【編集長コラム】「『日本の夏』は『新日本プロレス・G1の夏』」

「夏の本場所」新日本プロレスの「G1クライマックス28」が、間もなく開幕(7月14日、東京・大田区総合体育館)する。

今年で28回目となるG1。20名のツワモノがA、B両ブロックに分かれ、公式リーグ戦を争い、勝ち抜いた勇者が決勝戦(8月12日、東京・日本武道館)で激突。「G1覇者」という、IWGPベルトにも勝るとも劣らない勲章を手に入れることになる。

思えば、さまざまな“事件”が起こった。毎回、毎年、様々なドラマがあるが、その一部を振り返る。

第1回(1991年)大会では「闘魂三銃士」が一気にのし上がり「伏兵」蝶野正洋の優勝に、両国国技館のリングに「金の雨」ならぬ「座布団の雨」が降り注いだ。

第4回(1994年)大会で3度目のVを飾った「夏男」蝶野が黒く変身。後のnWo軍団につらなる反体制運動をスタートさせた。

「第三世代の雄」中西学が武藤敬司をアルゼンチンバックブリーカーで豪快に担ぎ上げ歓喜の雄叫びをあげた第9回(1999年)大会。武藤は最終日、三試合を戦うなど「過酷なG1」そのものだった。

「二代目夏男」天山広吉が初制覇した第13回(2003年)大会では、決勝戦で秋山準(当時ノア)を退けた瞬間、団体対抗戦の感もあり、両国国技館は大爆発した。天山は翌第14回(2004年)大会で、三銃士を三タテし二連覇を達成。時の流れを強烈に印象付けた

「愛してま~す!」と、棚橋弘至がアピールした第17回大会(2007年)。IWGP王者・永田裕志を退けた光景は、またまた「新時代」の到来を満天下に知らしめた。棚橋は8年ぶり、2回目の制覇を果たした第25回大会(2015年)では、優勝旗を振り回して「折ってしまう」という“不祥事”も起こしている。

若手の頃から「G1のGは後藤のG」と繰り返していた後藤洋央紀が、ついに優勝大トロフィーを手にした第18回大会(2008年)。ちなみにGはgrade(グレイド)のGで、「ナンバー1の等級」つまり「最高の闘い」である。

中邑真輔の「一番スゴイのは、プロレスなんだよ~!」宣言が、飛び出した第21回大会(2011年)で「棚橋・中邑時代」が確立されたと思いきや、第22回大会(2012年)で、オカダ・カズチカが初出場初優勝。最年少優勝記録を塗り替え「3強時代」に突入する。

第26回大会(2016年)ではケニー・オメガが外国人初優勝を果たした。昨年の第27回大会では、内藤哲也が4年ぶり2回目の制覇。「ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン」の大合唱が、両国国技館に轟いた。

新日本プロレス、いや日本プロレス界の変遷が、そのまま繰り広げられるG1。華やかな表舞台はもちろんだが、舞台裏でも過酷な争いが展開されている。

コンディション調整が万全でも連日の激闘とあって、負傷してしまうこともある。途中棄権に追い込まれた選手もいる。いったん負傷欠場した後、シリーズ中に復帰した猛者もいた。出場を打診されたベテランレスラーが間髪空けずに「無理」と答えたこともある。

時の現場監督から「G1は特別なんだ」と、繰り返し聞かされた。「誰の調子が良さそうだ?」「勢いのあるやつはいるか?」などと、逆取材されたこともある。選手にとっても団体にとっても、特別なG1。見守るファンのスペシャル感も半端ないだろう。

「暑い夏」をますます熱くさせるG1。今年は「ゴールデン☆スター」飯伏幸太のG1となるのか。一緒にトレーニングする石川修司は「飯伏選手はとんでもなく、練習している。今年にかけている」と証言する。

飯伏の「ゴールデン☆ラヴァーズ」の盟友ケニー・オメガは一足早くG1を獲得し、今年はIWGP王者として参戦する。

飯伏VSオメガはBブロック公式戦最終戦(8月11日、日本武道館)で激突。DDT時代に、日本武道館を熱狂させた一騎打ちから6年。ともに進化した二人の注目の一戦で、Bブロック1位が決まることは間違いないだろう。

今年の「G1のGはゴールデン☆スターのG」。毎年、難しい優勝予想だが、今回は飯伏幸太に期待したい。

「日本の夏」は「新日本プロレス・G1の夏」。燃え盛る夏を待ちきれない。

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