【ストロングスタイル】初代タイガーマスクがアントニオ猪木さんへの追悼30カウントゴング!<11.23大阪>

初代タイガーマスク率いるストロングスタイルプロレスは11月23日(水・祝)、大阪・コレガスタジオにて「闘宝伝承2022–2nd」を開催した。

初代タイガーマスク ストロングスタイルプロレス闘宝伝承2022–2nd
■日時:11月23日(水・祝)12時20分開場/13時30分開始※13時15分第0試合開始
■会場:大阪・コレガスタジオ
■主催:闘宝伝承実行委員会/初代タイガーマスク ストロングスタイルプロレス
■共催:一般社団法人 初代タイガーマスク後援会
■後援:闘道館
■観客数:529人(満員)

【特別来場】
初代タイガーマスク 佐山サトル

▼オープニング
第1試合開始前にストロングスタイルプロレスの平井代表がリングインし、前回5月に開催した大阪大会が大成功に終わったこと、再び大阪に帰ってくることが出来たことへの感謝が述べられた。
また改めて本大会を今年10月1日に逝去されたアントニオ猪木選手の追悼大会とすると発表、言葉少なく猪木選手への思いを語るところでは目頭に光るものが映った。
リング上では時間足らず語り切れなかった平井代表がメイン終了後に総括コメントを出した(詳報最後に紹介)。

<試合結果>

▼第0試合 グラップリング 無差別級エキシビジョンマッチ 3分1R
RYO(ランズエンドプロレス)
武士正(Fighting Team A-TOYS)

本戦開始前13時15分から行われたグラップリングのエキシビジョンマッチは、ランズエンドプロレス主宰者である崔領二の兄で、元DEEPミドル級及び元ROAD
FFCミドル級チャンプという輝かしい実績を持つMMAファイターのRYOと、MMAファイターのみならずあまたのプロレスラーとの戦績を所有する武士正。武士正は昨年2021年には「格闘技のおもちゃ箱ACF60th×闘宝伝承」第13試合では藤原喜明ともエキシビジョンマッチで手合わせ、伝説のテロリストの頭をコーナーへ打ち付ける心臓を披露、エキシにも関わらず組長に腕を極められタップし完敗して観客を湧かせるというミラクルな闘いで観客を湧かせた男。
ケンカ腰の臨戦態勢で入場してきたRYOが、先にリングインの武士正に近寄って開始を待たずにフェイスオフ。レフリーが割って入ってRYOを引き離す。組みあっても慎重な面持ちの武士正とは対照的にケンカ腰のRYOが攻勢。懐へ飛び込み抱え上げ投げ落とし腕を取って早くも裏十字の態勢もニアロープに救われる武士正。仕切り直して再度グラウンド。回転してRYOが上になり武士正のスタミナを削る。レフリーが入ってブレーク。立ち上がるがすぐに寝技の攻防。RYOが足で武士正の首を締めあげる。エビ反り逃れようともがく武士正の左腕を待ってましたとばかりにキャッチして腕ひしぎ逆十字。仕切り直して今度は武士正がRYOを投げて上になるがRYOが切り返しマウントを取ったところをRYOの胴に足を絡め三角締めを狙う。極めるかと思いきやRYOが力技で立ち上がり武士正をマットに叩き落として無理やり逃れ、逆に足攻め、踏みつけ。武士正もRYOをニュートラルコーナーへ押し込んで反撃も、再びRYOの寝技地獄に引き込まれ非情のヒールホールドに悶絶。休む間もなくパウンド打ち下ろすかというところでタイムアップ。試合が終わってもRYOは勝敗なしのエキシビジョンマッチということで武士正を仕留めきれなかったフラストレーションからか、握手の代わりに武士正の顔面を平手打ち。あわやつかみ合いの乱闘かというところをレフリーが割って入って制して幕。

▼第1試合 道頓堀プロレス提供試合 15分1本勝負
○小山寛大(道頓堀プロレス)
5分24秒 バイオレントスマッシャー
●鎌倉慎司(NPWプロレス)

