宮澤聡のサイン収集列伝23枚目~ケン・シャムロック選手編~

今回は、昔経験したなんとも不思議なお話。

2002年2月22日の後楽園ホール。
その日は格闘技PRIDEの登竜門的なイベント「THE BEST」が開催された。
プロレスラーのマンモス佐々木選手や、キモのマネージャーだったジョー・サンが試合をしたりしたのだが、この大会には2日後にさいたまスーパーアリーナで開催される「PRIDE19」に出場する選手たちが続々と来場した。
確か、公開記者会見もあったからだったような気がする。

PRIDEは大きな会場での開催ばかりで、なかなか選手の会場入りを待てる機会がなかったため、当日の後楽園には「THE BEST」に出場する選手というよりは、「PRIDE19」に出場する選手お目当てのファンがたくさん来ていた。
私はその中でも、2日後にドン・フライ戦を控えたケン・シャムロックがお目当てだった。
同じように周りもシャムロック狙いのファンは多かった。
すると、1台のタクシーがやってきて1人の男が降りてきた。
「シャムロックだ!」
待っていたファンは一斉にシャムロックの元へ
「ハイ!シャムロック!オートグラフプリーズ!」
※オートグラフはサインのこと
「シャムロック!ピクチャーOK?ツーショットOK?」
それぞれがお目当てシャムロックの登場に興奮しながらも、サインや写真を求めた
すると、シャムロックは笑顔でこう言い放った
「ノー!!」
思いっきり言い放たれた「ノー!!」
NOである。
我々は思いっきり断られたのだ。
それでも、「シャムロック!プリーズ!プリーズ!」とみんなで懇願したが、「ノー!!」は変わらなかった。
まだ、無表情でなら「機嫌が悪いのかな」「試合2日前だからナーバスになっているのかな」と思って諦めもつくが、なんだか笑いながらだ。
そして、結局一切対応せずに会場内に消えていった。
我々ファンの間では「なんだよ…」という不満の声が続出。
笑いながら断るというのがまた「バカにされてる」という気がして憤りが増した。

すると、1台のタクシーがやってきた。
そして、1人の男が降りてきた。
ん?
シャムロックだ!!
あれ?
会場内に入ったはずのシャムロックがまたタクシーから降りてきた。
ファンの間に「?」が広がる。

摩訶不思議な現象を理解するのに少し時間がかかったが、次の瞬間…謎が解けた

さっきのシャムロックじゃない!ガイ・メッツァーだ!

こんなことあるだろうか。
別に双子でも兄弟でもない二人を、そこにいた全員が間違えるなんて。
確かにその時の髪形やモミアゲの感じとかが似ていたかもしれないが、顔は大して似てはいない。それを全員が間違えて「シャムロック!シャムロック!」と言うもんだから、メッツァーは笑いながら「ノー!!」と言ったわけだ。
100%我々が悪い。
ガイ・メッツァーは何も悪くない。
むしろ、しつこく人違いされたのにずっと笑顔だったなんて、めちゃくちゃ良い人だ。
一瞬でも「なんだよ…」とムカついた数分前の自分を殴りたくなった。

そして、シャムロックご本人はサインも写真も快く応じてくれた。

とても嬉しかった。

ただ心残りは、ガイ・メッツァーに謝りたかった。

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