『プロレス秘史1972-1999』<小佐野景浩氏インタビュー②>週刊ゴング時代、熱血プロレスティーチャーのこれから!

③熱血プロレスティーチャーのこれから

 

–最後に熱血プロレスティーチャーのこれからということで、今後どのような活動をされていくご予定ですか?

 

小佐野:もうこの年になるので、自分の役目というものを考えますよね。ひとつ心がけていることは、こういう本を出したり、今までのキャリアがあるので、昔のことについて書いたり、取材していただくことが多いんだけど、でもそれって今のプロレスが分かってないと絶対駄目なんですよ。ただ過去のものになってしまうから。今のプロレス界の空気、常にその現場の空気を感じるために少しでも会場に足を運んで取材をすると。

 

–小佐野さん、僕がいつ会場に行ってもいらっしゃいますもんね。

 

小佐野:今のプロレスを見てなきゃ駄目ですよね。で、今のプロレスも伝えられなきゃ駄目ですよね。
昔のプロレスを見てきた人が、じゃあ今のプロレスをどう伝えるのっていうのもあるわけじゃないですか。そういう価値観を持ってきた人が今のプロレスをどう伝えるのかというのもあると思うんですよね。やっぱり時代の違いも感じるし、昔を見てるから感じるところもあるだろうし。やっぱり試合の心地いいリズムが変わってきたなとか、音楽と一緒で。だからTKが宇多田ヒカルが出てきてから分からなくなったっていうことを言ってたけど、今のケニー・オメガの試合って僕達が見てきたプロレスとは全然違うものなんですよね、リズムが。今はこういうものがプロレスになってきたんだなっていう新たな発見もありますからね。だからこそ棚橋弘至対ケニー・オメガという試合が組まれるんでしょうけど。

 

–小佐野さんには語り部として、今後もいろんな形でプロレス界に携わって欲しいです。

 

小佐野:でもだからってベテラン記者ですってドスンと構えている感じじゃなくて、いつもその現場にいたいですよね。神棚にのせられたら、悲しいことで(笑)。

 

–小佐野さんや三田(佐代子)さんは本当によく会場にいらっしゃるじゃないですか。そういうベテランの方が会場にいらっしゃるのを見ると、新参者の自分も嬉しいし頑張らなきゃなって思いますね。

 

小佐野:あとはやっぱり、「今のプロレスは」っていう話になるじゃないですか。でもそれって今のプロレスを見てないと言えないですからね。
昭和のプロレスが好きな方は、今のプロレスを批判される方もいらっしゃいますけど、僕はどちらも好きだし、今のプロレスは昔と違うというよりも進化したものだと感じるんですよね。
今の時代に合ったものなんでしょうから。あとは好きか嫌いか好みの問題ですよね。さっきの「この人に言われれば仕方ない」っていう話もそうですけど、ゴングはメジャー団体を扱うことが多かったじゃないですか。でも僕はなるべくインディーの団体も見に行ってたんですよ。「見てないから載せてないんじゃないんだよ、見てるけど載せてないだけなんだよ」って。「聞かれれば答えられるんだよ」っていうのを団体やインディーの選手に分かってて欲しかったっていうのはありますね。だから今の選手にも「見てないくせ」にって思われるのが嫌だから、なるべくいろんな試合は見るようにしてますね。

 

–僕もなかなか会場に足を運べていないので、尊敬しますね。

 

小佐野:まあでも、僕も締切が近いとなかなか行けなかったり、巡り合わせで「最近はあの団体にあんまり行けてなかったな」っていうのはどうしても出てきちゃいますけどね。

 

–今はいろんな団体がありますもんね。女子団体も昔より増えましたし、都内だけでも同じ日にいろんな会場で試合が行われてますよね。

 

小佐野:今のレスラーはプロレスに真面目で純粋ですよ。昔の人の方が純粋じゃないって言ったらあれだけど・・・、なんていうか昔の人は職業意識かな。「これで飯を食ってるんだ」って感じ、今の人は本当にプロレスが好きでプロレス道を目指しているって感じがします。だって今のプロレスラーなんて、SNSでいろんな発信もしてるし、試合だけでも大変なのによくあんないろんなことをしているなって思いますね。
取材なんかに対しても、一生懸命自分のことを話して理解してもらおうとしてるじゃないですか。昔のレスラーは、「試合見てりゃいいんだよ!ごたごた言いやがって。」みたいな人もいっぱいいたわけじゃないですか(笑)。確かにそれ言われたら、そりゃそうなんですけどね。

 

–でもその時代、もっとファンの時代からプロレスを愛して長年プロレス界を見てこられた方ということで、尊敬しますし、お話を伺っていても本当に楽しいです。

 

小佐野:感覚的には昔のいい加減な村社会のほうが好きだったんですけどね(笑)。今は体制とか本当にちゃんとしてますよね。

 

–天龍同盟の時期なんか大変だったんじゃないですか?

 

小佐野:大変でしたね。吐いて、あご外れたりとかね。まあよくやってましたよね。テリー・ファンクが言うには「この業界はタフガイしかいられない」って、本当そういう世界でしたね。選手もスタッフもマスコミも含めて。だって柴田くん(元東スポ)なんて天龍さんに蹴り入れられましたからね(笑)。

 

–面白いですね、そういう時代があったなんて。

 

小佐野:雑談みたいになっちゃいましたね。これ記事になりますか?大丈夫ですか??(笑)

 

–すごい色んなお話が聞けたので嬉しいです。本日は有難うございました。プロレスTODAYユーザーの皆さんにも小佐野さんの『プロレス秘史1972-1999』を是非オススメさせて頂きます。

 

小佐野:こちらこそ有難うございました。

 

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