【ノア】引退試合を終えた武藤敬司「本当に俺は幸せなプロレス生活でした」

プロレスリング・ノアは2月21日(火)、東京ドームにて『KEIJI MUTO GRAND FINAL PRO-WRESTLING “LAST” LOVE ~HOLD OUT~』を開催。

今大会では“プロレスリング・マスター”武藤敬司の引退とあって、最後の雄姿を一目見ようと東京ドームに多数のファンが駆け付けた。

『KEIJI MUTO GRAND FINAL PRO-WRESTLING “LAST” LOVE ~HOLD OUT~』
日程: 2023年02月21日(火)
開始: 17:00 開場:15:00
会場: 東京・東京ドーム
観衆:30,096人

内藤哲也とのファイナルマッチを終え、その後サプライズで蝶野正洋との一戦を終えた武藤が試合後のバックステージでコメントを出した。

武藤「おかげさまで自分の足でそこまで車椅子で来たんだけど、自分の足で帰りました。」

――引退試合を全て終えて、今の感想はいかがですか?

武藤「感想、それほど悲しくもないし。ここまでの道のりの方がしんどかったな。終わってみたら、やっと終わったかなって感じで。」

――対戦相手の内藤選手に関してはいかがですか?

武藤「うーん、もしこのあとプロレスビジネスが落ちたらあいつのせいだよ。そういうのを観察しておきますよ。」

――試合途中、(橋本真の得意技)袈裟斬りチョップやDDTを出していました。

武藤「ただ、やっぱり慣れた技じゃないから、なかなか決めるにまでは至らなかったですね。しかも自分のムーンサルトも飛ぶガッツがなくてね。昔、プロレスのためには足の1本や2本あげてもいいようなことを俺は言ったことあるんだけど、やっぱりあげれなかったな。ちょっと俺、ウソつきだよ。あそこで躊躇しちゃったよ。」

――(ムーンサルトプレスを)迷った場面があったが、あの時はどういうことを考えていましたか?

武藤「いやもう、家族の顔とかさ、医者の顔とか。しかもみんな怒ってる顔なんだよ。それが出てきてね。躊躇しちゃったよ。」

――3カウント聞いた瞬間はどうでしたか?

武藤「天井見てたよ。広いなあ、天井って。ああやって東京ドームの、あんなど真ん中で仰向けで寝れるのもそうないことだし、嬉しかったですよ。」

――試合後に蝶野さんを指名したのはどうして?

武藤「これがね、どうしてもやりたかったことなんだよ。なんだかんだ言って、蝶野はデビュー戦を一緒にやって、締めくくりはやっぱり蝶野にしたかったんだよ。よくあいつあそこまで動けたよ。大したもんだよ。アドレナリン出てたよ、あいつ。嬉しかったっす。期待に応えてくれて。」

――最後10カウントゴングがありませんでしたが?

武藤「やっぱりなんとなくあっさり終わりたい、全体的に。カラッとしているじゃん、俺。あんまりジュクジュクジュクジュクしたくないじゃん。いい終わり方だと自分でも思います」

――ゴールのないマラソンと言ったプロレスをゴールしてみて、どんなマラソンだったと思いますか?

武藤「いや、やっぱり今年で39年間、途中で厳しかったこともあるよ。なんて言ったって怪我が絶えなかったし。今回もこの1ヵ月、本当にハムストの肉離れには参っちゃってね。幸いにも今日そこまで治療とかリハビリとか一生懸命やったから、思った以上に自分の中では動けて良かったですよ。これは誰しも抱えることだろう、怪我とかね。なんかゴールできて良かったです。本当に多くのレスラーがこういう風に引退試合ができてない中で、本当に俺は幸せなプロレス生活でした。」

――これをやっておけば良かったという悔いはありますか?

武藤「試合の中の悔いなんかすげぇあるよ。なんかもう少しできなかったかなとか、今は反省しながらこの道を。次がないのにね。次がないのに、次がこうしたいな、なんていうような気持ちで。まだ自分でもしかしたら引退するって実感できてないのかもしれない。こうしたら良かったのになとか、細かいこといっぱいあるんだよ。」

――もう1回リングに上がりたいというお気持ちはありますか?

武藤「いや、もうケジメつけたんだから。そんなこと言わないでくれよ。後ろ髪引かれるじゃんかよ。もう辞めるよ。」

――これからの夢は?

武藤「いつも言ってるじゃん。もう普通のオジサンになりたいって。普通のオジサンになるのって、なかなか大変なんだよ。やっぱり人工関節の足も抱えているし、なんとなくまともに歩けないし。普通のオジサンはまともに歩けるからな。ゴルフ行ったり。そういうのもできないんだから、俺。だから、普通のゴルフ行けるような体になりたいですよ。思ったより悲しくもなんともねえな。ジワジワ来るんだろうなあ。たぶんね。あとからジワジワ来るんだよ。明日から何すればいいのかな、俺。」

――今後トレーニングは続けますか?

武藤「トレーニングはするよ。トレーニングしないと、やっぱり人工関節とか、骨が弱ったら合わなくなってくるからね。そういう意味も込めて、普通のオジサンになりたいって言ったんだから。やっぱり自分で歩いて活動できるぐらいに常にしたいというか。」

――トレーニングはライフワークとしてですか?

武藤「そうですね。ルーティーンで、そんなに1日のルーティーンは変えないつもりでいますよ。」

――体が元気になってきたらどうしますか?

武藤「これだけ盛大に祝ってもらって。もしかしたら、また復帰したら詐欺で捕まっちまうよ。」

――これからのプロレス界にこうあってほしいというメッセージはありますか?

武藤「今日まじまじと古館さんの詩を聞いてて、これでなんか猪木プロレスの終焉だっていうようなことを言ってましたよね。俺もそう思うし、たぶん今から新しいプロレスというものが生まれてくるんじゃないですかね。この興行もPPVとかで放映したりして、どのぐらい見ている人がいるのか全然わからないんだけど、そういう部分でいって、大きなお金が集まってくれば、レスラーも豊かになったりとかして。豊かになってくればグローバルで勝負できたりして。それがきっと新しいプロレス界の未来かな、なんて思う中で。今日のこの全ての興行がそういう糧になってくれればなんて思ってます。皆さん、39年間本当にありがとうございました。」

<写真提供:プロレスリング・ノア>

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