全日本プロレス一筋「王道の生き字引」渕正信の魅力とは デビュー50周年&古希(70歳)記念マッチで披露

【柴田惣一のプロレス現在過去未来】


(※試合前、挨拶に臨んだ渕)【写真:柴田惣一】

古希(70歳)を迎えた「王道の生き字引」渕正信がデビュー50周年&70歳バースデー記念試合(1月14日、東京・後楽園ホール)で、次代のエース・安齊勇馬に「王道魂」を伝承する大一番に臨んだ。

試合前にはグレート小鹿、大仁田厚、元日本テレビの実況アナウンサー・倉持隆夫氏と会談。懐かしい面々と、しばし昔話に花が咲いた後「いろいろあったけど、全日本を貫いた渕正信はスゴイ」で全員が一致した。1972年に設立された全日本プロレスに74年に入門以来「王道一筋」の渕を称えていた。


(※大仁田、小鹿、そして倉持元アナも駆けつけた) 【写真:柴田惣一】

昭和、平成、令和と時代とともに王道マットで活躍。ジャイアント馬場さん、ジャンボ鶴田さんに師事し、三沢光晴さんにアドバイスを送っている。王道の歴史を体感し支えてきた。「全日本プロレスとは」をリング上で披露するのはこの男しかいない。

対戦相手は今、最もふさわしい選手となった。宮原健斗、芦野祥太郎、諏訪魔、青柳優馬、本田竜輝ら、令和の王道マットを支える男たち8人が参加した「ロイヤル渕ランブル」を勝ち抜いた安齊である。

20分を超える激闘。さすがに途中、渕がへたり込むシーンもあったが、馬場さんばりの脳天チョップ、フロントキックに、鶴田さんも得意としていたバックドロップを放った。

最近の十八番、ボディスラムで叩きつけ「フチコール」に応えたが、安齊のフェースロックにギブアップ。メモリアルマッチは終了した。

「(14分40秒のロイヤル渕バトルの直後とあって)安齊はへばっているから、もう少しやれると思ったけど悔しい。若さだな」とあくなき勝利への執念を披露した。


※試合後、渕は安齊に何やら話しかけていた【写真:柴田惣一】

1998年、26年前の馬場さんの還暦記念試合(馬場、三沢、マウナケア・モスマン組VS川田利明、小橋健太=現・建太、渕組)に触れ「僕は44歳だった。還暦の馬場さんをうらやましく思ったけど、自分がここまで古希の試合ができるなんて」と感慨深げ。

自ら先に決めたものの、逆に安齊に仕留められたフェースロックは、三沢さんと練習した技。「三沢はこの技で無双の強さを誇った鶴田さんからギブアップを奪った」と世代交代の瞬間を振り返った。

今後、安齊にもこの技で諏訪魔ら先輩たちからの勝利を期待する。「全日本プロレスの将来を担う安齊君と試合ができて良かった」とにっこり。「王道の魂」のひとつともいえるフェースロックを実戦で伝承できたことに満足げだった。


※渕vs安齊を裁いたのは和田京平レフェリー【写真:柴田惣一】

「気持ちいい。毎年やりたい」と誕生日マッチの恒例化をも希望する。「頑張る古希ファイター」は、まだまだ引退など微塵も考えていない。

最近、リング内外でゴタゴタしている感が否めない全日本プロレス。この日も、世界タッグ戦で敗れた中嶋勝彦が、クーデターや他団体の引き抜きの動きを示唆する不穏なマイクアピールをし、会場には微妙な空気が漂った。

しかし、セミのロイヤル渕ランブルからのメイン終了後は一変。会場が柔らかで温かい空気に包まれた。全日本プロレス一筋の大ベテラン・渕ならばこそだ。

「今日の試合、見に来て良かったね」。帰り際に、満足気なファンの会話が聞こえ、何とも優しい気分になった。やはり王道に渕正信は欠かせない。

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