リアルとフィクションが交差する「Venus誕生」演出家&出演レスラーにインタビュー
アイスリボン全面協力のもと、リングを使った舞台『Venus誕生』が埼玉県蕨市・レッスル武闘館にて上演されている。
劇団Venus旗揚げ公演『Venus誕生』は、今年5月から隔月の毎週金曜日におこなわれており、11月7日から14日、21日、28日が最終幕。その内容により、来年1月4日、神奈川・横浜産貿ホールにて開催「プロレスリングVenus旗揚げ戦」の全貌が決まるという。1・4は「旗揚げ戦」と銘打たれているだけあって、演劇ではなくプロレス団体の興行としての開催。つまり、女優、練習生が成長していく姿をリングという舞台を通じて表現するのが『Venus誕生』で、その成果を闘う姿で披露するのが、1・4の旗揚げ戦だ。そこではフィクションが排除され、リアルなプロレスの試合が組まれるとのこと。プロレスラーを名乗る資格があると認められた者のみが、カードに組み込まれることになるのだろう。はたして、プロレス団体旗揚げをめざす物語から真のプロレスのリングへと上がる者は誰なのか?

写真提供:アイスリボン
基本はフィクションながら、なんといっても出演者のリアルな背景が物語に投影されていくスタイルがユニークだ。たとえば練習生を演じる人物がやめてしまえば、物語上でもいなくなり、トレーニングの進行具合によっても上演内容が変わってくるという具合である。
そんなリアルとファンタジーを融合させた画期的な演劇の演出を手掛けるのは、中山朋文。中山氏は「THEATER 045 SYNDICATE」を主宰、神奈川演劇連盟の理事長&副理事長がタッグを組んで製作する作品だという。前週の「WEEKEND女子プロレス」では公演の概要を紹介したが、今回は演出家、出演レスラーのインタビューをお届けする。
まずは、演出の中山氏。俳優でもある中山氏は、初代タイガーマスクの頃から40年来のプロレスファンでもあるという。だが、プロレスを題材とする作品は今回が初めて。昭和の新日本プロレスやUWFに熱中してきた中山氏が女子プロレスの世界をどう表現するのか。しかも、脚本は舞台の進行具合によってその都度修正されていくのだから、さまざまな苦労がありそうだ。

写真提供:アイスリボン
「プロレスを題材とするのが初めてで、お話をいただいたときはすごくうれしかったですね。それでいて、演技指導でリングに上がるときには緊張しました。土足で上がっていいものかとか(苦笑)。また今回はプロレス団体旗揚げをめざすセミドキュメンタリー形式ということで、その部分もいつもとは違って、最初は戸惑いましたね。ただ、物語が進んでいくなかで登場人物の育っていく姿をリアルに見せられるというのがすごくおもしろくて、作家とも話を進めながらストーリーを考えていくことになります。成長具合というのはそれぞれに差が出てくるものなんですけど、見ていて明らかに身体の動きが変わっていくのがわかります。第1話では、道場でやっている練習を延々とお客さんの前で見せたんですね。受け身大丈夫かなと思いながら見ていると、だんだんそれができるようになっていくんですよ。また、実際に劇中でリングにロープを張る設営作業を物語に組み込んで見せたり。演者の中にはプロレスラーの方もいて、だんだん芝居がうまくなっていくんですよね。なので、キャラクターとしての成長も感じます。たとえば、みなみ飛香さん。本人は演技が苦手と言ってますけど、毎回毎回よくなってますよ。たとえば、本人が納得できないというセリフをマイクを持たせて言わせてみたら、すごくうまくできたりとか。俳優が言葉をたくさん使ってやることをレスラーはチョップ一発で表現できたり。やっぱり、プロレスラーってリングに立つと画になる。そこがプロレスラーのすごいところだなと、あらためて思いましたね」

これはうまくいったケースだが、脚本通りにいかずに修正が加えられる場合はどうなのだろうか。
「練習の場面でスクワットや腕立てなど、想定回数できなかったら? それはそれでいいんじゃないかと思ってます。それはある意味で、プロの厳しさを見せられるひとつのやり方かなと思いますね。立てなかったら立てなくていい。それはそれで感情移入できるし、リアルに消耗していくさまがいいと思います。実際に、最初の頃にはそういう場面もありました」
また、中山氏はもともとプロレスファンでもある。わかる人にはわかるマニアックなプロレスネタを物語に忍び込ませたりすることもあるようだ。もちろん、気づかなくても問題はない。が、わかればクスリとできる工夫もされているから、長年プロレスを見てきたファンには楽しみでもある。














