【独占対談】里村明衣子とウナギ・サヤカ、女子アスリートとしての挑戦を語る「生理と戦う女子レスラーの覚悟」
―― Q23 自分のベストバウトは?
里村)2000年、2001年頃の北斗晶戦とアジャコング戦ですね。
―― どういうところがベストなのかと思われます?
里村)いや、これは自分でそう思ったのではなくて、ファンの方からあの試合は強烈に印象に残ってるっていうふうによく言われます。
―― 自分としても思い出深い?
里村)思い出深いです。忘れられないですね。いまだに技の攻防を一つ一つ覚えてますよ。25年前の攻防。
ウナギ)何ですかね。ベストバウト。でも2023年7月7日の田中将斗戦ですかね。男子のリーグ戦に出た時の。緊張感が尋常じゃなかったですね。本当に技一つで殺される可能性があるくらい全然力も違うし。次の日、立てなかったですね。ダメージが凄すぎて。あとなんだろう、2024年9月2日の後楽園での鈴木みのる戦。あと、ウナギ・サヤカ対藤田ミノル&葛西純。これも顔面流血しちゃって。でもめっちゃ楽しかったです。生きてるなって思いました。
―― Q24 試合中、今までで一番やばいと思った瞬間は?
ウナギ)やばいと思った瞬間は2024年の1月7日の試合の時、彩羽匠とのシングルで蹴りがガッチリ入って頭真っ白になって。フワっとしたまま控え室帰ってきて「あれ、後楽園ホールじゃん」って試合をやったことも飛んじゃって。その時はさすがにやばいなと思いました。冷静になんなきゃ、冷静になんなきゃみたいな。あれは結構やばいなって思いましたね。
里村)私は生理痛。私、生理痛がすごい酷いんですけど、薬飲んだのに試合の時に全然効かなくて、もう痛すぎて。生理痛で痛すぎて記憶が飛ぶみたいな。もう真っ白になるみたいなのを経験したことある。
ウナギ)それ何のカードの時ですか?
里村)もう若い時。アジャさんいらっしゃいましたけど。
ウナギ)一番嫌だ。
里村)体重重いから乗られるそれでまた痛いし。
ウナギ)こんなに試合やっているのに一番やばいのが生理痛?
里村)生理痛。生理痛はつきものだからね。
ウナギ)そうですね、いつ来るかわかんないですしね。
里村)そう、そうなんです。
―― Q25 キャリアの中で、一番嬉しかった瞬間は?
里村)WWEのトップのトリプルHさんに契約してくれと直接話をいただいた時が嬉しかったです。試合の後、負けた試合だったんですけど、すぐ契約したいという話をいただいた時は、すごい嬉しかったです。
―― 海外でやってみたいという気持ちが強かった?
里村)そうなんです。実はその10年前に一度断られたんですよね。WWEに書類を送って、その書類さえも全然受け付けてもらえなくて。メール一言であなたのようなスタイルは受け付けてませんって返答が来て。あぁ、ダメだったなと思っていたんですけど、その何年後かに同じ人からメールが来て、オファーをもらって試合したら、その試合の後に契約してくれって言われたので。ようやくここまで来たなと思いました。
ウナギ)私は何だろう。ちょっと1個に絞れないんですけど、本当にやりたいと思ってた相手と試合が決まる瞬間。私って多分勝敗だけで言うと結構負けてるんですよ。確かにプロレスラーって強い相手とやりたいんで、私もそれはもう常々思ってて、強い奴とやりたい。里村芽衣子とやりたいとか思ってるけど、やっぱりそれって相手の気持ちがないと試合って組まれないじゃないですか。そういう決まる瞬間、自分の気持ちだけじゃなくて、相手が受けてくれる瞬間っていうのは、やっぱりキャリアの中で一番嬉しい瞬間ですね。
―― 試合の勝利とかチャンピオンになったとかではないんですね?
