SKE48卒業でプロレス専念宣言の荒井優希からベルトを奪った鈴芽が、初の対外国人で初防衛戦へ!

【WEEKEND女子プロレス♯49】

 東京女子プロレスの1・4後楽園ホールでシングル2大王座が移動した。プリンセス・オブ・プリンセス王座は渡辺未詩を破った瑞希が王者に返り咲けば、鈴芽(すずめ)が荒井優希の長期政権を切り崩し、シングル初戴冠でインターナショナルプリンセス(IP)王座を奪取した。とくに、今年3月にSKE48を卒業、プロレス専念の意向を示した荒井の王座陥落は、衝撃的でもあったと言えるのではないか。

 アイドル卒業を決め心機一転、新たな気持ちで臨んだ荒井の出鼻をくじいたともいえる、鈴芽の戴冠劇。ともに26歳でライバルを公言しながらも、プロレスキャリアでは鈴芽が上回る。とはいえ、現役人気アイドルのプロレス挑戦とあって注目度は荒井に集まり、また実績面でも鈴芽は後塵を拝する立場にあった。シングルマッチでも鈴芽は荒井に勝ったことがない。そんななか、鈴芽は相手への注目度がさらに高まる試合で、大仕事をやってのけてみせたのである。

 鈴芽は高校卒業から就職後、友人に勧められて見た東京女子でプロレスにハマり、辰巳リカの輝きに心を奪われた。辰巳に直接手紙を送り、プロレスラーになりたい気持ちを伝えた。それを機に東京女子に入門し、2019年8月25日にデビューを果たした。鳥の雀ではなく、スズメバチをモチーフにした鈴芽のキャラクターは自身のアイデア。同年代が多い団体内で切磋琢磨し、まずはタッグ戦線で頭角を現す。


「写真提供:東京女子プロレス」

 20年9月、舞海魅星(MIRAI=現マリーゴールド)とのチームでプリンセスタッグ王座に初挑戦。舞海とのBeeSTARでは2度ベルトに挑んだが、デビュー戦の相手を務めた後輩、遠藤有栖とタッグを組む機会がしだいに増えていく。

「当初は私が引っ張らなきゃという気持ちが強くて、そこでものすごく成長できたとも思っています。しだいに周りが見られるようになっていったんですよね。有栖と組んでいくうちにタッグマッチの闘い方がわかってきたというか、有栖とも息が合うようになって、タッグって楽しいと思えるようになっていきました」

 便宜上「ありすず」と呼ばれていたこのチームは、正式に「でいじーもんきー」を名乗るようになった。ひとつの転機となったのは、23年3・18有明コロシアムにおけるパートナー同士のシングルマッチ。でじもん対決を制した鈴芽はこのとき、「有栖と2人でベルトを巻きたい、巻かなきゃいけない!」と直感。その思いはすぐに遠藤にも伝えたという。


「写真提供:東京女子プロレス」

 翌年1・4後楽園では、でじもんで2度目のタッグ王座挑戦。この試合で再び敗れるも、直後のタッグトーナメントで優勝を果たし、3・31両国国技館で水波綾&愛野ユキ組を破り、悲願のタッグ王座に到達した。でじもんでは3度目、通算では5度目の挑戦で初戴冠、タッグのベルトを手にしたのである。

 その後、タッグ王座は2度防衛。この経験がシングル戦線にも好影響を与えてくれたと鈴芽は言う。

「ベルトの重みとかチャンピオンとしての責任をタッグ王者として学びました。タッグのベルトを巻いていた半年間ってものすごく大きくて、シングルでも強くなっていくことに対して、すごく生きていると思います」

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