第1試合は前回5月の大阪大会に続き地元大阪の道頓堀プロレス提供試合が行われた。小山寛大は若干26歳。2014年大阪の西中島河川敷バーベキュースペースにおけるマットプロレスで大阪で一番強い男マグニチュード岸和田にズタボロにされていた当時はプロレスラーデビューしたばかりで、コスチュームもボンタン姿の現役高校生だったが、負傷欠場後ヒールターンし不敵なやんちゃ坊主に仕上がってきた。
対する鎌倉慎司は昨年2021年2月21日にィデアが主宰のNPWプロレスでデビューしたばかり。恵まれた体格を活かしオクラホマスタンピードなどの大技も使える気鋭の新人。他団体にも積極的に参戦し経験を積んでいる。
ロックアップもそうそうにエルボーの打ち合いを開始。ニヤニヤ笑みを浮かべた小山が余裕のていで、鎌倉をヘッドロック。鎌倉がアームホイップで切り返すと小山も鎌倉を押し倒して踏みつけ、顔面にストンプ、ボディスラムから強烈なドロップキックを側頭部へ見舞う。鎌倉も立ち上がって張り手攻撃も小山は効いていないとばかり顎を突き出し挑発。怒りの鎌倉の張り手に小山がヘッドバット一撃で倍返し。このまま終わるわけにはいかないと鎌倉奮起。ニュートラルコーナートップから打点高めのミサイルキック、串刺しでフォールもカウント2。腿に蹴りを食らいながらもブレーンバスターでぶん投げフォールも小山が返してやり返してフォールも2カウント。カウンターでフォールされた小山、返す刀で鎌倉のぼんのくぼにトラースキックをクリーンヒット。ファルコンアローでフォールも2カウント。断末魔の鎌倉を担ぎ上げカメラ目線で笑みを浮かべながらバイオレントスマッシャーを決めて3カウント。

▼第2試合 タッグマッチ 20分1本勝負
○スペル・デルフィン(沖縄プロレス/海鮮プロレス)/晴斗希(道頓堀プロレス)
9分30秒 デルフィンクラッチ
政宗(フリー)/●佐野直

近年居を関東に移し戦場も関東方面が多い政宗と夜は新宿スタンリークラブのマスター佐野直の関東勢が先にリングイン。
道頓堀プロレスの晴斗のあとから全身シルバーのコスチューム姿で悠然と登場してきたスペル・デルフィンは実はこのあと東京に飛んでもう1試合ビッグマッチを控えていた。
先発の政宗と晴斗希が手合わせ。スピーディな攻防。フォールもスピーディーにやりあってカウント2でそれぞれ相方と交代。
デルフィンが佐野をヘッドロックしてからショルダーアタックで飛ばす。リープフロッグの佐野をデルフィンが片膝ついてラリアットで沈めて天井を指し示しつつポージング。続いて完璧なフォームのドロップキックを見舞って余裕綽々でポーズを決める。
政宗が佐野のリベンジとばかり晴斗にドロップキック。晴斗の頭部にココナッツを割るように膝を当ててからのトップロープからダイビングヘッドバットを畳みかける。
立ち上がり打ち合い。既にグロッキー気味の晴斗に佐野が追い打ち。キツイ掌底から連続フォール3回。きりきり舞いの晴斗をコーナーへ引きこみ待ち受ける政宗が足蹴。
調子づく政宗がコーナートップに座って「スイング式DDTいくぜ」と宣言したことが仇になったか誤爆。晴斗がドロップキックで逃れてようやくデルフィンと交代。ここからデルフィンが猛攻。政宗をショルダータックルで倒しネックブリーカードロップ、通天閣のようにそそり立ってブレーンバスターと完璧なシークエンスでフォールも、佐野がカットにはいる。晴斗が政宗にリベンジ。串刺しからダイビングボディアタックと畳みかけるが政宗が強制的に流れを切って蜻蛉切で魅せ、フォールもカウントで腫斗が返す。佐野と政宗にロープに振られた晴斗が政宗を佐野に飛ばして、政宗、佐野を次々ケプラドーラ・コンヒーロの餌食にしたあと佐野をコーナー下にセットしてコーナートップからトぺコンヒーロー。勝機掴んだデルフィンが、赤コーナー最上段に鎮座して佐野を掴んでスイングDDT、デルフィンクラッチで完勝。

 

▼第3試合 6人タッグマッチ 30分1本勝負
金本浩二(フリー)/○間下隼人(ストロングスタイルプロレス)/大門寺崇(ランズエンド)
12分22秒 フィッシャーマンスープレックス
ディラン・ジェイムス(ランズエンドプロレス)/崔領二(ランズエンドプロレス)/●洞口義浩(フリー)