里村)そうですね。
ウナギ)チャンピオンになるのも嬉しいけど、やっぱり試合組まれたりとか、そういうオファーをもらう時って、プロレス界の人たちに認められてる瞬間なので。私はプロレスの試合は勝ち負けだけじゃないと思うし、負けても格好良い背中見せられる人と見せられない人っていっぱいいるんで。やっぱりその自分が認められてるというか、試合が決まる瞬間が一番嬉しいですね。
―― Q26(ウナギさんから、相手に聞きたい質問を一つ)
ウナギ)引退した人も含め、女子とか男子とか関係なく、シングルマッチをできるとしたら、誰と一番してみたいですか?
里村)小橋健太さん。
ウナギ)いやー、そうなんだ。
里村)プロレスラーの鏡ですよね。
ウナギ)確かにあのラリアットとか、一回食らって見たいですもんね。
里村)いやぁ、夢ですよね。プロレスファンだったら。
ウナギ)そうか。男子選手なのか。
里村)小橋さんはすごい憧れだよ。
ウナギ)見たいです。小橋さんVS里村さんはめっちゃ見たいです。
―― Q27 (里村さんから、相手に聞きたい質問を一つ)
里村)老後のお金の心配してる?
ウナギ)全くしてないですね。
里村)え、すごいね。
ウナギ)だってなんとかなりません。
里村)すごい。
ウナギ)貯蓄があるとかじゃないですよ。何とかなるでしょうっていうやつですよ。
里村)すごい。実は私、37歳まで貯金0だったんですよ。
ウナギ)え、本当に?
里村)本当。31歳の時に独立したんです。東日本大震災の年に独立して、そこからずっともうお金が全然なくて。社員とかスタッフにお給料は出してましたけど、本当にギリギリでしたね。よくあれでやれてたなと思って。なんとかなるでしょうみたいな感じで言ってたけど、それじゃもうダメ。40歳になったら変わるよ、考えが。でもさ、(ウナギは)余裕あるよね。余裕ある顔をしてる。
ウナギ)でも本当に反動でめっちゃ使っちゃうんで、4月の両国大会のお金とか。結構どかんっていくんで、すごいやばいと思います。でも別に10万だったら10万の生活全然できるし、100万だったら100万の生活も全然できるし、節約生活も全然できますし、いっぱい使うのも全然できる。でも怖いですね。
里村)健康でいないとね。
ウナギ)健康でないといけないです。頑張ります。
里村)本当に40過ぎて、がらっと変わるので、金銭感覚。ほんと変わりました。
ウナギ)どうなるんですか?
里村)切実になりましたよ。切実。堅実。
ウナギ)それは貯金するようになるってことですか。
里村)そう。65歳ぐらいまでを今もう見据えてる。今後持ち家がいいのか賃貸がいいのかみたいな。そういうところからも考えてやるようになって。でも何も考えてないなっていうけど、ペットにかけるお金、すごそうだよね。
ウナギ)はい。猫4、犬1、キツネ1いるんで。
里村)キツネを普通飼うか!
ウナギ)ノリで買いましたね。
里村)ペットにかける愛情もすごそうだし。
ウナギ)可愛いです。めっちゃ。
―― いつからお金の心配をするように?
里村)コロナでしたね。いきなり試合ができなくなったりして。
ウナギ)コロナの時、何してました?
里村)ソファーに寝そべってたら血の気が全部引いた。これからどうやってみんなにお給料を払おうって。
ウナギ)そこがあるんですもんね。
里村)そこをひたすら考え。
ウナギ)道場でトレーニングとかされてましたか?
里村)いや、あんまりしなかったね。もうみんな休ませてた。
ウナギ)怖かったですもんね。あの時。
里村)何かあった時に備えて、自分で必要経費の6か月分はストックしてたんですよ。ずっと。それで半年はもちましたけど、これが0になったら本当にもう生活できないって思った時に、自分自身のこれから、会社のこれからを考えるようになったんですよね。
ウナギ)人を雇ってたら、めっちゃ大変ですよね。
里村)いや、そこはもうそうですね。
ウナギ)私は何もしてなかったです。毎日『ウォーキング・デッド』見ながらハイボールがぶがぶ飲んでました。朝7時まで『ウォーキング・デッド』見ても誰にも怒られないと思いながら。
里村)さすがウナギ・サヤカ。