【リアルジャパン】<松本都インタビュー>3・19後楽園 団体設立15年で初めての女子プロレスマッチでストロングスタイルとは真逆の女!?
天才?狂女?“ダンシングクイーン”松本都インタビュー!
リアルジャパン3・19後楽園
団体設立15年で初めての女子プロレスマッチでストロングスタイルとは真逆の女!?
――リアルジャパンプロレスで初めて女子プロレスの試合が組まれます。リアルジャパンと言えばストロングスタイル復興を標榜する団体です。なぜ、松本都選手なんでしょう?
「そうなんですう(笑)。まず先に、3・19後楽園ホール大会への出場が決まったんですね。参戦を聞いたときは、自分とはホントにあまりにも真逆の世界なのでビックリしました。自分は極北というか、そういうところにいるので。でも、私にとってはそれが逆にチャンスだと。おもしろいなと思いました。たぶん、ふつうにしていたら一生縁のない団体だと思うので」
――まあ、そうでしょうね。
「運命的なものを感じました(笑)」
――しかも、マッチメークを担当したとのことで二重の驚きなのですが。
「そうなんですよ! いままで自分が自分の興行(崖のふち女子プロレス、みやここフェス)でマッチメークをすることはあったんですけど、全部ミックストマッチとかだったので、今回のような女子選手だけによる純粋な女子プロレスは初めての機会ですごい光栄でした。すごく燃えましたね。ここはセンスの見せどころだなと思って。結果、すごくいいカードが組めてしまったなって思ってます」
――松本都(崖のふち女子プロレス)&彩羽匠(Marvelous)組vs朱里(MAKAI)&安納サオリ(フリー)組ですね。どのように人選をしていったのでしょうか。
「こういうのって自分のポリシー的に、一番無理そうな人からいくことにしているんですよ。妥協とかせずに、無理だろうなっていう人からいくことにしているんです。女子全体で見たときに、自分の中でいまの女子プロレスで一番上にいる人にオファーしていったら、全員にOKをいただけたんですね」
――それはすごい。理想通りの展開になったと。
「ハイ、理想です! たぶん女子プロ界全体を見てもすごくいいカードだと思いますよ」
――松本選手が彩羽選手とタッグを組んで朱里&安納組との対戦。この組み合わせにしたのは?
「出場メンバーが決まったときに、まず私は朱里さんと彩羽さんのバチバチは絶対に見たいと思ったんですよ。なので、そこは対戦してもらおうと思ったんですね。それに(彩羽の師匠)長与千種さんはこれから女子プロ界をすごくかき回していく方だと思っているので、その遺伝子に乗っかっちゃおうと思って、彩羽さんと組みたいと思いました。安納ちゃんは、アクトレスガールズをちょうど退団したタイミングだったので、あたりたいなと思いました。そこは、自分ひとりの希望ですね」
――彼女たちと絡んだことはありますか。
「ないですね。たぶん、全員。朱里さんとは組んだこともあたったこともない。全員が初めてです。ほかの3人もそれほど絡みはないと思います」
――彩羽選手と朱里選手はタッグで対戦したことはありますが、いずれにしてもそれほど絡む機会はないと思います。
「そうですよね。なので、おもしろくなると思います」
――マッチメークするにあたり、リアルジャパンでやるという部分を意識しましたか。
「そうですね。ストロングスタイルということで、朱里さん、彩羽さんは、そのテーマにすごく合ってると思います。意識はもちろんしました。まあ、私が一番合ってないと思うんですけど(笑)」
――そこは自覚している?
「このカードを見たらそうですけど。でも、決してできないわけじゃないんです。ストロングスタイルは好きだし、石川雄規さんに長い間、蕨の(アイスリボン)道場で教わってました。ちゃんと爪はあるので。隠してるだけですから」
――能ある鷹は(爪を隠す)、ですね。
「ハイ(笑)。それを全部この日にぶつけたいと思ってます。ふだんはちょっと我慢しているところがあるので(笑)。それは全部ホントなんですよ、うん」
――では、松本選手が考えるストロングスタイルとは?