前回の大阪大会で組んだ亀本、間下、大門寺が再び集結し今回はランズエンドの猛者たちとあたった。
カラフルな仮面をつけて入場して来た崔にレフリーがかく乱されながら試合開始。
先発は金本と崔。腕の取り合いからテイクダウンでバックに回った金本がアームバーを狙うが恐れた崔がロープに逃れ離れようとしない金本をレフリーが止めてブレイク。スタンディングから容赦なくアンクルホールドを決める金本。のたうつ崔が命からがらロープに逃れる。洞口と大文字。洞口のヘッドロックを逃れた大文字がリープフロッグ、洞口がフライングクロスアタック、素早い攻防から代わってはいった間下のミドルを洞口がキャッチしてドラゴンスクリュー。間下を崔がコーナーポストクッションバットでしたたかに打ち据える。さらに狡猾な崔が金属棒の凶器を間下に持たせて、間下に凶器攻撃をされた振り。レフリーまんまと騙されて間下窮地に陥る。なおも青コーナーに捕まってディランにエルボー攻撃される間下を掬おうと金本がリングへ入ろうとするがレフリーに止められる。崔の悪事はエスカレート、これみよがしに凶器をひけらかし間下に持たせて痛がる振り。ディランがボディスラムで叩き落としたあと崔が3度目のコーナーポストクッションバット攻撃。ニュートラルに押し込められた間下にディランのブーツ、ストンプ。串刺しを素早くかわした間下がソバット、ディランの追撃をかわしてようやく赤コーナーへ逃れて大文字と交代。洞口にタックルの大文字が返す刀で青コーナーの崔にエルボーアタック、崔が手にしていたペットボトルから観客席に放水。
大文字の猛攻止まらず。洞口にフライングエルボーを叩きこみ金本とダブルでショルダータックル。さらにはダメ押しエルボードロップで金本と交代。金本は洞口の胸を一蹴したあとコーナーへセットして顔面ウォッシュ、打撃から後ろ回し蹴り。ところが洞口が再生リピート、金本に後ろ回し蹴りを放つと怒った金本が同口を払い腰で投げる。
代わって入った間下がまたも青コーナーで磔に。ディランの逆水平、崔のペットボトル水攻め、更にニュートラルコーナーでディランの串刺しラリアット、崔とディランの合体滞空式ブレーンバスターの餌食にあい、トドメの洞口の低空式ドロップキックを顔面に受けダウン、フォールも金本と大文字がカットに入る。間下の受難は終わらず洞口がファルコンアローでフォールもカウントをギリギリで返す。金本が援護射撃のソバットに奮起の間下が洞口に延髄斬りを叩きこみフォールも2カウント。ならばと会心のフィッシャーマンスープレックスでホールド、根性で3カウント奪って勝利。
試合後間下は自身のツイッターで、「めちゃくちゃするつもりが崔さんが一番めちゃくちゃでした!」と激白している。

▼第4試合 女子プロレス タッグマッチ 30分1本勝負
○ジャガー横田(ワールド女子プロレス・ディアナ)/花園桃花(フリー)
12分07秒 ラ・マヒストラル
ハイビスカスみぃ(琉球ドラゴンプロレス)/●マリ卍(柳ケ瀬プロレスLadius)

