【JBエンジェルス】山崎五紀&立野記代、40年目の真実― 伝説のタッグが語る“還暦カーニバル”と、全女時代の光と影「今になってすごく大きな財産になっている」

■60歳のリアルバースデー「もう、三十路でショックは終わってる」

――そして、今大会の12月1日は、立野さんご自身の、60歳、還暦の“リアルバースデー”でもあります。この日に、リングに上がる、ということについては、いかがですか。

立野: いや、もうそれしか選択肢がなかったんですよ(笑)。GAMIに頼んだ時点で会場を押さえられるのが、12月の平日しかなくて。「なんで日曜とか祝日、取れなかったの!?」って聞いたら、「ノリさん、今からじゃ取れるわけないですよ」って(笑)。それならもう平日でも「誕生日だから」っていう大義名分がある1日しかないよね、って。それで、決まりました。

――ですが、ファンの方々と還暦の誕生日をリングの上で祝ってもらえるなんて、これ以上ないスペシャルな一日になりそうですね。

立野: それは、もう、本当に嬉しいですよね。プロレスラー冥利に尽きる、というか。

――60歳という年齢を迎えることについて、山崎さんは、どう感じていらっしゃいますか?

山崎: 私、40歳の時の方がよっぽどショックでしたよ。60歳よりも。

――えっ、40歳の方が、ですか?

山崎: はい。「私、40歳になるんだ……」みたいな。自分が子供の頃に見ていた「40歳」って、もうすごい年上のおじさん、おばさんのイメージがあったから。それに自分がなるんだっていうのが衝撃で。

立野: 私は30歳の時がショックでしたね。もう受け入れられなくて、誕生日やらなかったですもん。

――お二人とも、ショックを受けるタイミングが、早かったんですね(笑)。

立野: そうそう(笑)。「大人になっちゃう」みたいな。もう十分大人だったんですけどね。でもそこを過ぎてからは、もうあっという間。全然、何も意識しなくなりました。

 

■レジェンド集結!「一番強そうな人の後ろに隠れます(笑)」

――今大会では“還暦カーニバル”にふさわしく、「元全女メンバー集結!KANREKIバトルロイヤル」も行われます。ジャガー横田さん、ダンプ松本さん、クレーン・ユウさん、アジャコングさん……と、とんでもない顔ぶれですが。

立野: もう、どうなっちゃうんでしょうね(笑)。

――この試合にはお二人も出場されるんですよね?

立野: はい。もう一番強そうな人の後ろに、ずっと隠れてようかな、と(笑)。

山崎: 本当に(笑)。もう今の私たちの身体って、ちょっとどこかにぶつけただけでも、アザになっちゃうぐらい、脆くなってるんですよ。

立野: そうそう。痛みをもう受け入れられない身体になっちゃってるから。

――ですがこのメンバーが一つのリングに揃うという画は、往年のファンにとってはそれだけで感涙ものです。

立野: ねえ、このメンバーの年齢を全部足したら一体いくつになっちゃうんだろうね(笑)。

山崎: でも、本当に当時の全女を知る人にとっては、それだけでお腹いっぱいになってもらえるんじゃないかなとは思いますね。

 

■メインイベントへの想い「“今の女子プロレス”の最高峰を見せたい」

――そして、今大会のメインイベントには、橋本千紘&優宇の「チーム200キロ」 vs Sareee&望天セレネという、現在の女子プロレス界の最前線を走るメンバーを抜擢されました。このカードをメインに据えた、立野さんの想いを、お聞かせください。

立野: これはもう私がチーム200キロの大ファンだからです。後輩の遠藤美月の引退試合を見に行った時に、彼女たちの試合を見てもう一瞬でファンになっちゃって。「もし、自分が興行をやるなら、メインは絶対にこの二人だ」って、その時に決めていました。

――チーム200キロのどういった部分に、そこまで惹かれたのでしょうか。

立野: やっぱり、あの身体の大きさ! そして、頑丈さ! 今の女子プロレスってモデルさんみたいに綺麗な子たちばっかりじゃないですか。その中であの二人の圧倒的なフィジカルと、それを支える技術力。そこが本当に魅力的なんです。

――優宇選手も引退を控えています。

立野: そうなの! オファーした6日後に引退発表があったから、本当にギリギリでした。私が引退を知らずにオファーしたんですけど、間に合って良かった。

――対するは、Sareee選手、そしてパートナーは望天セレネ選手という、これまた異色のタッグです。

立野: Sareeeちゃんは彼女がデビューする前から、ちょっとしたご縁でお世話になっていたので。いつか恩返しがしたかった。だから今回ダメ元でオファーしたら「出ます!」って、快く引き受けてくれて。本当にありがたいです。

――このカードには今の女子プロレスの最高峰を見せたいという想いが?

立野: はい。私たちJBエンジェルスがどうこうっていうのは、もう二の次でいいんです(笑)。それよりも今、一番輝いている選手たちの、最高の試合をお客様に見ていただきたい。その想いで、このメインイベントを組みました。

■クラッシュも、極悪も「私たちにとっては、一個上の“先輩”」

――少し時間を遡らせてください。JBエンジェルスが結成された当時、女子プロレス界はまさにクラッシュ・ギャルズ旋風の真っ只中でした。お二人にとって、クラッシュ・ギャルズや、極悪同盟は、どのような存在だったのでしょうか。

立野: うーん、私たちにとっては、ただの「一個上の先輩」なんですよ。

山崎: そうそう。年も1歳しか変わらないから。新人の頃からずっと一緒に仕事をしてきた、っていう感覚の方が強かったよね。

立野: だから世間であれだけ人気が出ていることが、逆に不思議で。「え、どこが、そんなにカッコいいんだろう?」って、本気で思ってました(笑)。

――(笑)。それだけ日常的に身近な存在だったと。

立野: 当時の全女って、A班とB班に分かれて巡業してたんですけど、仕事は新人とその一つ上の先輩が一緒にやるんですよ。だからコミュニケーションはすごく多かった。仲も良かったですよ。寮も同年代はみんな一緒でしたから。

――そのリング外での関係性があったからこそ、リング上での、あの熱狂が生まれたのかもしれませんね。

立野: そうですね。私たちは、ちょうど、ビューティー・ペアのブームが終わった、下火の時代に入門しているんです。だから興行師の人に「こんなに客の入らない団体に、お前たちは何を求めてきたんだ!」って、怒鳴られたこともありました。「夢と、希望を持ってきました!」って、言い返しましたけど(笑)。だからお客さんがガラガラの時代も、クラッシュたちのおかげで、超満員になった時代も、両方を知っている。それは、貴重な経験でしたね。

(【後編】へ続く)

インタビュアー:山口義徳(プロレスTODAY総監督)

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