【編集長コラム】「石川修司が初の海外遠征で覚醒」
全日本プロレスの世界タッグ王者・石川修司は文字通りの「大巨人」。195センチ、130キロの巨体をフル稼働させ、スピード感みなぎるファイトで、ファンの声援を集めている。「進撃の大巨人」の異名もぴったり。
今年1月2日には、全日本プロレス入りし、いよいよ「世界の大巨人」の呼び声も高まっているが、実はレスラー人生16年にして「海外遠征」の経験がなかったという。
海外マット界から招聘の話をもらっても、卒業旅行のトラウマがよみがえり、二の足を踏んでいたのだ。
まずは、アメリカの両替所で、石川の発音が素晴らしすぎたせいか、担当者に首を傾げられてしまった。「変な顔をされた。両替なんて、決まったことしか言わないのに」と、今でもその時の情景がはっきりと浮かんでくる。
そして、レストランで気持ちよく食事を済ませた時のこと。美味しく、サービスも良く、チップをはずんだのに、ウエイターが急に不機嫌になった。「十分な額だと思ったんですが、なんだったのか? 事の真相は20年以上、経った今でもわからない」と、頭をひねる。
「海外」と聞くと、二つの思い出がついて回り、腰がひけてしまう。その後、サイパンや韓国などに観光旅行に出かけたことはあるものの「仕事で海外」は「大巨人のタブー」になっていたのだ。
とはいえ「世界の大巨人」の爆裂ファイトは、世界中のプロレスファンに轟いており、7月5日から9日まで、3泊5日の弾丸ツアーで初の海外遠征が実現した。
イギリスはレッスルゲートプロの招聘で7・6ノッティンガム・ラッシュクリフアリーナ大会に参戦した。トーナメントに出場し2試合を戦い抜いた。優勝こそ逃したものの「全く知らない選手との対戦には、刺激された。海外のファンも、今はネットで日本のプロレスも僕のこともわかってくれている。気持ちよく戦えた」と、破顔一笑だ。
会場外でも「イギリスの人たちはマナーも良く、僕は後ろに座っていただけだけど、ドライブしていても、最高に楽しめた」と、海外ライフのイメージも一変したという。
今回のイギリスツアーをきっかけに「声をかけてもらえたら、積極的に出かけたい」と、海外進出にすっかり前向きになった石川。「進撃の大巨人」が「世界の大巨人」を目指して、大きな一歩を踏み出した。