【編集長コラム】「闘う坊主・阿部史典に期待」

「闘う坊主」阿部史典に「災難退散」の期待が高まっている。

BASARA所属のプロレスラーでありながら、浄土宗の僧籍を所有する阿部。きちんと修行を積み、過程を経て僧侶の資格を取得している。

「浄土宗の中でいくつかある宗派のひとつですが、お経をあげられます。時折、法要に呼ばれます」と、両手を合わせた。

回転浄土宗、お卍固めを十八番としているが、決しておふざけではなく本物なのだ。

小気味の良いファイトに加え、トリッキーな動きも得意としており、さまざまなスタイルに対応できる。まさに「山椒は小粒でもピリリと辛い」。かつて「小さな巨人」グラン浜田がよく言われていたが、現在では阿部だろう。

昨年の試合数は180で、日本マット界でも指折りの活躍だった。BASARAは元より、多くの団体に参戦しており「一日に2試合、3試合ということもありました。声をかけていただけるのは、ありがたいことです」と、静かにこうべを垂れる。

ユニットにも団体の枠を超えて参加。全日本プロレスのジェイク・リー率いる「陣」、大日本プロレスの野村卓矢と「アストロノーツ」を結成、ZERO1の「リベンジャーズ」などにも加わっている。鈴木秀樹とは小学生のころから交流があり、引退した一般人・澤宗紀さんとのお付き合いも深い。プロレス界に思わぬ人脈を巡らせている。

BASARAのユニオンMAX王者に君臨しているが、実はまだキャリア5年の25歳。今年は200試合超え、「日本最多試合出場」も狙えたが、新型コロナウィルス感染拡大問題で日本全体が自粛中。大会の延期、中止が相次ぎ、再開のメドもたたない状況にある。

それでも大日本プロレスの無観客TVマッチに出場して大暴れ。開催予定のBJW認定ジュニアヘビー級王座・次期挑戦者決定トーナメントにエントリーされており「ストロングJの仏になる!」と気勢を上げた。

今こそ、新型コロナウィルスに打ち勝つために、「闘う坊主」阿部への期待が高まっている。

そこで気になるのが、病魔退散の妖怪として注目される半魚人「アマビエ」。海中から現れ「疫病が流行ったら、我の姿を絵にして人々に早々に見せよ」と、言い残し海に消えたという。

半魚人といえば、メキシコの選手・フィッシュマンが思い起こされる。3年前に亡くなったが、華麗な空中殺法に加え、パワーあふれる明るく元気な試合で人気を博した。

新日本プロレスで初代タイガーマスクと、全日本プロレスでは二代目タイガーマスクとも闘い、リング外ではちびっこファンや女性ファンに、鼻歌まじりに独特のダンスを披露するなど楽しい人だった。フィッシュマンは妖怪ではないが、アマビエの姿にフィッシュマンを思い出したプロレスファンも多いハズ。

今やファンはプロレスに飢え、プロレスを求めている。「平時はわからなかったけれど、いかにプロレスが心の支えだったかが、今痛いほどわかる」と、涙目でしみじみ訴える人もいる。一日も早く終息し、会場で観戦できる日を心から望んでいる。

混乱を極める世情、人心の乱れも指摘される昨今、阿部の「お経のパワー」の法力と、妖怪「アマビエ」との合体プレーを夢見てしまった。

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