「人それぞれいっぱいあると思うんですけど、私は、やっぱり怒りとか、コイツ嫌いとかいう生の感情を落とし込んだプロレスだと思っています。ディスるわけじゃないですけど、飛び技を見せたいとか、そういうんじゃなくて、ホントに生の感情をぶつけていくプロレスだと思ってます」
――技を披露するとかではなく、対戦相手に対する感情をぶつけていくのがストロングスタイルだと。
「ハイ、そうだと思ってます」
――松本選手が選んだ3人は、ストロングスタイルの選手であると考えたわけですか。
「そうだと思ってます。ストロングスタイルに見合いつつ、華もある。華やかな3人だと思ってます」
――この3人は嫌いな選手なんですか?
「いや、全然嫌いじゃないです(苦笑)。むしろホントに素敵だなと思ってます。まあ、商売敵としてはムカつくところがありますけど(苦笑)。そういうライバル的な感じの選手たちです。みんないい選手ですから、試合ではムカつくところをぶつけていくように、感情を増幅してやりたいなって思ってます」
――実際、絡んだことのない選手たちですから、やってみるまで好き嫌いはわからないですよね。
「そうですね。私、嫌いな選手ってひとり、ふたりしかいないんで」
――ひとりかふたりは、いるんですね。
「アハハハ。ハイ」
――松本選手は、リアルジャパンプロレスを見たことはあるのですか。
「映像とかではもちろん見てますよ。(初代)タイガーマスクさんとか、藤田和之さんとかも好きですし。藤田さんとは、試合したいです。すぐにでも(笑)。」
――そもそもリアルジャパン、知ってました?
「もちろんです!生で見させていただいたことはなかったですけど。でも私には血が流れているので(笑)」
――なんの血が?
「血が流れているので(笑)」
――……。ところで、先日の会見で「初代タイガーマスクの技を練習している」との発言がありましたが。
「ハイ、してます(笑)。ホントにしてます!」
――無許可でしていると思うのですが。
「無許可です(笑)。どういうものをしてるか、言ってもいいですかね?」
――なんでしょうか。
「タイガースピンをすごい練習してます」
――タイガーマスクが序盤で見せる動きですかね?
「ハイ、ステップ踏んで完コピしてます。でもやっぱり難しくて、なかなかすぐにはできないですね。でも、当日は出しますよ。怒られるかもしれないけど」
――怒られること覚悟で?
「佐山さんファンの方は怒るかもしれないです。でも私はギリギリをいきたいですから」
――それでこそ松本都ですからね。
「ハイ!」
――リアルジャパンで初めての女子プロレスの試合になりますが、そこは意識していますか。
「そうですね。いままで女子の試合がなかった理由とかはあるんでしょうけど、そこを破ろうと思ってくださったのはやっぱりうれしいし、それに見合うことをやらなきゃなと思ってます」
――そもそも、崖のふち女子プロレスがプロレスの常識を破壊するような興行ですからね。
「え!? まあ、そうですねえ(笑)。確かにほかではできないことをやってますね」
――果たして女子プロレスがリアルジャパンのリングで受け入れられるのかどうか。そのあたりの自信のほどは?
「私はもう100%自信しかないというか、受け入れられなかったらおかしいと思ってますね。いまホントに女子プロは海外でもきてますし、たぶん、女子を見たことのないリアルジャパンのファンの方にも響くカードを組めたと思っているので。これが響かなかったらちょっとどうかしているなって思ってます、ハイ」
――リアルジャパンでの女子プロレスがこれっきりで終わるのか、それとも継続されるのか、この試合しだいかと思いますが。
「うん、うん。それは継続させなければおかしいと思っているので、やります、ハイ」
――まだ第1戦もおこなわれていませんが、いずれは松本選手が女子のプロデューサー的なものをやりたいのではないですか?
