【ガンプロ】今成夢人が10・1新宿でのSOG王座返り咲きを宣言!「木髙イサミさんが思う主人公観を今成夢人がつくった主人公観で超えたい」

 プロレスラーと映像作家という2つの顔を持つ今成夢人(ガンバレ☆プロレス)が10月1日、東京・新宿FACEで木髙イサミ(BASARA)が保持するスピリット・オブ・ガンバレ(SOG)世界無差別級王座に挑む。同王座の第2代王者に君臨した今成は昨年9月3日、東京・成増アクトホールでハートリー・ジャクソンに敗れ王座陥落。あれから1年、積み重ねてきたものを武器に王座奪還を目指す。その今成に決戦直前の胸の内を聞いた。

ーー1年ぶりにSOG王座奪還に挑みます。この1年間、どういう思いでプロレスをしていましたか?

「SOGがガンプロの主軸の物語とすると、完全にそこにアクセスしなかったというか、あえて自分じゃないなというのがあったし。団体の主軸ではない物語で、この1年紡いでいきたいというのがあったので、客観視して見ていました。そのときに渡瀬(瑞基)君とか若い子が出てきて、客観視しているなかで、別のものを描きたいなというのがすごくありました。もともと明確に自分がガンプロの顔と言ったら変ですけど、顔じゃなくていいかなと。ジョーカーでいいかなと。ヒーローではなく、裏側にある人間でいいと思ってたので。すごくそこは意識してました」

ーージャクソン選手にベルトを獲られて、すぐにでも獲り返したいという気持ちは起きなかったですか?

「そんな感じじゃなかった。コンディションも首を傷めたりとかあって、ベルトを落として正直少し気が楽になった部分もあった。そこからコンディションを仕上げて、ピッチが上がってきた。そんななかで、この間のGLEAT(8月4日、両国国技館)に出たのもそうだし。ガンプロ興行の主軸になったりが本伝、メインストーリーだとしたら、自分って外伝で動く人間だと思ってて。2020年に大谷(晋二郎)さんと『天下一ジュニア』で戦った時もそう。外伝が発生しやすいというか、ガンプロの物語が本伝だとしたら、外伝が動き出してて、また外伝で目立ってるというか。そこが何でそうなるんだろうと思うくらい、外伝で動きが発生しやすいレスラーだと思って。ガンプロのリングで本伝でメインストーリーだけで、この1年でそんなに動きがあったとは思わない。

 でも7・9大田区総合体育館でエル・リンダマンと戦って。対戦が決まってから、その煽りVを対戦相手も取材して、自分も撮るという、今成夢人にしかできないVTRをつくって、自分で試合をして、自分でケツをふいてって。あれに関しては自分にとって集大成だったと思う。映像班のプロレスラーにしかできない方法論を取れたと思うし。そのなかでリンダマンという一番プロレス界でポテンシャルの高い選手と、自分の方法論で迫れたという一種の達成感とか、完成度の高いものができたという満足感があった。そんななかで、8月のGLEATでの外伝、全く関係ないところでプロレス専門誌の表紙になってというのもあって。1年通してガンプロの今成夢人としては大きな動きはなかったですけど、要所要所でちゃんと自分の仕事をしたというか、今回はチャンスがあるところを積極的につかんだなという感覚はあります」

ーーもう1回SOG王座を獲りたいというのは、そのあたりでフツフツと沸いていたんですか?

「ガンプロのピントがちょっとボヤボヤしてるなって思いはあった。客観視したときに。誰が明確な顔なのかとか、この団体の売りは何なんだろうとか。そんなときに9・2王子で冨永真一郎がイサミさんに挑戦して。僕のなかでは仕事をしながらプロレスをするというスタンスは、ものすごく尊さを感じていて。僕自身プロレスだけで食ってる人を尊敬してるんですけど。それ以外にも仕事をしながらプロレスをやって、その関係性を独特に築いている人に魅了されてるし、時代的に副業が肯定されている。僕って映像の仕事がメインで、プロレスのギャラって副業扱いでもらってる。そう考えたとき、冨永という僕の10年以上の友だちが、プロレスとの関係性、別の仕事をしながら、プロレスにどうやって向き合っていったらいいかって悩み続けて、ガンプロに参加し続けてきて。会社でもキャリアップしたいとか、そういう相談も受けたりして。そのなかで、僕のなかでの強さって、一般の世界とかで働いている人との人間関係とか、プロレスと向き合いながら、関係性をどう築くかということでのバランスについて悩んだりとか。専業でプロレスやってる人の強さはあると思うけど、僕たちもいろんなものと関わりのなかで、プロレスして探求してる強さがあると思う。

