次代のエース争いは群雄割拠 新日本プロレスはまたまた戦国時代に突入

【柴田惣一のプロレス現在過去未来】

オカダ・カズチカが「サヨナラマッチ」に臨んだ新日本プロレスの2・23、24札幌2連戦で、若武者たちもそれぞれの思いを爆発させた。

2・23決戦で初のシングル戴冠を目指した海野翔太。NEVER無差別級王者EVILを再三再四、追い込んだものの悪の軍団ハウス・オブ・トーチャーの乱入攻撃に無念の敗退となった。

ただ、新しいヘアスタイルは目を引いた。これまでのロングヘアは棚橋弘至と内藤哲也を思い浮かべるファンが多かった。「二人を追いかけるのはわかるけど、二人を追い抜くには同じような髪型はいかがなものか」という声が聞こえていたのだ。

この日、披露されたのはショートスタイル。「精悍な顔が浮かび上がった。甘さに加えて新たな魅力が加わった」と好評だった。髪型は大事だ。髪型ひとつで雰囲気が変わり、相手へ与える全体のイメージも違ってくる。

ベルト奪取には失敗したが、翌2・24決戦で新たな敵が挑発してきた。AEWで活躍していたジャック・ペリーだ。1・13米サンノゼ大会で、マスクを被って海野を襲撃したのもこの男。「ペリー」とはまるで黒船来襲ではないか。

ペリーは「お前はかつての俺のようだが、この世に必要なのはヒーローだけじゃない」とメッセージを送り付けてきた。もちろん海野も受けて立つ。「やってやる!」と対戦要求を受諾する。

新日本の新時代を背負う海野を周囲も放っておいてはくれない。日本人のライバルたちだけでなく、外国人選手までもがターゲットにしてくるのだ。その存在感は日に日に増すばかり。

新時代のエースを狙うのは海野だけではない。2・24決戦で激突した辻陽太と上村優也も熱い魂をぶつけ合った。今年の二人の対戦成績は1勝1敗。ヤングライオン時代からのライバル対決は、男の命である髪をかけて激しい攻防となった。

試合時間の30分が迫りくる中、28分20秒、辻が十八番のジーンブラスターで上村を仕留めた。悔しさを隠せない上村だったが、髪切りには素直に応じた。まずはハサミで辻が上村の後ろ髪をバッサリ。続いて辻の手からバリカンを奪い取った上村が自ら頭の中央部に歯を走らせた。

落ち武者のようになった上村はリングを去っていく。その背中にはリベンジへの炎が赤々と燃え盛っていた。

辻はリングサイドの放送席にいたオカダの前に立ちふさがった。どうやらこのまま、新日本から去ることが許せないようだ。「この中途半端な終わり方はなんだ。旗揚げ記念日大会(3月6日、東京・大田区総合体育会館)こそ、レインメーカーの新日本最後の試合に相応しい。この俺が最後の相手になってやる」とアピールした。上村も「どこのリングでもいい。オカダに必ず借りを返す」と主張している。

オカダの退団で改めて次世代の選手たちにスポットライトが当たっている。オカダ退団はピンチではないかとも言われた。だがピンチはチャンス。海野、辻、上村始め、ヤングライオンと言われた男たちはいつの間にか、ステージを上げていた。

何時の時代も天下取りを目指すサバイバルレースは過酷で熱く非情。実力でのし上がるのは?ファンの支持を得られるのは?

「海野が一歩リードしているのではないか」という意見もあるが「辻の強靭な体も魅力」や「上村の巻き返しに期待」あるいは「ノアで経験を積んだ大岩も楽しみ」または「成田蓮や藤田晃生だって黙ってない」など、それぞれ期待する選手がいる。

人材の宝庫は群雄割拠。戦国マットの行く末から目が離せない。

<写真提供:新日本プロレス>

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