【プロレスのある風景 Vol.56|榎本タイキ】
闘魂三銃士プロレス&四天王プロレス&ノアプロレス
11年ぶりとなる2.12ノア日本武道館を観戦してきました。かつてノアが武道館大会の常連だった頃、僕も九段下の坂道をのぼってほぼほぼ生観戦してました。
新日本プロレスや3月にビッグマッチを控えているスターダムなど武道館でプロレスをやる団体も出てきました。でもやっぱりノアの帰還はその意味合いがすごく大きいです。
大人数の収容規模がある会場にも関わらず、しっかりリングを自分の眼で認識できる武道館は改めて素晴らしいと感じました。このビッグマッチのメインを締めたのはGHCヘビー級王者・潮崎豪選手vs武藤敬司選手のタイトルマッチ。
2020年から始まったコロナ禍で多くのエンタメ産業が苦境に陥った中、無観客試合も含めて重厚なタイトルマッチを連発してノアを牽引してきた潮崎選手。正直10中9は潮崎選手が勝つと思ってました。ただ最後の1の部分で獲る爆発力を持つのが武藤選手。
この試合で見せた武藤選手の肉体パフォーマンスは本当にすごかった。とくにハラハラしたのがシュミット式バックブリーカーを決めてコーナーに登り始めたときです。
ヒザに人工関節手術を施した武藤選手がムーンサルト・プレスを狙おうとした瞬間、不思議ですが闘魂三銃士ではなく四天王プロレスを感じさせられました。この一戦にはまさに三銃士プロレス、四天王プロレス、そしてノアプロレス、メジャー団体のエッセンスがしっかり詰まった闘いでした。
潮崎選手の猛ラッシュを耐え抜き、武藤選手が電光石火のフランケンシュタイナーを決めて3カウントを取った瞬間、大声を出せない観客にどよめきが生まれました。これぞ武藤選手の必勝パターンであり真骨頂。
史上3人目となる新日本・全日本・ノアのメジャー3団体ヘビー級ベルト制覇。58歳の天才の「夢を叶える力」が本当に素晴らしかったです。
そして命がけで方舟の先頭に立ち牽引してきた潮崎選手も文句なしに最高でした。