「巨人の星」星飛雄馬そっくりの若き王者・青木優也は保育士志望だった プロレスラーとして熱い想いを激白

【柴田惣一のプロレス現在過去未来】


写真・柴田惣一

“令和の星飛雄馬“ 青木優也が団体から飛び出す大暴れを誓った。

大日本プロレスのBJW認定世界ストロングヘビー級王者に昨年5月に君臨して以来、V7も達成した青木。すっかり「大日本ストロングの顔」が似合ってきた。大日本はデスマッチの団体というイメージが強いが、ストロング部門も充実している。

「追う者から追われる者になって、はじめは王者のファイト、試合を意識して、プレッシャーを感じていた。でもここにきて、自然に当たり前に闘えるようになってきた。責任感を楽しめるようになった」とキッパリ。目力の強い熱いまなざしが痛いほどだ。

ベルトを奪ったのは、プロレス入りを関本大介とともに勧めてくれた岡林裕二からだった。その後、昨年7月、岡林は無期限休業に入った。「時々『頑張っているな』と連絡をいただく。岡林さんに『俺の首をもう一度、かっ切ってみろ』と言わせたい。岡林さんの気持ちがリングに向くようなチャンピオンになりたい」と、いよいよ熱い。


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V8戦(3月20日、東京・後楽園ホール)の挑戦者は野村卓矢。一年先輩の兄貴分に「お前には信念がない」と一生忘れられない強烈なアドバイスをもらった。野村はぶれずに自身のファイトスタイルを貫き通し、今ではしっかりと定着させ、認められている。

「今こそ恩返ししたい。『ボクも芯のあるレスラーになりました』とリング上で野村さんに伝えたい」と決意を新たにした。

野村が王者の時に挑戦した試合では、尊敬する大谷晋二郎から受け継いだスパイラルボムを決めきれず敗退している。今度こそきっちりと決めて勝利し、野村へのリベンジと共に、病床の大谷に「ホットジャパンは健在です。大谷さんが戻って来られるまで守ります」とメッセージを送る覚悟だ。

昨年王座戴冠を果たした5月4日に、今年も神奈川・横浜武道館大会が開催される。王者として横浜市出身者として凱旋するしかない。ハイペースでの防衛戦も「願ったりかなったり」。V9をはさみ思い出の地で、V10戦に臨みたいところだ。「V10となれば、関本さんにも岡林さんにも胸が張れる。横浜のファンの前で叫びたい」と、その全身から炎があがった。


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V10後は他団体の選手との防衛戦、他団体への乗り込みだ。「他の団体さんからも注目を集め、招へいしたくなるチャンピオンになりたい」と、ますますのスケールアップを目指している。

実は意外にも保育士志望だった。お母さんが保育士で、青木本人も子供好き。保育士になるための進学も決めていたのに、関本、岡林と出会い、プロレスの魅力にハマってしまい進路変更。今では天職だと言い切れるプロレスラーとして、着実にステップアップしている。商店街プロレスや、ちびっこプロレス教室では「子供が会場にいると嬉しい。もっとプロレスを好きになってほしい」と優しく接している。

「そういえば、酔っぱらった野村さんに2階からスマホを放り投げられたことがあった。壊れなかったので良かったけど…」とポツリ。珍しく赤い炎ではなく青白い炎をその両眼に浮かべてみせた。

童顔だが試合同様に冷酷な一面もある野村に、多くは語らないが期するものがあるだろう。「チャンピオンは自分。覚悟があります。負けません」とキッパリ。まだ春浅い3月だが、青木のまわりだけ気温が急上昇したかのようだ。

昭和の漫画「巨人の星」の主人公・星飛雄馬そっくりの、あるいは今はなき「石原軍団」にいそうな正統派二枚目が、一味違う一面を披露してくれそうな3・20決戦。5・4決戦につながるファイテングロードを青木優也が熱く突き進む。


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