【WWE】AJスタイルズ、四半世紀のプロレス人生に終幕!ホームで明かした「グローブの謎」と、アンダーテイカーが告げた殿堂入りの栄誉

米国プロレス団体WWEは2月23日(日本時間24日)、ジョージア州アトランタで開催された「ロウ」にて、「トリビュート・トゥ・AJスタイルズ」と題した引退セレモニーを実施した。

世界中のマット界を席巻した稀代の天才レスラーは、ファンの前で正式にリングへ別れを告げるとともに、2026年度の「WWEホール・オブ・フェイム(名誉殿堂)」入りという最高の栄誉を授与された。

1998年のデビュー以来、およそ四半世紀にわたりプロレス界の最前線を走り続けてきたAJスタイルズ。その歩みは、そのまま世界のプロレス史を彩る輝かしい軌跡であった。

2002年から在籍した米TNAでは、持ち前の身体能力と高度なリングスキルで頭角を現し、同団体史上初のグランドスラムを達成。

2014年には新日本プロレスへ電撃参戦し、オカダ・カズチカを破りIWGPヘビー級王座を奪取するという衝撃をもたらした。

BULLET CLUBのリーダーとしても君臨し、日本のファンに強烈な印象を刻み込んだ。  

さらに2016年のWWE入団後も瞬く間に頂点へ上り詰め、2021年にはWWEでもグランドスラムの偉業を成し遂げている。

専門誌「プロレスリング・イラストレーテッド」において2010年代最高のレスラーに選出されるなど、歴史上最も偉大なプロレスラーの一人として確固たる地位を築き上げていた。

常にトップパフォーマンスを魅せてきたAJスタイルズであったが、昨年9月に2026年中の現役引退を突如として表明。

そして迎えた今年1月31日の「ロイヤルランブル」において、グンターを相手に「負けたら即引退マッチ」を敢行した。

結果はスリーパーホールドによる失神負けとなり、この瞬間、現役生活にピリオドが打たれた。  

しかし、この試合の直後、マット界は一つの「謎」に包まれることとなる。

敗れたAJスタイルズは、プロレスラーの引退の儀式として定着している「試合用グローブを外してリングに置く」という行動を見せたものの、なぜか再びそのグローブを着け直して退場したのである。

この不自然な振る舞いは、ファンやメディアの間で「他団体で現役を続けるのでは?」という様々な憶測を呼んでいた。

そうした波紋が広がる中で開催されたのが、自身の故郷であるゲインズビルに近いアトランタでのセレモニーであった。

リングサイドには、新日本プロレスとWWEの両団体で激闘を繰り広げ、1月24日にも最後の名勝負を紡いだライバル・中邑真輔をはじめ、多数のスーパースターが駆けつけた。

客席からの「サンキュー、AJ!」という大合唱に包まれながらリングに上がったAJスタイルズは、最前列で見守る最愛の妻と子供たち、そして共に戦った仲間たちへ深い感謝の言葉を紡いだ。

特に、世界中を飛び回る過酷なプロレスラー生活を支え続けてくれた妻へは、万感の思いを込めてこう語りかけた。

「俺が誇れる事、世界中で世界王者になった事じゃない。俺が1番誇れる事を教えてやる、最高の妻と結婚した事だ。俺を止めずに背中を押してくれた。家族を支えてくれた、俺がフェイスタイム(ビデオ通話)ばかりだったのに。お前しかいない、愛してる」

家族への愛を伝えた後、最後の試合となったグンター戦についても感慨深げに振り返った。

「グンターとの試合は思い通りにはいかなかったけれど、自分が(WWEでのキャリアを)スタートさせた場所で身を引くことになった」

そして、全世界のファンが抱いていた「グンター戦後のグローブの謎」について、ついに自らの口で真意を語り始めた。

「疑問に思う人もいるだろう。俺は約束を守る男だ。発言を撤回しない」

 そう力強く宣言すると、着ていたジャケットを脱いでマットの中央に置いた。続けて、サウジアラビアの地でグローブをリングに残さなかった理由を明かした。

「家に持ち帰りたかったからだ。アトランタにグローブを置きたかった、ホームにな」

憶測を一蹴するその言葉とともに、両手のグローブをゆっくりと外し、静かにジャケットの上に放り投げた。生まれ育った故郷の地、ファンと家族が見守るこのリングこそが、自らのキャリアを収めるべき真のホームであったのだ。  

正式な引退の儀式を完遂した天才は、観衆を見渡し、最後のメッセージを送った。

「心から言える、みんながいなかったら俺はいない。愛をありがとう。愛しているぜ」

コーナーポストに登り、代名詞であるポーズを決めたAJスタイルズ。入場ステージにはトリプルH、コーディ・ローデス、CMパンク、中邑真輔らロッカールームの面々が姿を現し、惜しみない拍手を送っていた。

感動的なフィナーレを迎えようとしたその時、突如として場内に不吉な鐘の音が鳴り響き、暗転した。

異様な歓声が渦巻く中、自慢の愛車であるハーレーダビッドソンに乗って入場してきたのは、WWE殿堂者の〝アメリカン・バッドアス〟ジ・アンダーテイカーであった。

アンダーテイカーの現役最後の試合は、2020年4月の「レッスルマニア36」におけるAJスタイルズ戦である。因縁深き生ける伝説の登場に会場は大きく沸き立ったが、リングインしたアンダーテイカーの第一声は不穏なものであった。

「俺とお前は終わってないぞ」

この言葉に一瞬困惑の表情を浮かべたAJスタイルズであったが、オシャレなサングラスをかけたアンダーテイカーは、穏やかなトーンに声色を変え、真の目的を告げた。

「AJ、俺は誇りに思う。お前に知らせるよ、お前が最新メンバーだ。2026年度WWE殿堂入りのな!」

その瞬間、驚きと喜びが入り交じった笑顔がAJスタイルズの顔に広がった。

「うれしいよ、ありがとう」

最大の賛辞を贈られたAJスタイルズはアンダーテイカーと歓喜の抱擁を交わし、続けてリングに駆け上がってきた妻と3人の子供たちを力強く抱きしめた。

四半世紀にわたり、卓越した技術と類まれなるセンスで世界中のファンを魅了し続けたAJスタイルズ。

様々な憶測を自らの言葉と行動で優雅に振り払い、偉大なる伝説からのサプライズという最高の祝福を受けた“フェノメナール”は、万雷の拍手と称賛のシャワーを浴びながら、プロレスラーとしての美しき最終章の幕を下ろした。

本大会の模様は「ABEMA」にて中継された。

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