 僕の場合は映像ディレクターやりながらやってる。1度も僕のなかでプロレス専業でやろうという考えはなくて。もしかしたら怒られるかもしれないし、その感覚でいてもらったら困るという人もいるかもしれない。だけど副業がどんどん肯定されてるのはいいと思うし、インボイスの制度でフリー殺しが叫ばれてて。日本って国がそれを拒むわけだから。日本って結局終身雇用で働く考え方が根付いていると思うんです。つまり、プロレスラーって、一つの団体に所属して、そこを専業で全うすることが根付いてると思う。でもそんなことなくて、前からインディーズの選手は働きながらプロレスやってる。どっちも真剣にやってることをもっと肯定してよかったし、うしろめたさを感じる必要はなかった。それを冨永のファイトを見たとき、すごく肯定感があって。すごい素敵なことだと思ったし、それに冨永が働きながらやってるという強さでイサミさんと対等に戦えてるのが素晴らしかったなと。あー、これは今の僕をイサミさんにぶつけたいなと。冨永の続きをやりたいと思いました」

ーーワーッという思いが沸いたのがイサミvs冨永戦を見てということですか?

「そうですね。自分のセールスポイントは働きながら取り組んでること。そこにプライドを持ってることだったんです。それが明確に分かったんです」

ーー冨永選手とは大学生時代からの付き合いで、そういったものを含めて、彼がベルトを獲れなかった。でも彼も頑張ってるから、自分もイサミ選手に挑みたいという気持ちになった?

「その部分もあります。すごく共感できたんで。冨永のスタンスとか、攻め方に。だからこそ僕も今ならバトンを自然に受け継げるなという感覚があった。あー、今だな!って思って。イサミさんも僕を指名してくれて、その場でよかったなと。ベクトルがかみ合ってよかったなと」

ーーイサミ選手にはどういうイメージをもってましたか?

「僕にとって、徹底して主人公というのをまとってる選手だと思う。イサミさんも中肉中背で、大きな体格があるわけではない。体は小さい部分はあるけど、イサミさんって、だからって自分をサブキャラにしない。徹底して自分の設定というか思い込みというか、それを真ん中にいる人間なんだって。すごく自分に言い聞かせてらっしゃる人。そのマインドがあるからこそ、人が付いて来てるし、団体も牽引してると思ってて。そういうマインドがあるから、これだけのタイトルを獲って。僕はそこの主人公というマインド設定をして、サクセスした人だなってイメージがあります」

ーー2019年いっぱいで、BASARAがDDTグループから離脱して、接点は少なくなりましたか?

「全然なくなりました。映像班としてBASARAを撮影に行くこともあったし、煽りの映像を撮ることがあったし。イサミさんと竹田(誠志)さんのケージマッチとか、撮影でインタビューしたりしたし。BASARAの映像の素材もらって、何かつくるとか、アップロードするとか、そういう作業がなくなっていったので。イサミさん、BASARAに対してのブランクがありますね」

ーーそのイサミ選手がガンプロに参戦するようになって、SOGのベルトを獲って、イサミ選手とシングルのタイトルマッチをするってどういう思いですか?

「僕にとって、イサミさんは煽りVで何回もインタビュー、撮影させてもらったけど、この人、毎回パンチラインのあることを言うなって思ってて。映像制作者の目線で言うと、イサミさんのVTRってメッチャつくりやすいんです。毎回テーマが明確でイサミさんの言葉自体がすごくワクワクさせてくれるような言葉が出て。その言葉をベースにすることで編集のモンタージュがノッてできるという。僕にとってイサミさんは編集していくと、主人公になっちゃうんです。だから主人公にせざるを得ない人だし、ついに僕がその主人公に対峙する権利をじっくり時間かけて得たんだってことにしっくり来てる。ものすごく自然な流れだなと思う、全然チャレンジとか、格上の選手にどうこうということじゃなくて、その権利のある人間になってるんだなって。そういう風に自己分析できるかな」

ーー昨年5月に初代王者の高岩(竜一)選手に挑戦したときと、今回とでは気持ちは違いますか?

