【大日本・FREEDOMS】菊田一美&杉浦透「血まみれのリングでしか得られない快楽」タッグ王者が語るデスマッチドリーム
前編では、大日本プロレスとプロレスリングFREEDOMSの違い、そして「狭間の世代」としてタッグを組む二人の強固な絆について語られた。
後編では、自らの肉体を切り刻み、血を流し続ける「デスマッチファイター」としての深い覚悟に迫る。
なぜ彼らは、恐怖や痛みを伴うリングに上がり続けるのか。
血まみれの男同士がリング上で通じ合う“共感”とは何か。
そして、BJW認定タッグ王者として、これからのデスマッチ界をどう生き抜き、次の世代へ繋いでいくのか。
3.31新木場での防衛戦を前に、菊田一美と杉浦透がタブーなしで語り尽くす。
――後編もよろしくお願いいたします。デスマッチは、常に大怪我や、極端に言えば生と死の狭間にある危険な戦いです。試合前には恐怖もあると思いますが、それでもお二人がデスマッチのリングに上がり続ける「理由」や「覚悟」はどこにあるのでしょうか。

杉浦:もちろん、怖いですし痛いです。いまだに僕、試合前には恐怖で嗚咽が止まらなくなるんですよ。「俺、今日ちゃんと生きて家に帰れるかな……」って、トイレでゲロ吐きそうになりながら準備してますから(笑)。でも、いざリングに上がって、お客さんの異常なまでのエキサイトした歓声を浴びながら戦っていると、試合中にはもう「何物にも代えがたい興奮と快楽」が得られるんです。
――恐怖を凌駕するほどの快楽ですか。
杉浦:そして何より、僕がリングに上がり続ける理由は「生きるため」です。これは葛西(純)さんも言っていることですが、本当に『生きるため』なんですよ。僕がこのプロレス界で生き残って飯を食っていくためには、もうデスマッチで戦う道しかない。デスマッチ(Death match)という名称には「死」が含まれていますが、僕らは「生きるため」にデスマッチをやってるんです。これが僕の人生であり、生き様。杉浦透という人間を表現するには、血まみれのリングで戦うことしかできない。もうそこまで腹は括れています。

――天職を見つけたんですね。
杉浦:いろんな舞台を経験させてもらいましたが、自分の天職はここだったと気づきました。若い頃はみんな「棚橋弘至みたいになりたい!」って華やかなプロレスラーに憧れるじゃないですか。僕も最初はそうでした。でも途中で「あ、俺には絶対無理だ」って気づいて。そしたら、いつの間にか血まみれになってましたね(笑)。
――杉浦選手は、一度デスマッチ戦線から外された過去があるそうですね。
杉浦:はい。FREEDOMSに入ってまだ若手の頃、単純に「デスマッチやったら女の子にモテるんじゃないか」っていう不純な動機でデスマッチを始めたんです(笑)。当然、そんな甘い覚悟じゃ通用しなくて。最終的に葛西さんとシングルをやらせてもらった時に、ボコボコにされて救急車で運ばれ、「お前はセンスがないからデスマッチはもうやるな」って一回クビを宣告されました。そこから7、8年くらい地下に潜って、覚悟を決めて再びデスマッチの最前線に戻ってきたんです。
――挫折を経ての今のポジションなのですね。菊田選手は、大日本でストロング(通常ルール)からデスマッチへと転向されました。その時の覚悟はいかがでしたか?

菊田:実は僕、デスマッチを本格的に始めてまだ3年くらいしか経ってないんです。自分でも「まだ3年か」って思うくらい、中身の濃すぎる3年間でした。最初は、プロレスラーになった時も「デスマッチだけは絶対にやらない」って心に決めていたんです。でも北海道巡業の時、会社の営業担当の方と話していて「お前、もうデスマッチやるしか道はねえだろ」って言われて。最初はヤケクソ半分だった部分もあります。「会社のため、お客さんのため、そして何より自分自身が生き残るために、一歩踏み出してみるか」と。
――最初は「好き」という感情ではなかったのですね。
菊田:踏み出した時点では、デスマッチに対する愛情なんて全くありませんでした。でも、不思議なことに、戦い続けていくうちにだんだんデスマッチが「好き」になってきたんです。竹田誠志さんみたいに、根っからの「デスマッチ愛」で狂っている人たちには、最初から好きでやっている熱量では勝てないかもしれません。でも、覚悟を決めて踏み出した過程の中で、後から「好き」という感情が加わった時のパワーは、ものすごい力になると思っています。今の僕は、デスマッチが結構好きですね(笑)。
――そんな壮絶な覚悟を持つ者同士だからこそ、リング上で武器を持ち、血を流して殴り合っている最中に、対戦相手と「共感」や「シンクロ」する瞬間はありますか?
菊田:ありますね。例えば、蛍光灯の束や危険なアイテムの上に相手を投げ落とす時。本当に信頼関係がないと、あんな危険な技はお互いに仕掛けられません。リング上の空気感、目と目が合った瞬間に「あ、今こいつと完全にシンクロしてるな」って分かるんです。
杉浦:非日常の空間ですからね。リング上に血まみれになった男が、ヘラヘラ笑いながら凶器を持って突っ立っている。世間から見たら異常な光景だし、僕らから見ても特殊な空間です。「うわ、目の前にヤバい奴、変な奴がいるぞ」って思って、パッと自分自身を振り返ったら、「あ、俺も血まみれで変な奴だったわ」って気づく(笑)。
――(笑)。お互いに狂気を共有しているわけですね。
杉浦:この四角いリングの中に、血まみれの変な奴が二人だけいる。それが最高に面白いんです。その瞬間にエクスタシーというか、脳内にドーパミンがブワーッと分泌されて、互いの魂が通じ合う。街中で血まみれの人が歩いていたらただの事件ですけど、リングの上ならそれが合法で許され、お客さんが熱狂してくれる。その究極の空間で男二人が命を削り合っている時にしか生まれない、深いつながりや共鳴は間違いなくあります。













