【編集長コラム】「暴走大巨人 諏訪魔、石川修司組が無敵の快進撃」
日本マット界の一年を締めくくる暮れの風物詩、全日本プロレス「2019世界最強タッグリーグ戦」を、諏訪魔、石川修司の「暴走大巨人」が制した。チーム結成3年にして2度目の制覇。プロレス大賞の「最優秀タッグ賞」も3年連続で受賞した。
「タッグ屋」と呼ばれるようなタッグチームが少なくなった昨今のプロレス界で、有無を言わせぬ存在感を示している。今年の最強タッグ戦でも、まさに暴走する大型チームぶりを存分に発揮していた。
12・9後楽園ホール大会の最終戦でも、公式戦でTAJIRI、KAIの曲者コンビを退け、勢いに乗るジェイク・リー、野村直矢組との優勝決定戦に臨んだ。
時代の追い風に背中を押されたジェイクと野村の猛攻をはね返し、パワーみなぎる攻めで圧勝。30歳のジェイク、26歳の野村を上回るスタミナは、まさに「今が全盛期」のド迫力だった。
リングを離れた二人は、頼れる兄・石川がヤンチャな弟・諏訪魔を、優しく大きく包んでいる。石川は「最高のパートナーであり、良きライバル」と冷静。諏訪魔は「組んでいて楽しい」と底抜けの笑顔を浮かべる。
昨年のお正月、石川が全日本プロレスに入団した時、一番嬉しそうだったのは諏訪魔だった。
コンビ結成当初はお互い、様子見だったが、組む度に、徐々に信頼関係が構築されていった。いまだ成長し続けるタッグチーム。暴走大巨人というネーミングも、そのまんまだが秀逸だ。
大きくて強い。わかりやすく「これぞプロレスラー」という名タッグチーム。2020年はジェイク、野村らがますます力をつけてくるはず。新春1・2後楽園決戦で世界タッグ王者・ゼウス、崔領二組に挑戦する二人。ベルト奪回はもちろん、タッグ抗争での大活躍は間違いない。
シングル戦線でも諏訪魔、石川の活躍が楽しみになってくる。30歳の3冠王者・宮原健斗には、1・3後楽園決戦でジェイクが挑戦するが、二人の出番が待ちきれない。暴走大巨人の個々の力を証明してほしい。
日本プロレス界は若き王者が台頭し、世代交代のうねりが押し寄せている。オーバー40の暴走大巨人のコンディションの良さは、他団体の「旧世代」選手たちを、大いに勇気づけたはず。
暴走大巨人の2020年の大暴れに、いよいよ期待が膨らむ。
(写真提供:伊藤ミチタカ氏)