辻陽太が新日本プロレスに新時代を呼び込んだ この流れは一気に日本マット界に広がるのか

【柴田惣一のプロレス現在過去未来】


©新日本プロレス

開きそうなのになかなか動かない新時代の扉がついにオープン。日本マット界の中心である新日本プロレスの地殻変動がついに始まった。

新日本プロレスの『NEW JAPAN CUP2024』(NJC)を制した辻陽太。決勝戦では4回目のVを狙っていた“元祖・春男”後藤洋央紀を退け、新世代戦士としてまずは結果を出した。

「覚悟はいいか。新時代の幕開けだ」と豪語。いつもの不敵な笑みを封印した辻は頼もしい限りだった。

ここまで新時代の扉に王手を掛けながらも、詰め切れなかった海野翔太、上村優也、成田蓮ら新時代戦士たち。NJC優勝で辻が一気に先頭に躍り出たといっていいだろう。

日体大アメリカンフットボール部でQBとして活躍した辻。全国からアスリートが集結するエリート集団のなかでも、司令塔であるQBを務めていたのだから、その運動能力、頭脳、精神力は本物だ。

卒業後、いったんは一般企業に就職したものの、プロレスへの熱い想いを捨てきれず退社。アニマル浜口ジムを経て、新日本プロレスに入門している。

辻はオカダ・カズチカにも負けない才能に恵まれているのでは、と評価も高い。しかもプロレスLOVEでも負けてはいない。デビュー6年の開花は遅かったぐらいだろう。


©新日本プロレス

4月6日の東京・両国国技館大会でIWGP世界ヘビー級王者・内藤哲也に挑戦する。内藤は辻が所属するロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンのリーダーであり、海外遠征前の壮行試合の相手でもある。

実はプロレス入りを決断させてくれたのが内藤だ。2016年4月、IWGP王座を初戴冠した内藤が、栄光のベルトを高々と投げた姿に雷に打たれたような衝撃を受けたという。プロレスラーになるという夢を実現させる初めの一歩を踏み出す勇気をもらった。

内藤はこの年16年のNJC杯を制してのIWGP挑戦。奇しくも決勝戦の相手は後藤だった。舞台もNJC杯後の春の両国国技館である。

8年前の内藤の再現に向け、すべては整った。内藤が反対しながら、統一されたIWGPベルト問題の進展を、王座奪取後の目標に掲げた。内藤が残したままの課題の解決を目指していく。

勢いとタイミングは辻の見方だ。やってくれそうな期待感が高まる。


©DDTプロレス

新日本マットに新時代の旋風を呼び込む辻。DDTでは一足早く、上野勇希が新時代の到来を決定づけている。“ミスターDDT” HARASHIMAを激闘の末、退けKO-D無差別級王座を死守。満天下に上野時代の到来をアピールした。


©全日本プロレス

期待が高まるのが全日本プロレスの安齊勇馬。3・30東京・大田区総合体育館大会で三冠王者・中嶋勝彦に至宝奪還を挑む。中嶋は王道マットに何かと波紋を興し「赤ちゃんのような安齊を倒すには8分で十分」といいたい放題である。

デビュー1年半の安齊はとことん見下されているが、あえてクールに対応している。「ファンの皆さんの期待をすべて背負って必ず勝つ」と訴える安齊が「New Period」(新時代)の幕を開けてくれるのではないか。

辻の偉業で春の嵐が吹き荒れる日本マット界に、さらなる波がやって来るのか。ワクワクが止まらない。

▼柴田惣一のプロレス現在過去未来(バックナンバー)
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