【独占対談】里村明衣子とウナギ・サヤカ、女子アスリートとしての挑戦を語る「生理と戦う女子レスラーの覚悟」

―― Q28 女子プロレスと男子プロレスの違いを、一言で。

里村)華やかさだと思います。華が違います。女の子っておしゃれ好きだし、明るいし。私は女子プロレスを見る方が好きなんですよ。男子プロレスも見ますけど、やっぱ女子の方が華やかでね。すごくいいなと思いますね。

ウナギ)私はでも、女子プロレスの方がドロドロしてると思いますね。スターダムでやってきたっていうのもあるかもしれないんですけど、こいつには負けたくないみたいな。うちから出るものみたいなのがやっぱ男子とは全然違うなって感じます。

里村)でもそれがさ、結局華やかさにつながるでしょう。

ウナギ)確かにそうですね。

里村)絶対あの子よりも目立ちたい、きれいになりたいって努力するじゃん。

ウナギ)そうですね。プロレスコスチュームの一つでも、こう、タイトルマッチとかビッグマッチだったら変えてきたりとか、入場曲も今自分でここでこういう音くださいとか、指定したりとかするんで。

里村)女子ってすごいコンプレックスもあるし、人と比べるし。

ウナギ)そうですね。

里村)それがいい方向に行くとそういう方向に行くんですよ。そういうところがね、好きなんですよ。でも悪い方向に行くと、ドロドロしたりして。それが最終的に怪我につながっちゃうんですよ。良くない関係になって。そういうのは結構見てきたんで。でも今の時代はすごくみんないい、いいライバル関係だし、逆にもうあいつは負けないぞっていうのは自分で発信できるし、本当にいい時代だなと思いますね。

―― 嫌なところってありますか?

里村)私はね、ないんですよ。

ウナギ)確かに自由度が一番高い職業。

里村)本当に素晴らしい人たちがいっぱいいますから。

ウナギ)乗り込んでいったらいろんな人たちと試合ができる。実現できる。普通だったらあり得ない。アポなしで会議室に飛び込んで。

里村)それはウナギ・サヤカだけだから。

―― Q29 “女子プロレスラーで得したことは?

里村)得だらけですね。いろんな職業の方とお仕事できることとか。お客様も皆さん職業が違うし。本当にいろんな方と対面できるし、お仕事できるし、会話できるし。得しかないですね。

ウナギ)男子プロレスも一緒ですけど、先輩をぶん殴れる。公式の場で。絶対ありえないじゃないですか。

里村)すごいとこつくね。

ウナギ)先輩をぶん殴っていい仕事ってないんで。唯一そうじゃないですか。さらにそれでお金もらえるんですかね。先輩の顔ぶん殴ってお金もらえるっていい仕事じゃないですか。

里村)確かにね。

ウナギ)でも何か試合すると分かり合えることとかがめっちゃあって、そこまでは何か思ってても、試合すると全てを分かち合える瞬間ってありますよね。

里村)リングに上がれば上下関係、関係ないんで。だからむしろ私は遠慮してくる後輩たちを叱りますね。
それを受け止める器量がなかったら、こっちが失敗ですから。もう上の方が失格ですよね。やっぱり感情表現も大事だしね。普通の会社とかだったら言いたいことが言えないとか、先輩にはこれ言えないとかってあるかもしれないけど、リングの上ではどうぞどうぞ、言ってください、それを受け止めますよっていう。そこまでの器量はちゃんと持ってなきゃいけないなと思いますね。

ウナギ)いい職場です。

―― Q30 “女子プロレスラーで損したことは?

里村)全然ないですね。損したことはないですね。

ウナギ)服に肩がおさまらない。可愛いメイドのコスプレとかサイズ選べないですよ。女子レスラー二人でメイド服を着て写真を撮ろうよみたいになったら、肩だけまず入らない。ファスナーが閉まらない。二人とも開いたまんま。

里村)確かにそうですね。サイズが大きいです。でかいです。

ウナギ)おしりはそんなになんですけど、肩はどうしてもみんなでかくなっちゃうんで。

里村)そうですね。

ウナギ)スーツとか入ります?

里村)スーツは全部海外製。海外で買ってきて。日本のサイズはもう。

ウナギ)ワンピースとか着たことないです。

里村)ふとももとか入らないね、確かに。

ウナギ)損したことはそれぐらいです。

―― Q31 生理で苦労したことは?

里村)練習ですよね。生理の時の練習ってもう前日の夜から嫌だ。もう痛いだから練習したくないって思うんですよ。生理痛って人それぞれ違うんですよね。女性でも私は特にひどい方で。ちょっとランニングに行って体温めるとさらに痛くなるんですよ。それで投げられたりとかすると腰を打ったりしますし。でもね、昔はそれを理由に休めないっていうのがあって、今日生理だから休ませてくださいなんて言えないので、私は薬飲んで我慢してきましたけど、今の選手たちに同じことを味わわせたくないなって思って。最近は自分の団体のリングドクターを産婦人科の先生にお願いしてるんですよ。その先生はすごいいろんなことをサポートしてくれるんですね、精神的にも。そういった面では本当に良かったなと思います。女性のリングドクターにして。

ウナギ)試合中に、めっちゃ(生理の)量が多い日にでかい人に乗られた時、ブワーって出ることとかあるじゃないですか。「え、待って、これ出ちゃった?」みたいな。気になってしょうがない。痛いですよ。痛いんですけど。私たちのコスチュームって終わりじゃないですか。ある意味漏れたら。私、それが結構一番怖いです。