「全然違います。あのときは団体のシングルの玉座を巻いたことなかった。今はそれを1回経たんで。経て2度目を獲りに行くって、僕のなかでは同じ山を登りに行く感覚なのかなと思ってた。でも、チャンピオンが違うだけで、こんなに違う山に見えるんだって。SOGという同じタイトルだけど、全然違う山を登らなきゃいけないんだっていう感覚。自分でもビックリするくらい新鮮です」

ーーイサミ選手に勝つイメージはできてますか?

「できてます。すごく自分の信じてきたフィジカル、精神、培ってきたもので勝負するって感覚。積み重ねてきたって。あと、風自体が吹いてる感じがする。また外伝で風を吹かせてきて、本伝にその風を持ってくるんだから。ガンプロしか見てない人は、ほかの団体とかで僕がニュースをつくってるとか、あまりリンクしない人もいるかもしれないけど、僕のなかでは日々大変なことが起きてるんで」

ーーSOGのベルトに関わらないで積み重ねてきた1年はイサミ戦に生きると思いますか?

「生きるんじゃないかな。まさに積み重ねですよね。イサミさんも当然積み重ねていると思いますし、DDTグループじゃなくなってから。僕の積み重ね方も、イサミさんがふだん出入りしてる団体の人たちにはいないと思うんで。今成夢人を浴びせたいし、イサミさんが思う主人公観を今成夢人がつくった主人公観で超えたいなというのがすごいあります」

ーーベルトを獲れたら、前回とは違う防衛ロードが待ってる?

「そうですね。プロレスというカテゴライズもそうなんですけど、挑戦する側に何かを託す。9月いっぱいでサイバーファイトを辞めて、10月からフリーになるんですけど。僕はチャンピオンになったら、こんな仕事もしてます、あんな仕事もしてますと言えると思うんです。映像だけど、プロレスじゃないものも撮っていくことになると思うんで。そうなったときに、その経験とか感覚とか、大変だよと思うことがまたプロレスに生きると思うんです。それも全部絡めたチャンピオンになれると思う。こんな仕事をしてる、こんな映像を撮ってるチャンピオンはほかにいないだろうって。何を撮るかにもよるんですけど、僕のやってる仕事が面白くなればなるほど、チャンピオンとしての強度が上がると思ってるんで。そういうものを見せていくから、挑戦者には酷だと思う。その強度を超えるものをつくっていかなきゃいけないんですから」

ーーサイバーファイトを退職されるということで、ファンに一言お願いします…

「感覚として卒業というのが近い。退社なんですけど、サイバーファイトというすごくきちんとした会社に、この数年でなって。勤怠の管理とかサイバーエージェントのシステムを使った連絡方法とかがある会社になっていったんですけど。それ以前のきちんとしてないと言ったら変ですけど、会社として基盤が弱かった頃からすると12年半、長かったなって思うんですけど、やり切ったと思うところもあって。卒業だなって思います。でも卒業してもサイバーファイト映像班にいた経験を、絶対ほかの仕事で生かしていけると思うし。僕がほかの映像で活躍すればするほど、DDTの映像班ってすごかったんだなってなると思うし、僕のものの見方とか、僕のプロレスのVのつくり方だとか。たぶん違う社会と接続していくと思うんで、プロレスに限らずですけど、また絶対にそれがプロレスに還元されると思うんで。今までありがとうございましたという気持ちと、これからもよろしくお願いしますという気持ちです。ただプロレスラーとしては今まで通り、ガンプロ所属です。サイバーファイトとはつながりはなくならないですし、外注でお仕事いただければVTRもつくります」

GIRI GIRI CHOP!2023
日時:2023年10月1日(日)開場11:20開始12:00
会場:東京・新宿FACE

♦メインイベント~スピリット・オブ・ガンバレ世界無差別級選手権試合 60分一本勝負
<王者>木髙イサミ vs 今成夢人<挑戦者>
※第5代王者3度目の防衛戦。

▼大会詳細は公式サイトにて
https://www.ddtpro.com/schedules/21066

〈写真提供:ガンバレ☆プロレス〉

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