下田「前回の新木場大会での試合後のやり取りが、今はSNSの時代で安里紗のブログから拝見したんですけど、なんか“下品”とかそのへんのことがわからないんですけど(苦笑)。安里紗とのシングルというのは自分の中でとても特別なものだと思っていたんですが、いざこうやって決まってしまうと、なんでしょう?…“やるしかない”っていうことだけで、私と安里紗にしか見せれない試合っていうのは絶対あると思って。自分の限界まで彼女にそれをぶつけていきたいなと思っています」
中島「今回、下田さんとのシングルが決まりまして本当に嬉しくて、前回の(後楽園)ホールからずっと“ナナエ”って言ってましたけど、こうやって下田美馬が立ちはだかるっていうのは自分がこれからどんどん上がっていく上ですごくおもしろいストーリーだと思いますし、私のためのストーリーだと思うんで。大好きな下田美馬の女子プロレスを全部丸飲みして自分の力にしたいなと思います!」
━━下田に対して、怖さという気持ちは持っている?
中島「怖さっていうのは…なんですかね? 私がこのプロレス人生の中で1番怖かった、つらかった試合っていうのが豊田真奈美選手と組んで、下田美馬選手・堀田祐美子っていうタッグマッチ。ホントにもう試合中に“もう立てない、立ちたくない”って初めて…唯一ですかね。思った試合で。その時の怖さっていうのはもちろん忘れてはないですけど、今の自分が下田美馬に負けるか? っていったら私は“勝てる”と思ってるので。きっちり勝ちにいきます」
━━その試合を覚えている?
下田「ごめんなさい、ハッキリ言って覚えてないです(笑)」
中島「信じらんない!! 信じらんないです、下田さん(笑)」
下田「でも私は今、安里紗のことをとても怖いと思ってます、事実。私に勝つという安里紗、“安里紗に負けたくない”という私がいて。勝敗でいってしまえば勝つか負けるかしかないと思うんですけど、私は彼女に“勝ちたい”っていうより“負けたくない”。なぜかというとこの子が13年前、AtoZって団体に入って来た時に、その怖い試合を私が体験させたっていう責任があるので負けることもできないし、ただ“勝つ”ことより“負けたくない”です。それが試合の内容、動き、すべてに対して彼女に勝つのではなく、私は負けません。その意地を彼女にぶつけたいなと思ってます」
中島「私は勝ちます!」
下田「私は負けません! あと“下品”といった意味を私はわからないんですけど、どうなんでしょう?(苦笑)」
中島「私じゃないですよ!? ナナエが言ったんですよ。ナナエが“最上級の下品”だと…」
下田「私はそれがとても素晴らしい褒め言葉なのかちょっとわからないんですけど、安里紗の場合はその要素があると思うんですね」
中島「いやいや」
下田「でも誰も、私も下品だと思ってない」
奈七永「最上級の下品です」
下田「やっぱこれは褒められてると認識した上で、安里紗にひとこと言いたいのは私に勝つことはできるかもしれない。でも私を超えることができるのか?…っていうことが。ただ単にシングルマッチが決まって、私の中ではとてもスペシャルなカードっていうのを、私がもし最期をまた迎えるとしたら“最期は安里紗かな?”って思ってる気持ちもありました。でもこれが実現してしまうとなると“負けたくない”ってまだ意地が出てくるぶん、安里紗には“私を超えられるのか?”っていう。もう意地でやってますから、私。ただ、みっともない下品さは見せません。“安里紗に負けなくない下品さ”っていうのはありますね、心の中に。“勝ってやる”っていうことは言えません。そこの人間力の闘いでもあると思う。だってこの子が(AtoZに)飛び込んできた時に私と堀田祐美子がいたっていうところでは責任もあるし、彼女をうらやましいと思う。前向きに真っすぐプロレスだけを考えられる環境にいて、私を超えたからってどうなるもんでもないと思う。ただ、いろんなチャンス…私を踏み台にして奈七永に挑みたいとか、そういう未来があるじゃないですか。そこが私との違いで、私は彼女の踏み台になるつもりもないし“負けません”…っていうことは、それを皆さんに感じ取ってほしいなって思います」
中島「勝ちます! 超えます!」
━━以前から下田との対戦を希望していた理由は?
中島「憧れっていうのももちろんありますし、AtoZにいた堀田祐美子、阿部幸江、華名(現ASUKA)…すべてさんざん闘ってきて全部勝ってるんで。唯一、13年間シングルを1度もしてない下田美馬。きっちり勝ちたいです。私の好きな女子プロレスって本当に下田美馬なんですよ。なので、それに勝つことですべて私のものにしたいなと思います。やっぱり私はラスカチョさん(ラス・カチョーラス・オリエンタレス/下田美馬&三田英津子)が大好きで、もちろんピンクの下田さんが大好きで…。消火器使ったりとか破天荒でそういうところがすごい好きで、ハスキーボイスにも憧れます。この試合に女子プロレスのすべてが詰まってると私は思ってるので。今のプロレスには負けない“私の大好きな女子プロレス”をきっちりやりあげたいなと思います」
下田「私は中島安里紗という選手が…いま自分のことを言われたからではなくて、理想の選手だと。私が“もし、もっと若かったらこういう動きをしたいな”って思う選手で、私の中ではとてもやりやすいぶん、リスクも大きいと思うんですね。負けたくない、もっと上に行くっていう…2人にしかできない試合、それが安里紗の言う女子プロレスという試合というのならば、そうなんだろうけど。今現在の下田美馬と今現在の中島安里紗の試合は最高級な、最上級な試合になるっていう自信があります。頑張ります」
━━シングルのベルトを巻いている彩羽について。
中島「ベルトが似合ってないかなっていう…カッコ良さ、強さ、全部が上辺っていうか。だからあのベルトを持って今、重くて重くて大変だと思うんでね。“もうちょっと頑張って”って感じですけど」
━━今後、シードリングとどのように関わっていきたい?
下田「しばらくメキシコに戻ってて、日本に帰ってきた時に上がったリングがシードリング。声をかけて頂いて…ここってキャリアがあるからこそ自分が埋もれないようにしなければいけない気持ちがとても強くて。どこの団体に上がってる時も責任感を持ってやってるのは変わらないんですけど、若い選手が多い中で自分がそこに埋もれたくない。声をかけて頂くことにとても感謝をしながら、自分というものを出さなければいけないと思ってて。とても刺激のある団体でやりがいを感じてるので、自分なりに上がり続けたいなという気持ちはあります」