「そうですね、やりたいですね。誰の意見も聞いていないですけど(笑)。そこは腕がありますので、自信あります!」
――では、この試合でなにを見せたいですか、なにを見てもらいたいですか。
「やっぱり、いまのど真ん中の女子プロレスを見てほしいです。全日本女子プロレスとか過去の歴史はあるけど、そういうのは忖度せずに、いまの最先端の女子プロレスを、ハイ。なので、いろんなもの背負ってます、かなり」
――ストロングスタイルではあるけれど、それだけに限らず、いろいろなものが含まれるカードでもありますよね。
「女子にしかできない試合ですね」
――リアルジャパンでおこなうことによって、なにか新しいものが生まれるかもしれません。
「ハイ。この日、後楽園ホールにいらした方以外にも響かせられるような試合をします」
――この大会では、さまざまなカードが組まれますが、メインでは先程も名前の挙がった藤田選手が杉浦貴選手(NOAH)と組んで、スーパー・タイガー(リアルジャパン)&関本大介(大日本プロレス)組と対戦します。
「すごいカードです。絶対にすごいカードですけど、私の方が・・・。女子の試合は藤田さんにも見ていてほしいですね。試合したいです、ホント。私、何年か前から崖のふちの相手にと何回か言っていたと思います。だから今回はそのチャンスでもあると思っているので、逃げんなよって感じです、アハハハ」
――松本選手は、プロレスとは無縁のところからプロレスラーになったんですよね。
「そうなんです。もともと一度もプロレスを見たことはなかったんですけども、芸術系の大学(日本大学藝術学部)にいっていて、そのときにテレビ埼玉の『Muscle Venus』という番組に出るオーディションがありまして、その会場で初めて聞かされたのが女子プロレス映画の製作でした。実際にレスラーデビューすれば映画(『スリーカウント』)に出られるというお話で、なかば騙されるみたいな形で練習を始め、デビューしました(笑)。それまで一度もプロレスを見たことがなかったです」
――初めて見たプロレスはどうでした?
「(女子プロ団体の)NEOさんを見たんですけど、あまりに過激で交通事故現場を見ているようで、こんなの自分には一生無理だって思いました。なので、映画が公開されたらすぐにやめようと思ってました。それが11年も経ってしまいましたが(笑)」
――プロレスをやめずに続けられた決め手はなんですか。
「それまでは舞台(女優)とかをやっていたんですけど、そういった表現欲求みたいなのがすごい満たされるジャンルなんだなと気づいて。それまではただ暴力的なイメージしかなかったけど、プロレスって全然違うんだなっていうのがわかったので、そこに魅了されました」
――出演者候補から8人ほどが実際にプロレスデビューしましたが、公開後に残ったのは3人。その3人とも現在も現役で、その中のひとりが松本選手です。
「すごい3人。生き残りました、ヤバい(笑)」
――所属していたアイスリボンを退団し、所属時代に起ち上げた“崖のふち”を現在も継続させていますね。
「ハイ。崖のふち女子プロレスを結果的に独立させる形になりましたね。DDTの高木三四郎さんに買収してもらいました。事業譲渡という形で。こんど、3月12日の木曜日に事業譲渡してから3回目の大会を埼玉・蕨レッスル武闘館でおこないます(※取材日は3月7日)」
――崖のふちは基本ワンマッチ興行ですが、次回はどういう大会になりそうですか。
「基本はワンマッチです。プロレスとプロレス以外でもいろいろと闘っていくんですけど、事業譲渡してからは毎回ちょっとずつ違ったこともやっていて、1回目の黒潮イケメン二郎選手との試合では、アメリカにいく前の感動的な壮行試合になりましたね。2回目はクリス・ブルックスという外国人選手と残酷なデスマッチになりました。そして3回目はちょっと実験的なことがやってみたくて、テレビでリアリティーショーってあると思うんですけど、そういった番組の恋愛ドキュメントを今回プロレスに落とし込んでみたいなと思って、“力道山三世”力選手にオファーしました。力選手の嫁を探そうと思って。人の人生をプロレスで変えたいなって。それで嫁候補として、かなり狂ってるアイドルなんですけども、まおちゃんと白幡いちほちゃんの2人を呼んでやります。カードは、松本都with澤宗紀vs力withまお(せのしすたぁ)です。まお、白幡いちほの2人が嫁候補として来場します。白幡いちほちゃんは骨折してしまったんですけど、まおちゃんのライバルみたいな形で出てもらえたらなと思ってます」
――それにしても振り幅が広いですね。リアルジャパン参戦でさらにその幅が広くなりそうです。
「ハイ、私の考えるストロングスタイル、絶対に自信があるので楽しみにしていてください!」
(聞き手:新井宏)