったので、全体から聞こえてくる感覚でした。それが地方大会では入場してすぐ、ファンの人がブーイングしている顔が近くに見えるんですよね。ヒールではないのにブーイングされて、こっちはどんな表情していいのかわからない。それが怖かったです。ただ、自分はそんなブーイングに負けない強さを持ってる。そう信じてひるまない自分もいました。さらに燃えるというか、自分自身の強さも感じたんですよね」
ブーイングされ続けたことで、ある意味、新しい自分を発見できたともSareeeは言う。「スターダムに負けたとも思ったけど、このままじゃダメだと危機感が高まりました」

写真提供:スターダム
ブーイング現象の頂点を迎えたのが、8・11神戸でのHANAKO戦だ。勝利したSareeeが試合後、HANAKOに向けてマイクでダメ出し。その頃HANAKOはリーグ戦で予想以上の健闘を見せており、この試合でも大善戦。それでもSareeeは対戦相手、団体を挑発してやろうとさらに厳しい言葉をぶつけていった。それが憎らしく映ったのだろう。客席から「帰れコール」が自然的に発生したのである。
ここ数年、女子プロでの「帰れコール」は記憶にない。ブーイングもヒールスタイルを楽しむエンタメ型が大半であり、今回のように観客が拒否反応を示すブーイングじたいが珍しい。「あれはヤバかったですね」と、Sareee。予想を超えるブーイングの、さらに先を行く「帰れコール」。もしかしたら、彼女にとってプロレスラー冥利に尽きる出来事だったかもしれないが…。

写真提供:スターダム
リーグ戦では、決勝トーナメントに進むも優勝には届かなかった。それでも9・6横浜では公式リーグ戦で引き分けた鈴季すずとIWGP女子王座防衛戦をおこない、V2を達成した。そのうえ、気が付けばほとんどブーイングがない状態で試合が終わっていたのだ。試合後のSareeeは世界を視野に防衛していくとアピール、大きな歓声を受けた。シリーズを通じ、Sareeeは試合内容でブーイングを黙らせて歓声に代えてきたのか。これをもって、騒動は終結したのだろうか?
「どうなんでしょうね? もちろんリーグ戦でも声援はあったけど、ブーイングの方がずっと多かった。それがすずとの試合ではほぼほぼなかったというか、認めさせてきたのかなって気はしてます。相手がすずだったからというのもあるかもしれないし、まだわからないけど」

写真提供:Sareee-ISM ペペ田中
ここまで、帰れコールも含めブーイングはスターダム限定だった。他団体ではいつもの応援されるSareeeでいつづけた。たとえスターダムでブーイングが残ったとしても、全体的にはどこのリングでも応援されるSareeeに戻るのではなかろうか。そう思ったところで、彼女に再びブーイング…。ストロングスタイルプロレス9・11後楽園で、Sareee&彩羽匠組のスパークラッシュにブーイングが飛び、NØRI&光芽ミリア組に声援が集中したのである。
とはいえ、これはスターダムでの反応とは意味が異なる。この試合ではスパークラッシュのわかりやすすぎる強さが観客に伝わり、格下チームを場内全体で応援する雰囲気になったのだ。NØRIの奮闘と光芽のがむしゃらさが、スパークラッシュを一時的ヒールに仕立て上げたのである。
「ここでまたブーイング?」と驚いたSareee。とはいえ、意味は理解している。では、今回の騒動を彼女自身はどうとらえているのだろうか。

写真提供:Sareee-ISM ペペ田中
「やること言うこと、一つひとつにしっかり反応があって、大きく取り上げられる。そこからして初めての感覚というか、女子プロナンバーワン団体に上がるとはこういうことなんだと思いましたね。なので、絶対に何かを残してやるとの気持ちで闘い抜きました。優勝はできなかったけど、私のなかではすべてに意味があって全部が新鮮で、刺激的でした。ブーイングは屈辱でもあり、糧にもなりましたね。過去一熱い夏を過ごせたと思います」
女子プロでは極めて珍しい現象ではあったものの、男子では棚橋弘至も内藤哲也も予期せぬブーイングを体験してきた。レインメーカー前夜のオカダ・カズチカにもブーイングが浴びせられたものだ。苦難の時期を乗り越え、彼らは新日本で問答無用のトップに立った。いまSareeeが巻いているのは、IWGP(女子)――。

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話題性だけでなく、試合内容においても常に説得力を伴って闘っているSareee。女子プロレス大賞受賞の昨年以上の印象を残している感さえあるだけに、いまこそがキャリアハイと言えるのかもしれない。来年3・22横浜武道館、自主興行におけるデビュー15周年のビッグマッチも決定した。今後もSareeeから目が離せないことは間違いない。
インタビュアー:新井宏















