宮澤聡のサイン収集列伝 8枚目

「一人サインしちゃうと全員にしなきゃいけないからさ、ごめんね」

こう言われてしまうと、こちらファン側は、スッと諦めがつくものです。
急いでいるのだろうし、それはサインを断る理由としてはとても正当な理由です。
もしもそれがサインをするのが億劫なのだとしても、それは大人数サインをする方の身になってみれば、それでも断る理由としては充分なのです。

ただ、そういったいつでも、どこでも、いくらでもサインを書いてくれる選手の「逆」。
なかなかタイミングが難しい選手にサインをもらえた時の喜びは実に大きなものになります。

そういった選手の一人に三沢光晴さんがいます。
決して、三沢さんはファンサービスが悪い選手だったわけではありませんし、普通に「サインもらったことあるよ!」という方もたくさんいるとは思います。
ただ、やはり都内の会場の会場入りの際など、ファンが大勢いる時はだいたいは「一人にサインしちゃうと・・・」と断っていたと私は記憶しています。
私は、全日本から離脱する一年位前あたりからサイン収集を始めましたが、なかなかサインをもらえずにいました。

何回か、別の選手が会場入りして大勢のファンがそちらに行っている最中に三沢さんが来て、タイミング良く気づいた3~4人だけもらえた、みたいなことはありました。
しかし、やはり大人数が一気に群がってサインを求めるパターンだとなかなか難しいものがありました。

しかし、一度だけそんな状況の中でサインをもらえたことがありました。
2008年12月。
都内の会場外には大勢のファンが出待ちをしていました。
ざっと100人近くいたように記憶しています。
私は「この人数では無理だな」と今までの経験上、思っていました。
なので、選手が出てくる場所から少し離れた場所から遠巻きに見ていました。
すると三沢さんが出てきました。
一斉にファンが群がります。
やはり三沢さんは手を横に振りながらサインを断って一歩一歩、歩を進めます。
すると、三沢さんがどんどん私が立っている方向に向かってきます。
なんだ?
と思いながら、ふと私が立っている横を見ると、一台の車が停まっていました。
あ!これ、三沢さんの車か!
と思った時には三沢さんはすぐ近くまで来ていて、私は反射的に一枚の三沢さんのカードを差し出してみました。
すると、運転席のドアを開けながら「一人にサインしちゃうと・・・」と言いながらサインを書いてくれたのです。
「一人にサインしちゃうと・・・」とは言うものの、あとはドアを閉めて発車するだけなので、「こいつだけは書いてやるか」と思ってくれたのかどうかは分かりませんが、奇跡的にその場にいた大勢の中で私だけ書いてくれたのです。
なんだか、周りのファンからの視線は怖かったので(笑)、そそくさとその場を後にしましたが、誰も見てない場所で大きなガッツポーズをしました。

それから半年後、三沢さんはこの世を去りました。
あの時、一瞬のタイミングで私にだけにサインを書いてくれた三沢さん、本当にありがとうございました。

あの時に書いていただいたサインカードは一生の宝物です。

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そして、その一瞬は一生の思い出です。

ありがとうございました!!

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