先にリングインしてきたのは、一癖もふた癖もある琉球の毒の華ハイビスカスみぃと、第5試合でタイガー・クイーンとシングルマッチを行う沙恵が所属する団体、柳ケ瀬プロレスLadiusに移籍したマリ卍。
タイガー・クイーンの師であり現在は虎の子を千尋の滝へと落とすべく敵対の立場となったジャガーが、今回も前回の大阪大会同様花園桃花を率いて、花園が噴射するシャボン玉にまみれながら入場。4人の中で別格の存在感を放つジャガー。
そのジャガーとみぃで立ち上がり。みぃがジャガーをヘッドロック。緊張感みなぎる攻防、コーナーに振られたジャガーがみぃを待ち受けブートの態勢もみぃがいなして睨みあう。
マリと花園、素早い展開。花園が低空ドロップキック、マリがぶっとい腕でエルボードロップ、花園をフォールもカウントは2。
みぃが花園をニュートラルコーナーへ押し込め踏みつけ。リング中央に戻して背面に低空ドロップキック、フォールも瀕死の花園が右肩を弱弱しく上げる。赤コーナーで手を差し伸べるジャガーに「ジャガーさあん」助けを求めるがみぃが逃さず。今度は青コーナーでマリの逆水平を浴びせられ座り込んで「ジャガーさあん!助けて!」叫ぶが赤コーナーは遥か遠くの対角線上。マリの逆水平でグロッキー状態の花園をみぃが馬乗りでフェイスロック。背面蹴りつけ、マリと交代。マリは花園のネックに飛びつきぶっとい足を絡めてクラッチ。マリの全体重をかけたドロップキックが花園の鎖骨に突き刺さると、花園が口から胃の内容物を吐きそうな苦悶の表情でダウン。終わらない花園のローンバトル、みぃがエルボードロップ。恐ろしい角度で逆エビ固めで腰をどすんと落とすと花園悲鳴をあげる「ジャガーさあん!」。が、何故か赤コーナーから遠い青コーナー側へ逃れてしまい、待ち受けるマリに踏みつけに。
花園が最後の力を振り絞りマリをブレーンバスターで投げて、ようやくジャガーと交代。
満を持してリングイン、力が余るジャガーがマリとみぃをふたりまとめて撃破しペースを掴むと追い風に乗った花園がみぃにミサイルキックを見舞うが、マリがショルダータックル一撃で倒してフォールもカウント2。花園がマリの背中に乗っかり両腕取ってパロスペシャル。代わって入ったジャガーをマリが鮮やかに卍固め。ジャガーが力技で解除してフォールもカウントは2。みぃがエプロンからロープを背にしたジャガーのヘアーを掴んでマリをアシストするが、ジャガー逃れて、マリのアリアットがみぃに誤爆、みぃが場外落下しダウンした隙にジャガーがマリをラ・マヒストラルで畳んで3カウント。
大阪大会負けなしの2連勝目を上げたジャガーと花園は抱擁を交わし笑顔でリングをあとにした。

 

※第4試合終了後、アントニオ猪木さんに捧ぐ追悼30カウントゴングを佐山総監が行い、左右には猪木さんの遺影を持った船木誠勝・藤原喜明が黙祷。
 当日体調不良により来場できなかった新間会長のぶんまで猪木さんへ思いを届けた。

▼第5試合  シングルマッチ 45分1本勝負
○タイガー・クイーン(一般社団法人 初代タイガーマスク後援会)
9分52秒 新卍固め
●沙恵(柳ケ瀬プロレスLadius)

本大会開催に先駆けた15日の会見の席でジャガー選手は、「今までクイーンにはトップ選手を当て続けてきましたが、相手に勉強させる試合も必要。今回の沙恵はまだ若いですから。〝できる人間〟とするよりも〝できない人間〟とやる方が大変なので。そういう苦労をさせようと」と語った。「沙恵」を若い=経験が浅い=できない人間と言い放っていたのだが、実のところ沙恵は、プロレスラーとしてのデビューは2017年だがそこから順風満帆とは言い難い茨道を歩き打擲されることによって鋼のボディを培ってきた浅からぬスキルの持ち主で、KOBEメリケンプロレスにおいては男女のミックスドマッチにも出て、ZERO1の久保田ブラザーズに容赦のないかわいがりを受けていた。もちろんそのことを女帝が知らないはずもなく、知った上で出来ない人間と称してクイーンを油断をさせようとの目論見があったと思われる。
クイーンより先に入場して来た沙恵は、そのことをまさに体現するかの堂々たる入場ぶりと、独特のオーラで観客を圧倒。
続いてクイーンが入場。コーナートップに立つ姿は、初代同様漫画の中からそのまま抜け出したような別次元の空気を纏っている。
試合開始前に手を差し出すクイーン。がっちりと握り返す沙恵。

