清宮海斗が「ノアREBELLION」宣言 新日本プロレスの海野翔太にも期待 全日本プロレスの安齊勇馬と20歳代王者トリオなるか

【柴田惣一のプロレス現在過去未来】

シルバーのニューコスチュームは「ノアREBELLION(改革)」宣言。GHCヘビー級王座を奪還した清宮海斗が不退転の決意を固めた。

5・4東京・両国国技館大会でイホ・デ・ドクトル・ワグナーJr.を下し、1年1か月ぶりに至宝を取り戻した。3回目の戴冠だが、まさに「三度目の正直」そのもの。これまでの2回の王者時代とは比べ物にならないほどの心構え、責任感など王者の自覚に燃えている。

いみじくも俺様節でノアをリードする拳王も「お前、大人になったな」と絶賛。清宮は目標達成のためには、これまでのノアを破壊しても構わない、という重い決断も下している。

「今のノアに何が必要ですか? 何が足りないですか? 不器用な団体を俺が全部変えていく」とリング上で宣言。心無いヤジも飛んだが、冷静に対処。あふれでる熱い想いを、きっちりと言ってのけた。

清宮の狙いはずばり、ノアを業界1番にすること。かつて格闘技ブームに対抗せんとして、迷走していた新日本プロレスに追いつき並び立ったことがあった。04年、05年と東京ドーム大会を開催したときには、確かに勢いがあった。

1996年7月生まれで現在27歳の清宮は、少年時代にノア旋風を体感しているのだろう。あのころの熱気、パワーをノアに取り戻したい。

新日本勢との対抗戦に積極的に臨んだ昨年、新日本の底力を身をもって思い知らされている。夢の実現は簡単ではない。昨年2月にはオカダ・カズチカ(現AEW)に敗れ、夏のG1クライマックスでは屈辱の予選落ちを喫している。

だからこそ、仇敵・拳王の共闘申し込みも受け入れた。元より拳王はいち早く「ノアを業界ナンバー1に」と訴えていた。清宮は「面倒くさい部分は我慢する」と苦笑い。ノアを引き上げるためには、拳王に譲歩も辞さない。

海王コンビの復活だが、かつての2人とは立場が違う。ともに成長し、アピール、ファイトで団体をけん引している。中でも俺様節の拳王の発信力は日本マット界でも一二を争うほど。清宮の横に拳王が立つことは大きい。ノア内だけでなく日本プロレス界全体に、海王コンビの想い、つまりはノアの主張が轟くはず。

全日本プロレスでは24歳の安齊勇馬が「ファンとの約束を守る」と三冠王座を獲得。「ALL TOGETHER」5・6日本武道館大会で清宮とタッグを組んだ新日本プロレスの海野翔太(27歳)は5・11米カリフォルニア州オンタリオ大会で、IWGP世界ヘビー級王者ジョン・モクスリーに挑戦する。

海野が師匠モクスリー越えを果たせば、メジャー3団体の王者はすべて20歳代となる。清宮が「翔ちゃん」と呼ぶ海野への期待も膨らむが、ノアのみならず日本プロレス界の新世代を引っ張るのは、実績からいっても三度目のGHC戴冠を果たした清宮である。

5・6決戦で海野そして上野勇希(DDT)のヤングエーストリオをリード。上村優也をフォールし「ALL TOGETHER」をマイクで締めたのも清宮だった。

その後、ゲイブ・キッドに襲撃され、GHC挑戦の名乗りを受けるハプニング。インタビュースペースで、怒り狂う清宮の元に拳王が駆けつけ、海王コンビの結束の強さを感じさせたが、ノアの6・16神奈川・横浜BUNTAI大会で、ゲイブとのGHC防衛戦が電撃決定した。

清宮は「REBELLION」(改革)と口にした。従来のノアに変革をもたらすのは簡単なことではない。抵抗勢力もいるだろう。血が流れかねない。それでもノアの天下取りのために自ら突き進む。

批判の声もあるが、肝が据わっている清宮は意に介さない。悔しさのあまり涙することもあるが、芯の強さは筋金入りだ。

緑の羽が揺れる独特のガウンからシルバーに輝くガウンにチェンジして、大きな一歩を踏み出した。もはや後戻りできない。業界一番になった暁にはゴールドのコスチュームにチェンジをするつもりなのかも知れない。自身を追い詰め背水の陣を敷き「ノアREBELLION」に乗り出した清宮海斗。その勇姿はまばゆいばかりだ。

▼柴田惣一のプロレス現在過去未来(バックナンバー)
https://proresu-today.com/archives/author/shibata-souichi/

➡次ページ【動画】清宮が大会を締めるマイク「「プロレスには何度でも立ち上がるパワーがあると思ってます」

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