”レインメーカー”オカダ・カズチカが棚橋弘至社長に恩返しの勝利 感謝の涙がこぼれた
新日本プロレス2・11“西の聖地”大阪府立体育会館大会。リング中央に描かれたストロングスタイルの証し、ライオンマークに“レインメーカー”オカダ・カズチカが涙ながらに座礼した。思い出深い会場で、感謝の気持ちを込めて深々と頭を下げていた。
2012年の2・12大阪大会。“エース”棚橋弘至からIWGPヘビー級王座を奪取し世間をあっと驚かせた「レインメーカーショック」から12年。エースから社長になった棚橋へのお礼と決別の試合を見事勝利。大阪有終の美を飾った。
入場時から目には光るモノがあふれ出そうになっていた。リング上ではクールだが、リングを離れるとナイスガイそのもの。闘龍門やメキシコで積んでいたキャリアがあったのに、新日本プロレスに入門した時には新弟子から新たにスタート。黒いショートタイツにスポーツ刈りの黒髪で、他の若手選手と一緒になって忙しく雑用をこなしていた。
思えば、レインメーカーに変身する前の海外遠征の壮行試合で送り出してくれたのも棚橋だった。「棚橋さんあってのレインメーカーだった」と振り返る。
西の聖地のファンは暖かくも厳しい。ストレートに感情を爆発させて来る。12年前には胸を張ってもブーイングを浴びた。棚橋を下してもまだまだ満場一致とはいかなかった。
とはいえ、大阪のファンを納得させるのに、そう時間は必要なかった。いつの間にか、拍手と歓声に包まれた。棚橋とのエース並立時代から、立派な大黒柱と認められるようになった。
190センチを超える長身で、スピードもある。派手な大技はもちろん、グランドテクニックもこなす。スタミナにも不安はない。世界中どこのマットだろうが、トップに立てるのは間違いない。
時差も距離も関係ない現在では、すでにその名は世界中に轟き渡っている。個人の実力に加えて新日本ブランドもある。世界一のプロレスラーに王手をかけていると言っていいだろう。
大リーグの大谷翔平に日本人は勇気、元気、誇りをもらった。今度はオカダの番である。世界を知る武藤敬司は「今は、日本よりも世界のプロレス界の方が、勢いがある」と分析している。オカダは世界を舞台に大暴れして、日本に逆上陸する日もあるはず。
レスラーの全盛期は30代後半からだという。37歳と今こそまさに絶頂期。その振る舞い、ファイトから醸し出される人間力こそ、プロレスラーの魅力でもある。
すべてが揃い、脂が乗っている。いみじくも棚橋が「俺はオカダに勝ったことがある、と自慢できる活躍をしてくれるはず」と口にした。その通り。
どこに行ってもカネの雨を降らせることだろう。日本が誇るプロレスラー。世界に羽ばたく日は近い。
残るは“北の聖地”札幌・北海道立総合体育センター2連戦(23、24日)。レインメーカーが区切りを告げるバトルが、間もなくゴングだ。
<写真提供:新日本プロレス>
▼柴田惣一のプロレス現在過去未来(バックナンバー)
https://proresu-today.com/archives/author/shibata-souichi/