ゴングが鳴って試合開始。ロックアップ、力比べでじりじりと後退してロープを背負った沙恵。クイーン、クリーンブレイク。
闘いの場は再びリング中央に戻る。沙恵がヘッドロック、クイーンが沙恵の腹にまずは一蹴して、ヘッドロックからタイガースピンを披露するとどよめきと拍手が起きる。ダウンした沙恵の足をロックして固めるが沙恵ロープに逃れる。追撃のクイーンがロープを背にした沙恵の喉元へ膝を入れるとたまらず場外へエスケープして、クイーンを誘う。乱闘になり場外大混乱。水を得た魚の如く生き生きとクイーンをいたぶる沙恵。観客席へ投げ飛ばし、ビニール傘を凶器にクイーンを羽交い絞め、パイプ椅子の堅いところでしたたかに打ち据える。
だがこれまで名だたるヒールレスラーと戦績を積んできたクイーンが甘んじてやられっぱなしになっているはずもなく、沙恵に鉄拳制裁を加えたあとで引き回し、コーナー最上段からラ・ケプラータを見舞う。
リングに戻るとすかさずダイビングボディプレスを畳みかけるが、沙恵がカウンターのDDTでクイーンを仕留めにかかる。フォールもカウントは2。すると今度はコーナーでタランチュラ、さらにはスピアーでクイーンを吹っ飛ばしてフォールもカウントは2。焦れた沙恵がブートの応酬。しかしクイーンがロープ際からカウンターのボディアタックで反撃、タイガーネックチャンスリーで沙恵をマットに突き刺しフォールも、沙恵カウント2で返す。クイーンがここを勝機とばかりタイガースープレックスを狙うが沙恵堪える。クイーンのソバットを受けたあとにビッグブートでダウンを奪って倍返しして、フィッシャーマンズスープレックスホールドで勝負に出るが、カウントは2。


クイーンも負けじと沙恵を捕まえツームストンパイルドライバーで落としてコーナートップからダイビングヘッドバット。瞬間沙恵がかわすと、クイーンも良く見て自爆とはならず、トンボ返りしてからすかさずスペースフライングタイガードロップを沙恵に叩きこんでフォールも、カウント2。するとクイーンが前かがみになった沙恵に卍の態勢で足を掛けつつ両腕を取り、一方を腕で絞り上げ、もう一方を股でクラッチ。卍固めの態勢でありながら、猪木選手の卍固めとはクラッチの仕方が異なる新卍固めを披露して沙恵を仕留め勝利した。

▼セミファイナル  藤原喜明デビュー50周年記念試合タッグマッチ 60分1本勝負
○藤原喜明(プロフェッショナルレスリング藤原組)/アレクサンダー大塚(AO/DC)
11分23秒 脇固め
船木誠勝(フリー)/●冨宅飛駈(パンクラスMISSION)

関節技の鬼、テロリスト藤原喜明がデビュー50周年を記念して、2014年7月以来
ストロングスタイルプロレスに8年ぶりの参戦を果たすこととなった。
御年73歳で現役。船木誠勝をして「(ベテランだからと若い者に試合を任せきらずに)試合をするプロレスラー」は、世界広しといえども組長をおいてほかにいないのではないか。その藤原と弟子の船木が対戦する試合は2019年8月4日以来とあって、今回セミファイナルはメインと並ぶ話題となっていた。
まずは冨宅、船木、大塚がリングイン。大塚は観客に深々と一礼。最後にワルキューレが流れるなかを組長が入場。73歳とは思い難いキレた体つきで、コンディションの良さが伺える。
先発は冨宅と大塚。グラウンドの攻防、大塚が足を取れば、冨宅は大塚の腕を狙う。回転して態勢を入れ替えながら冨宅がアームロックを狙うが大塚も警戒してロープに逃れる。船木と組長がリングイン。緊張感が漂うなか組打ち双方腰を落としながらグラウンドに。組長が船木の上になり袈裟固め。船木が回転して切り返し、今度は組長の上になるが、その船木の首を組長が再びクラッチして身動き出来ない船木の腕に手を伸ばしチキンウィングを狙うが船木逃れる。

立ち上がり、船木がロープ際で組長をヘッドロックするが赤コーナーへ引きこまれる。組長、大塚と交代。大塚が体重を掛けて船木を倒して太い腕を絡めて袈裟固めも。船木が解いてマウントポジションを取るがニアロープでブレイク。冨宅と大塚。グラウンドの攻防でスタミナを削られた大塚が交代をアピールするが組長拒否して「もっといけ」。組長と冨宅。冨宅のカーフキックで組長の足が流れてダウン。冨宅が組長にストンピング、ヘッドロックしてスリーパーの態勢も極めきれず外して組長の背面に蹴りを入れ船木と交代。船木は早いモーションで組長を攻め立てるが、ニュートラルコーナーで組長が船木に張り手。代わって入った大塚がバチバチの打ち合いから船木を鳴門の潮流彷彿のうず潮スイングでぶん回す。
大塚と交代した組長が船木に頭突き2発、3発目にG馬場さんを彷彿の豪快なヘッドバットを叩きこむ。冨宅に張り手をかまし、怯んだ冨宅の腕を取ってがっちりと脇固めで決め、50周年記念試合第1弾を勝利で飾った。


