リング上の公開討論会 新時代の前哨戦を争ったIWGPヘビー級王者・辻陽太と挑戦者ジェイク・リー

【柴田惣一のプロレス現在過去未来】

「新時代の名勝負数え唄」が始まる。王者・辻陽太と挑戦者ジェイク・リーのIWGPヘビー級戦(2・11大阪府立体育会館)にスポットライトが当たっている。

論客として知られている辻はもちろん、ジェイクも独特の「道化師論法」を駆使し、ファンはもちろんレスラー、関係者も翻弄。二人の論戦は新日本プロレスいや日本マット界に新たな風を呼び込んでいる。

2・2後楽園ホール大会のインタビュースペースで二人が緊急対談。辻がジェイクに「ちょっと話そうぜ」と呼びかけて実現した「公開井戸端論争」だった。

最後の前哨戦となった2・8大阪大会では、試合終了後、6人タッグマッチで勝利したジェイクがリング上にイスを用意。「チャンピオン、どうぞ」と辻を「公開討論会」に呼び込んだ。

辻に奇襲を仕掛けるジェイクの策略かと思いきや、紳士的に語り合う二人。辻が「アンタが隠し持っている真実はなんだ」と問いかけると、ジェイクは「それを言っちゃあ、おもしろくねえ」と応じる。

タイトルマッチを争う二人がイスに座ってトークバトル。これまでの「前哨戦」とは一線を画す新たな抗争である。

辻はジェイクを「ブシロードの宮廷道化師」と例え「こんなにワクワクする前哨戦、初めてだぜ」と意気込む。ジェイクは辻を「本当に弁が立つ。勘がいい」と称賛。けなすどころか、称え合う。タイツマッチを目前に控え、天下を争う宿敵同士とは、とても思えない。

それもわかる。二人の想いは一致している。今の新日本には革命そして再編が必要。ファンの願いを肌でヒシヒシと感じている。

内藤哲也、BUSHI、EVIL、高橋ヒロム…主力メンバーが相次いで離脱。SANADAは欠場。ウルフアロンが期待以上の急成長を遂げているが、トップ戦線に食い込んでくるには、まだまだ時間が必要だ。

2・11大阪大会の辻VSジェイクの注目度はいよいよ高まる。二人のファイトの先に棚橋弘至社長が引退した後の新日本が、どこに向かうのか? 業界の盟主の地位を守れるのか? 新日本ファンならずとも日本いや世界中のプロレスファンが、固唾を飲んで待ち構えている。

藤波辰爾VS長州力の「名勝負数え唄」、ジャンボ鶴田VS天龍源一郎の「鶴龍対決」、武藤敬司、橋本真也、蝶野正洋の「三銃士対決」、三沢光晴、川田利明、小橋建太、田上明による「四天王決戦」、棚橋弘至VS中邑真輔の「ポスト猪木のプロレスバトル」など、時代ごとにライバル対決が日本プロレス史を彩って来た。

辻とジェイクは先人たちに負けないベストバウト級の攻防を披露するしかない。

加えて現代プロレスではリング上だけではなく、マイク合戦やアピール論戦もファンの関心が高い。ジェイクと辻はこの点、すでに合格点を超えている。

リングコスチュームも個性的だ。辻は情熱的でありながらも、落ち着いた大人の色合いのサンギーヌを取り入れ、きれい好きのジェイクは以前から好んで取り入れていた洗濯洗剤アリエールのテイストを採用。そして2人とも、歯がとても白い。今風のおしゃれな要素が満載だ。

辻もジェイクもすべてに渡って「自分」をしっかり持ち、自己プロデュースに長けている。

残るは肝心のファイトだが、連日の激しい前哨戦を見るにつけ期待が高まっている。

辻が新日本の確固たるエースの座を築き上げるのか。ジェイクが三冠王座、GHCヘビー級王座に続いてIWGPヘビー級ベルトを手に入れグランドスラムを達成するのか。

新日本どころか、日本いや世界プロレス界の勢力図を左右する大一番のゴングが間もなく鳴る。

<写真提供:新日本プロレス>

Pages 1 2

◆プロレスTODAY(LINEで友達追加)
友だち追加