【編集長コラム】「大日本のストロング王者・岡林裕二と全日本の野村直矢」

大日本プロレスのストロングヘビー級王者・岡林裕二は、長期欠場の怪我から復帰して以降、徐々に調子を上げ大暴れ。5・5横浜大会で見事、関本大介からベルトを奪取。完全復活、いや、欠場前よりもさらに強くたくましく、パワーアップしたようだ。

6・12新木場大会で繰り出した「リストクラッチ式アルゼンチンバックブリーカー」には戦慄が走った。リストを締め上げたうえでのバックブリーカーは、頭上で相手の体を揺するたびに、相手の首が締まっていく。上からスリーパーホールドで反撃されることもない。まさに恐怖の拷問技だ。

7・20名古屋大会で、野村卓矢の挑戦を受ける。前哨戦では野村を圧倒しているが、まだ決戦まで時間があるので、手の内を隠しているとしか思えない。アッと驚く秘策や新技投入プランの爆発もありそうで目が離せない。

今回の挑戦者は野村「卓矢」だが、マット界にはもう一人の野村がいる。全日本プロレスの野村「直矢」だ。

誕生日が全く同じ、名前も一文字違いという、不思議な因縁がある2人。所属団体、体の大きさ、ファイトスタイルは違うが、ともに普段は女性ファンを魅了する「かわいい」キャラ。ところが、リング上では二人とも、一変する。粘り強く、激しいファイトを展開し、負けん気の強さも共通している。

先日、岡林と野村直矢が同席した。岡林は先輩風を吹かすでもなく、偉ぶる訳でもなく、丁寧に優しく接し、直矢は直矢で、岡林を立て素直に耳を傾けていた。

先輩として岡林はトレーニング方法のアドバイス、直矢のキャリアに合ったストレッチなど、惜しむことなく助言し、直矢も熱心に質問するなど清々しい空気が流れた。

ゆっくり話をする機会は初めてだという二人。各団体での違いはもちろんあるが、反目するのではなく、学ぶべきところは参考にし、お互い良い形で反映し合えれば、これ以上素晴らしいことはない。

「こういうやり方もある」「こうした方がいいよ」「この場合はどう?」など、大いに飲んで食べて、プロレスの話は尽きなかった。

同席者から「練習にコシティを取り入れたらどうか」との提案も飛び出した。2リットルのペットボトルで代用でき「こんな感じで」と回し方を示された2人は、昭和のトレーニング法を、興味深そうに見ていた。

終始、互いの良いところを認め合う姿勢は、リスペクトが感じられ、変なジェラシーが全く介在していなかった。それは自分のファイトに自信があるからに他ならない。

いつか「二人がストロングヘビー、または三冠をかけて対戦する日が来る」という期待に胸がふくらむ。

来年か、はたまた3年後か。その日は必ず来る。今から楽しみでならない。

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