試合が終わればノーサイド、組長に花束が贈呈され、4人並んで記念撮影のあと、船木、冨宅、大塚3人組長と抱擁、握手を交わした。
ちなみに12月8日に東京・後楽園ホールで開催される「初代タイガーマスクストロングスタイルプロレス」で、50周年記念試合第2弾が行われることが既に決まっている。

 

▼メインイベント スペシャル シングルマッチ 60分1本勝負
○スーパー・タイガー(ストロングスタイルプロレス)
11分07秒 牙斬
●池本誠知(格闘技スタジオSTYLE)

大阪大会を目前に控えた15日に都内で開かれた会見の場で、11月23日の大阪大会と12月8日の後楽園大会を巨星アントニオ猪木さんの追悼大会として開催すると発表。かつて猪木さんとともにプロレス黄金時代を作り上げた新間寿会長と初代タイガーマスク佐山サトル総監が「選手のみなさんが猪木イズムを継承して、それを表して欲しい」と語っていた。
メインイベントのスーパー・タイガーと池本誠知のシングルマッチは、その言葉を体現するかの凄まじくも殺伐とした真剣勝負となった。

リング中央で対峙、スーパー・タイガーが池本に右手を差し出すと、池本はためらうそぶりをみせつつがっちりと握手を交わす。が、目には殺気が漲る。ゴングと同時に始まる蹴り合いは、プロレスというより総合格闘技色が濃厚で、お互い一撃で勝負が決まりかねない勢いで叩きこもうとする。タイガーのハイを腕でガードする池本、池本のブラジリアンハイを警戒しがっちりと防御固めるタイガー。まるで鏡のように、攻撃と防御を繰り返す。

池本はタイガーに鋭いカーフキックからハイキックを見舞ってフォールも、返したタイガーがソバットで動きを止め、膝2発のあと延髄斬り。フラフラ状態の池本が本能的に立ち上がろうと掴みかかったところに、タイガーが池本を前に抱え上げ、切っ先鋭い膝の刃で牙斬が決まって3カウント。 

11分07秒のあいだにいったいどれほどお互い蹴りあい、打ちあっていたのか。息が詰まりそうになった。殺気漲り寒気がするほど恐ろしい互いの命を削る真剣勝負だった。 燃える闘魂、闘いに命を賭ける覚悟。スーパー・タイガーと池本誠知、ふたりの無骨なプロレスラーがこの日メインで見せつけた闘いは、故アントニオ猪木さんが提唱したイノキイズムの真髄を垣間見せてくれる死闘だった。 闘魂は死なず。アントニオ猪木の魂はストロングスタイルのマットの上で生き続けていくと、信じることができた興行だった。

大阪大会終了後、ストロングスタイルプロレス平井丈雅代表より、メッセージを賜った。
「伝承実行委員会湯川代表、一般社団法人初代タイガーマスク後援会様、激闘を繰り広げた参戦選手の皆さま、関係者、マスコミ様のおかげです。全ての皆さまに衷心より感謝いたします。本大会にご来場予定でいらっしゃいました“過激な仕掛人”新間寿会長が腰部圧迫骨折により来阪が中止となりましたが、初代タイガーマスク 佐山サトル総監によるアントニオ猪木会長への追悼30カウントゴングは、病に臥せっております新間会長の猪木会長への強い思いと共に、そして新間会長と共に打ち鳴らせていただきました。

アントニオ猪木会長への追悼ゴングは12月8日(木)後楽園ホール大会に於ましても行わせていただきます。その時は新間寿会長にも登壇していただけると思っております。

本日参戦された全ての選手の皆さまの激闘に感謝いたしたく思います。今後も初代タイガーマスク佐山サトル、新間寿会長率いるストロングスタイルプロレスはアントニオ猪木会長のプロレスに対する思い、ストロングスタイルへの思いを強く受け継がせていただき、前に進ませていただきたく思います。

本日は本当にありがとうございました。」

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