【新日本】海野翔太が“裕二郎お兄ちゃん”を熱闘撃破!「心のキャッチボールができた」恩讐越え『NJC』8強入り
新日本プロレスの春の最強戦士決定トーナメント『NEW JAPAN CUP 2026』第7戦が3月14日、愛知・名古屋金城ふ頭アリーナで開催された。
セミファイナル(第6試合)に組まれたトーナメント2回戦、海野翔太と高橋裕二郎の一戦は、幼き日の純粋な記憶と現在が激しくぶつかり合う、極めて特異な空間となった。
海野翔太にとって、高橋裕二郎は少年時代にキャッチボールの相手をしてくれた憧れの「裕二郎お兄ちゃん」である。
しかし現在の高橋裕二郎は、反則と介入を常套手段とする極悪軍団HOUSE OF TORTURE(H.O.T)に属している。

ところが、この日の高橋裕二郎は異質な空気を纏っていた。前哨戦で手渡された思い出のグローブとボールを携え、セコンドを伴わずに単身で入場。
さらに試合中盤、介入を図ろうとエプロンに近づいたディック東郷と金丸義信に対し、「今日は翔太と二人でやらせてくれ!頼むよ!」と懇願して退去させたのだ。

かつての姿を取り戻したかのような高橋裕二郎と、その想いに応えようとする海野翔太。
両者は額を突き合わせ、意地と意地がぶつかり合う凄絶なエルボー合戦を展開し、館内を深い感動と熱狂で包み込んだ。

しかし、美しき真っ向勝負は最後まで続かなかった。劣勢に立たされた高橋裕二郎は、突如としてレフェリーを巻き込む反則に転じ、H.O.Tの面々をリングへ呼び込む。
自らも極悪軍団のタンクトップを身にまとい、再び無法の闇へと堕ちていった。
それでも、海野翔太の眼差しに曇りはなかった。

乱入者たちを次々と自力で排除すると、最後は必殺のSecond Chapterを完璧に炸裂させ、3カウントを奪取。

試合後、大の字で倒れ伏すかつての憧れの人の胸に、そっとグローブとボールを置き、深く座礼をして敬意を示した。
極悪に染まる道を選んだ先輩を自らの手で介錯し、3月17日郡山大会での準々決勝(ザック・セイバーJr.対大岩陵平の勝者と対戦)へ駒を進めた海野翔太。

バックステージでは、清々しい表情とともに、リング上で起きた一瞬の奇跡について熱く語った。
海野「前と同じだ。俺は裕二郎お兄ちゃんがどんな道に進もうと、否定する気は1ミリもない。反則だろうが、介入だろうが、裕二郎お兄ちゃんが思って行動してるんだったら、ただそれを貫けばいい。でも、ほんの少し、ほんの少しでも熱いものを秘めてるなら、俺はいつでもウェルカムだ。少しでも今日、皆さんに伝えられたんじゃないか?キャッチボールっていうのは物理的なものではない。俺の呼びかけは心のキャッチボールだ。自分の意見や意図を、相手の胸に分かりやすく伝えやすく捕れるように投げる。そして相手も自分へみんなへ、意味が分かるように伝えられるように、意図を受け取ってもらえるように投げ返す。その回数が増えれば、心のキャッチボールは完成する。少し暴投はあったかもしんない。でも、俺は試合を通じて裕二郎お兄ちゃんとキャッチボールができた。次のステップは何だ?もう一度少年・海野翔太の描いてた通り、そして大人になった海野翔太が描いてる通り、物理的にまたキャッチボールできればいいっすね。でも、あの頃と変わらない、強くて、カッコ良くて、優しい裕二郎お兄ちゃんが見れたから。ありがとうございました」
高橋裕二郎は無言のまま控室へと消えた。完全に改心したわけではないかもしれない。
しかし、海野翔太が投げ込んだ真っ直ぐなボールは、確かに極悪に染まった男の胸の奥底へ届き、一瞬の「心のキャッチボール」を成立させた。
勝負の世界の残酷さと、それを凌駕する人間ドラマが、名古屋の夜に深く刻み込まれた。
<写真提供:新日本プロレス>