里村)海外の選手に聞いたんですよ。みんなピル飲んでるのね。ピル飲んで止めてるのよ、生理を。

ウナギ)止めれるんだ。

里村)結構日本でも最近アスリートは皆さんそうやってピル飲んでる。ちゃんと。

ウナギ)野放しですよ。私たちは。

里村)今まで知らなかったですからね。心配するよね。次いつ生理が来るかな、大会と被らないかなとかって。

ウナギ)遠征と被ってるのが一番嫌です。

里村)それはプロレスラーに限らず、柔道とかレスリング、水泳とかもそうだし、いろんなアスリートの女性は結構悩んでると思います。私も昔そういう話を聞いたことがあるんですけど、薬を飲むことに対して抵抗があったんですね。ただ、最近はそういうのはもう主流になってきているからということで先生に相談したら、40過ぎたら初めて飲む人はやめた方がいいですよと止められて、私はちょっと手遅れだったので。

ウナギ)でも生理痛ないです、私。

里村)それはあるもんね。人によって違うから。私は1日目、最悪です。2日目とかもね、ほんと体が全部重くなるのよね。気持ちもドヨンとするし、もうそれが試合に当たるとダメなのよ。

ウナギ)私はそういうのはないです。

里村)人それぞれ。感情コントロールは自分で上げていくしかないですよね。あとはちゃんと腰を温めるとか。

ウナギ)自分でテンションを上げるときはどうやってあげますか。

里村)なるべくイライラしないように、イライラしないような生活を心がけてる。

ウナギ)試合前のテンション上げなきゃいけない時とかって何かありますか?

里村)それも難しいよね。試合の12時間前にいきなりハイテンションになったりするじゃん。前日の夜とかに。一方で試合会場に行ってすっごいテンションが下がる時もあんの。そう、感情のコントロールがすごく難しくて。

ウナギ)常に鬼に見えてますけどね。私の目には。

里村)いやいや。移動の疲労とかもあるしね。

ウナギ)それはね、本当にしんどいです。

里村)しんどい。

―― Q32 試合の日と生理が重なったときは、どうしてる?

里村)これはですね、30年やってきてどうしようもないんですよ。やっぱりそこを、若い頃から薬に頼ればよかったんですけど。薬っていうのは生理をコントロールするピルがあって、それに頼ればよかったんですけど、私はそれができなかったので、今の選手はもし生理痛がひどいとか、そういうのがあれば、ちゃんとお医者さんに相談して対処することができるので。あと、生理が重なる練習の時は、もういいよ、やらなくていいよって言います。今日休んでいいよって。

ウナギ)生理が月に3回くる人とかって。

里村)いるいる。「生理痛で休みます」って。「あれ?こないだ10日前ぐらい休んだよね」って。

ウナギ)いい言い訳に使える。

里村)月に2、3回休むんだけど。それもあえて突っ込まないよ。

ウナギ)いいよって言ってくださるんですね、優しい。私は多分8回ぐらい来ると思います。仙女だったら。「すいません。休みまーす」って。使いますね。

里村)いろんな人いますよ。

―― Q33 選手同士で生理の話はする?

ウナギ)でも当日ぐらいですよね。今日、今日生理なんだけどどうしようぐらいの話ですかね。

里村)そういう会話は絶対した方がいいですよ。たわいもない話。やっぱ分かってた方が気持ち的に楽ですよね。やっぱりオープンにした方がいいと思います。男性もちゃんと分かった方がいいと思うんですよね。
生理痛になる自分が悪いんだ、自分の体が悪いんだっていう風になってしまうので、そうすると自分を責めちゃうんですよね。なんでこんな体に生まれたんだろうとか、生理痛がない人羨ましいなとか。そういう風になってしまうので、自分が落ちていってしまうので。そうではなくて、ちゃんと生理痛が酷い人はこういう対処をした方がいいよとか。ちゃんと周りも気遣ってあげられるような体制を作らなきゃいけないなと思ってます。
長与さんはそういうところも本当に無理するなって言ってくださるんですよ。そういうところは本当に理解してくださいましたね、昔から。

ウナギ)本当にそれで言うと、仙女のリングドクターの女性の先生って、会う度に声かけてくださるから、こっちもすごい喋りやすいし。そんなにドクターに話しかけることないじゃないですか。やっぱりみんな男性なんで。でも、すごい率先して最近何か体の調子を聞いてくださるから、あの先生は。本当に素敵ですね。めっちゃいいと思います。

―― Q34 アスリートの生理について、どう思う?

里村)生理がひどいがために、もうスポーツやめるっていう人までいると思うんですよね。

ウナギ)どうにもならないと思っちゃってるところはありますよね。私、本当に女子しかいない競技をずっとやってきたんです。シンクロ、チアリーディング、プロレスも男子と一緒にやること、そんなにないんで。女がめっちゃいる世界ですから、割と理解はありますよね。なんかやっぱ理解してくれる男性がいればいいのかな。もう女子はしんどいの分かってるから。なんかアスリートっていうより男性の理解な気がします。

後楽園ホール 女子プロレス初のワンマッチ興行
後楽園ホール ワンマッチ興行 ウナギ・サヤカ 『殿はご乱心 我が名は』
日時: 2025年2月16日(日)開場15:00 開始 16:00
会場:後楽園ホール

▼対戦カード
ウナギ・サヤカ vs 里村明衣子

▼第1弾
【独占対談】里村明衣子とウナギ・サヤカが2.16後楽園決戦を前に赤裸々対談実現「女子プロレス入門とデビュー後の葛藤」
 
▼第2弾
【独占対談】里村明衣子とウナギ・サヤカ、女子アスリートとしての挑戦を語る「生理と戦う女子レスラーの覚悟」
 
▼第3弾
【独占対談】里村明衣子×ウナギ・サヤカが本音対談!女子プロレスと結婚のリアル「結婚するならレスラー辞める」

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