鈴木軍が11年の歴史に幕!稀代のヒールユニットが最後は愛されるユニットへ

12月23日(金)に開催された新日本プロレスの後楽園ホール大会で鈴木軍11年の歴史の幕が閉じた。

鈴木軍が歩んだ足跡を振り返ると、そこには小島聡をリーダーとした「小島軍(仮)」と言うユニットがあったのをご存じだろうか?

全日本プロレスから新日本プロレスにUターンし、当時のIWGPヘビー級王者であった真壁刀義からベルトを奪取した小島をタイチがリーダーに担ぎ上げ、TAKAみちのく、東京愚連隊のNOSAWA論外を勧誘し、ユニット「小島軍(仮)」を結成。

暫く活動した後、リーダーである小島を追放して出来たのが鈴木みのる率いる「鈴木軍」だった。

新日本プロレスからプロレスリング・ノアに参戦し猛威を振るった時期はノアファンから強烈な罵声を浴びていた。

ボスである鈴木を筆頭にタイチやTAKAもブーイングを浴び、今では考えられないが時にはペットボトルまでリングに飛んで来ることもあった。

それほどまでにファンを本気にさせるユニット、それが「鈴木軍」だった。

振り返ればノアファンにとってはあの頃が一番キツイ時期だったのかもしれない。

そんな稀代のヒールユニットであった鈴木軍がついに解散を発表。

鈴木みのるは、今年12月14日の新日本プロレスの仙台サンプラザホールで鈴木軍の解散を宣言

全員がリングを後にすると鈴木はマイクを持ち、鈴木軍の各メンバーへのメッセージを語りだした。

「2011年、俺とタイチとTAKAみちのくと、3人で始まった鈴木軍。そして、すぐにランス・アーチャーが加わり、4人で本格的に始動をはじめた。いま、2022年。いろんなことあった、山ほどあった。

タイチ、オマエはよ、どうしょうもないヤツだったのにな、ホント、強くなったよ。 

TAKA、オマエはアホみたいな男だけど、だけどオマエの経験と知識が、俺たちを何度助けたことが、俺はわかってる。 

ランス、ランス、オマエに初めて会ったの、新木場1st RINGのインディーのリングだったよな。オマエら、知らねえだろ。アイツが初めて日本に来て初めて戦って日本人、そう、じつは俺なんだよ。オマエとは、これから先もずっとブラザーだ。

デスペラード、オマエはならず者なんかじゃない。れっきとした新日本ジュニアのエースの一人だ。

金丸、金丸は横に並んでも、うしろに控えてても、あ、こんなに安心できるヤツが、この世にいるんだっていうくらい、ものすごい安定感をいつも発揮してくれた。

そしてDOUKI、DOUKI。よくよ、ヒールの表現で、泥水すすってとか言うだろ? アイツだけだよ、本当に濁った水を飲んで、ここまで生きてきたの。メキシコのクソどインディーで、金もなくて。でも、アイツは弱くない。俺は強いと思ってる。

それから、ザック。今日いねえけどな、イギリスまで行って、オマエのこと鈴木軍に誘ったの、ほんとうによかったよ。また、やろうや、俺との腕の取り合い、足の取り合い、殺し合い、またやろうぜ。

鈴木軍が生まれて11年、俺たちが出てくればブーイング、罵声を浴びてずっと憎まれてきた。今見てみろよ、こんなに愛されているじゃねえかよ。だから決めたよ。2023年鈴木軍、新しい出発だ。それぞれが新しい旅に出る。2022年今年をもって鈴木軍、解散します」すると会場から「えー!」という声が漏れたが「もう決めたんだ。ありがとう」と言い残こすと、リングを降りて鈴木軍タオルを持ったファンからタオルを借りると、それを掲げてアピールしてからバックステージへ戻っていった。

宣言して10日あまりでの解散となったこの日。

後楽園ホールには多数の鈴木軍を応援する観衆が駆け付けた。

この日のメインは“鈴木軍ファイナル”と銘打った、鈴木軍総出のラストマッチ。

鈴木みのる&ランス・アーチャー&エル・デスペラード&TAKAみちのくvsザック・セイバーJr.&タイチ&金丸義信&DOUKIの鈴木軍同士の8人タッグマッチが行われた。

試合が開始して中盤になるとボスである鈴木が敵味方関係なく、ストンピングを浴びせる。

この襲撃によって味方メンバーのTAKAとデスペラードからも一撃を喰らう。

鈴木はメンバーから総出の攻撃を噛み締めるように受け止めた。

最後はザックの放ったザックドライバーで試合に終止符を打った。

<試合結果>

▼8試合 30分1本勝負 鈴木軍ファイナル
TAKAみちのく
エル・デスペラード
ランス・アーチャー
鈴木 みのる ×
vs
DOUKI
金丸 義信
タイチ
ザック・セイバーJr. 〇
19分11秒  ザックドライバー→片エビ固め

