【ホゲーッ!昭和プロレス愛宣言】ザ・グレート・カブキ

新連載、政岡泰志の『ホゲーッ!昭和プロレス愛宣言』第1回はザ・グレートカブキさん!

頭の中はいつも昭和プロレスのことでいっぱいです。初めて観た記憶は小学四年生の頃。アンドレの試合にハンセンが乱入したシーン。81年の新日本プロレスMSGタッグリーグ戦くらいからは毎週追っかけるようになっていました。

同時期に開催されていた全日本プロレスの最強タッグも、ブロディとレイスのシングル対決を観た記憶がある。ブロディの必殺技はキングコングニードロップでなくトップロープからの手刀に自分はインパクトを受けました。そして、ハンセンが同年に全日本プロレスに衝撃の移籍!あ、きりがない。

とにかくプロレス大好き少年が生まれて中年になった現在でもプロレスに夢中と、今はプロレスムック本を毎日読み耽っています。法的知識だったら弁護士になれるんじゃないだろうか。日本史や三國志が好きな人のように自分は昭和プロレス研究です。

活字プロレス黄金時代の編集者の方々の筆力そしてプロレス愛は素晴らしく飽きない。ただ、自分でも何してるんだと思う。国際プロレスにロン・バスが来襲してたのかと感心してる場合じゃない。世間は大変だ。でもやめられない。毎月新しいプロレス本出るたびにそわそわしてしまいます。

新日本プロレス時代に限定してのスタン・ハンセンのインタビュー記事なんて心揺さぶられる。ただ、アウトプットしないのです。SNSでも発信しないし、周りに昭和プロレス研究の同志もいない。お芝居に生かせてるかといえば(自分はしがない役者なのです)どうなんだろう。2年くらい前に舞台でブロディの真似をちょこっとしたことはある。

客席は若い女の子ばかりだったのですが笑ってくれました。さすがのインテリジェンスモンスターです。ただ、それくらい。毎晩毎晩眠りに落ちる直前まで過去の試合を脳裡に蘇らせる日々。何故か川田利明選手がよく登場する。

こんな自分が先日あのザ・グレート・カブキさんのお店に行くことになりました。行動的な友人が「そんなにプロレス好きならカブキさんの店行きましょう」とまともで健全な提案をしてくれたのです。はっきり言って戸惑いました。何ていうのかウルトラマン好きな人がいたとして円谷プロ行くか、という話なのです。会いに行けるアイドルがデビューして以来みんな会いに行き過ぎだ!昭和プロレス研究は自分の秘かな趣味にしておきたいのです。

でも、まぁ、行きました。そりゃ、楽しかったです。隣に座ってたやはりプロレスファンの方とお話できましたし。ブッチャーのベストパートナーは誰だろうかみたいな話題が出ました。そのプロレスファンの方はレイ・キャンディだと主張し、自分はキラー・トーア・カマタが好きだったと主張しました。

こんな話が出来るなんて!キラー・トーア・カマタと口に出して言うこと日常生活ではない!酒もご飯も旨かった。そして、そして、そして、カブキさんが隣に座って飲んでくださった!ザ・グレート・カブキさんですよ、プロレススーパースター列伝に登場された方ですよ。

1983年真っ暗になった会場、鳴り響くオリエンタルなテーマ曲、そしてリングに突如光が当たり、カブキさんがそこにいました!今もって憶えているあの雄姿。その方が隣で芋焼酎をすすってらっしゃる。いま思えば緊張して失禁とかすれば微笑ましかったのかなあ。酒も入って調子に乗っていた自分はいろいろ聞いてしまった。ハンセンのこと、ブロディのこと、ブッチャーのこと。ブロディのことをフランクと呼んでらっしゃるのに感動した。

はてはアメリカで大活躍されていたときの行きつけの飲み屋の話まで。一緒に撮っていただいた写真は宝です。遺影にしたいくらい。勿論自分の部分だけですよ。ただ、ただ、ただ、楽しすぎるかなあ。ピークがきたような。もっと、もっと、自分が頑張った時にこんなご褒美を自分にあげたいと思いました。

やはり自分はプロレス本に囲まれてアウトプットせず昭和プロレス研究に埋没して生きていこうかなあ。毎月のプロレス本をありがたく拝読しながら。馬場さんとブッチャーの戦いの歴史とか特集してほしいものです。

意外と見たことないような。ブッチャーだとファンクスだし、馬場さんだとǸWAがらみ、後半はハンセン、そしてやはり猪木さんか。でも、馬場さんとブッチャーは二人リングで対峙するだけで絵になるし、スケールが大きいし、耳そぎチョップとか地獄突きとか繰り出しても陰惨かつコミカルだし。

非常に埋没したい研究対象です。ああ、楽しい。あ、昭和プロレスだけでなく平成プロレスもおそらく次の元号のプロレスも大好きです。技が進化していて追っかけきれないこともある。おそらくは最後の最後までプロレスのことを脳内反芻しているんだろう。さて今日はどの本を読もうか。タイガー戸口さんのインタビューを読もうか。

政岡泰志プロフィール
下北沢を中心に活動し今年で25周年を迎える劇団、動物電気の主宰。
作・演出・俳優を兼ねる。天性の間合いと独特の存在感を持ち、人間の可笑しみと哀しさ、それぞれに行き来自在な心情の機微を絶妙なさじ加減で演じる。
また、舞台の “ ガヤ ” として多数 の役を次々演じわける器用さにも定評がある。
小劇場界きっての昭和プロレスファン。

ブログ:http://taishi-m.jugem.jp/
Twitterアカウント:@ta_masaoka

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