【俺達のプロレス名勝負列伝・第9回】Uの島に皇帝戦士上陸(スーパー・ベイダーVS中野龍雄 1993.5.6UWFインター)

新旧洋邦・数々のプロレス名勝負を独自視点で取り上げていく連載「俺達のプロレス名勝負列伝」。
第9回は1993年5月6日UWFインターナショナル・日本武道館大会で行われたスーパー・ベイダーVS中野龍雄のシングルマッチです。

新日本最強外国人レスラーとして君臨していた”皇帝戦士”ビッグバン・ベイダー選手のUWFインターナショナル初参戦したのがこの中野龍雄選手との一戦でした。ベイダー選手の参戦は当時「ビッグバン・ベイダー」の著作権を持つ新日本との契約期間中での事案だったので訴訟問題にまで発展しましたが、ベイダー選手が「スーパー・ベイダー」という新リングネームを変えることで、この事態を打開します。ベイダー選手の参戦はUWFインターにとって、新日本への挑戦状という意味合いもありました。

UWFインターナショナルは1991年1月に解散した格闘プロレス・第二次UWFが解散して三派に分裂して誕生したU系団体。Uという孤島にガチガチの純プロレスの怪物ベイダー選手が上陸したのは衝撃的事件でした。

ベイダー選手の初陣の相手は週刊プロレスにおいて、この選手がいいという記事での後押しもあった”野武士”中野龍雄選手。小柄で豆タンクのような体格ながらも、突貫ファイトを持ち味にするブルファイターです。

試合はゴングと同時にベイダーアタックで奇襲を仕掛けたベイダー選手は強烈なベイダー・ハンマー(腕パンチ)のラッシュで中野選手を圧倒していきます。途中、キックやスリーパーで反撃するも、ベイダー選手の猛威は止まりません。バックを取っての変型裏投げ、アバランシュ・ホールドといったプロレス技まで炸裂、最後は右のベイダーハンマーでTKO勝ち。UWFスタイルに合わせることなく、その圧倒的強さを見せつけたベイダー選手。やはり怪物は別格でした。Uの島でも皇帝戦士はどこまでも強かったのです。

ベイダー選手はその後、1994年に高田延彦選手を破り、プロレスリング世界ヘビー級王座を獲得し、UWFインターでも頂点を取りました。日本、アメリカ、ヨーロッパ、メキシコのトップ団体の最高峰王座を獲得し、「五大陸の男」と呼ばれたその覇道は、このUWFインター参戦によってさらに加速していったのです。

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