試合後、鈴木軍メンバーがマイクを手に持ちそれぞれ思いを語った。

DOUKI「俺はこのメンバーの中で一番鈴木軍としての歴は短い。たった3年半かもしれないけど、鈴木軍にいたことで俺は成長できたと思う」

金丸「いい軍団にいて、いい酒が飲めた」

TAKA「ボス、こう呼ぶのも最後かも知れないんで言わせてください。ボス、有難うございました」

デスペラード「鈴木軍に合流するのが目的で日本に来て、結局鈴木軍で長いことやれて、ようやく成長できたと思ったらなくなっちゃって。ここからどうしようかなと思ってますけど、とりあえず今日のところは、この楽しい軍団に入れたことを、誇りに思いながら、余韻を楽しもうと思います。有難うございました」

アーチャー「鈴木サン、22年間のプロレス生活、22歳、プロレス、俺はキャリアの半分、11年間を鈴木軍として過ごしてきた。日本で戦うことができて光栄だった。だがそれ以上に俺の永遠の兄弟であるあなたと同じリングに上がることができたことが、何よりもありがたかった。有難うございます」

ザック「7年前、鈴木軍がプロレスリング・ノアに現れて俺は毎日、鈴木軍は、チョーメンドクサイって思った。でも、18カ月後、鈴木サンが俺を鈴木軍、そしてニュージャパンに招いてくれた。それは俺の人生の中で一番大きな決断となった。鈴木軍はチームじゃない。鈴木軍は家族です。有難うございました」

タイチ「俺たちはほかのユニットに比べて、これといったものを残せなかったかもしれねえ。けど、ほかのユニット、どの軍団にも絶対マネができねえことやってきた。だから、俺たちは間違いなく一番だった。あとにも先にも一番の軍団だ。鈴木軍、11年、一度も離れず、最後まで戦ってきたのは、俺とあなただけだった。11年、俺のキャリアの半分ですよ。キャリアの半分、鈴木軍、過ごしました。これからもこの11年が無駄にならぬように、あとはまたゴミみてえな人間に戻らねえように、これからもしっかりと自分の道、歩んでいこうと思います。11年、楽しかったっすよ。どうも有難うございました!」

鈴木「まあ、俺からのことは先日リング上で言わせてもらったから、みんなに対してはもうないよ。自分自身のことだけ言わせてくれ。俺は11年前この新日本にIWGPを獲るためにやってきて、鈴木軍を作った。そして、鈴木軍は今日ラストマッチを迎えた。形は変わるけど、これからも毎日IWGPを狙っていくぞ!チャンピオン、チャンピオン、そのときのチャンピオン、ヘラヘラしてるとテメー、寝首切り落としてやる。どいつもこいつも覚悟しとけ!最後は、俺たちらしく締めようぜ、なぁ。パチパチパチパチ、うるせえんだよ、このブスが!ヘラヘラ笑ってんじゃねえよ、テメーら。オメーらの思ったとおりのな、そんな未来にな、そんななるわけねえだろ!全てな、何もかも!俺達がブチ壊してやる!いいかこれが最後だ、俺たち鈴木軍、イチバ~ン!!」

ここでまさかの2019年2月に引退した飯塚高史が客席から登場。

サプライズ登場となった飯塚が揃って鈴木軍11年の歴史に幕を閉じた。

そしてこの試合を観たファンもSNS上でそれぞれの感想をツイート(一部抜粋)。

「昨日の鈴木軍ファイナル 途中から涙が止まらなくて…最後に大きな愛を観せて頂いたなと、本当に鈴木軍らしいラストだったなと思います。あの場にいられて幸せでした」

「試合中も試合後ずっと熱い涙が出た 家族が解散するって何だろうと でも、必要な旅立ちなんだろうと 噛み締める」

「もう涙しか出なかった。最高のファイナルだったと思う。2013年、俺が鈴木軍のファンになってから約9年、鈴木軍を追いかけたこの9年間は最高に刺激的でギラギラしてて、本当に楽しかった!」

「鈴木選手が見せたかったもの きっと強くなったメンバー達への感謝の気持ちなんだろうな…最高の試合、ありがとう」

「鈴木軍らしい最高のファイナル 試合もコメントもサプライズも 全部がめちゃくちゃ感動した…」

「鈴木軍は、俺にとっては、プロレスに出会わせてくれてありがとうと伝えたい。」

「鈴木軍ファイナル感動した もう最後皆笑顔なのが素敵よね。」

「涙なしで語れぬ、ありがとうございましたの気持ち共有させて!」

「鈴木軍ファイナルは最高だった‼️鈴木軍!いちば〜ん!」

鈴木みのるのTwitter紹介文にはこう書かれてある

「いまできること、いまやらなければいけないこと、いまやるべきこと、すべて全力。自分を信じて前に進む」

結成当初よりも全てがパワーアップした鈴木軍。

ファイナルを迎えた彼らの次なるステージをこれからも見続けていたい。

■解散時のメンバー
鈴木みのる タイチ TAKAみちのく ランス・アーチャー エル・デスペラード 金丸義信 ザック・セイバーJr. DOUKI (あべみほ)

プロレスTODAY総監督:山口義徳

<写真提供:新日本プロレス>

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