【AEW女子世界王者・志田光に直撃インタビュー】日米同時トーナメント開催、世界王者になって見えた景色とは?
AEW女子世界王者の志田光は、自身の持つベルトへの挑戦者を決める『AEW女子世界王座次期挑戦者決定トーナメントside Japan』の運営を任され凱旋帰国した。
志田は2019年の4月にAEWと契約を結び、MAKAIとの2団体所属となり、2019年10月には自主興行で日本でのレスラー生活に一旦の区切りをつけアメリカに移住。
2020年5月にPPV「Double or Nothing」にて前王者のナイラ・ローズに勝利し第3代のAEW女子世界王者となった。以来、防衛を続け現在もチャンピオンとして君臨をしている。
©AEW
そして、AEWの表彰祭典である2020年AEW AwardsでBREAKOUT STAR女性部門で最優秀賞を受賞と輝かしい成績を残している。
今回行われた日本トーナメントでは水波綾が優勝してside Japanの代表となり、アメリカで行われるトーナメントSide USA優勝者との次期挑戦者決定戦への切符を掴んだが、大会を終えた志田に直撃インタビューを行った。
※トーナメントの解説を行った志田
■日本代表トーナメントを振り返って
ーー今回のAEW女子世界王座次期挑戦者決定トーナメントside Japanは、水波綾(りょう)選手が優勝しましたが、振り返ってみていかがですか。
志田 試合的には本当に全試合が素晴らしくて、日本の女子プロレスの良さを前面に出せたんじゃないかなと思いますね。
ーー特に決勝の坂崎ユカ選手と水波綾選手の試合は激しかったです。
志田 熱かったですね!感情もすごく2人ともAEWに対して特別な思いがある選手なので、何かそのぶつかり合いがすごく目に見えましたね。
ーー今回のトーナメントでもう一つ感じた見どころとして普段、顔合わせが実現不可能なマッチメイクっていうのが見れて、日本の女子のすごく輝いてる選手たちがAEWのリングに上がってきてくれたことについてはどう思われますか。
志田 人選でもある程度意見も聞いてくださってて。やっぱりAEWって自由な団体っていう、選手のための団体っていうコンセプトがある通り、本当に自由なので、できるだけいろんなところから、しっかりとこの目で見ていい選手だなと思う選手を集めることができたので、そこは本当に私自身も自信を持ってアメリカに日本の代表する選手たちだよってお届けできますね。
ーー今回のトーナメントに参加した選手たちはすぐにでも志田選手のベルトに挑戦してもいいぐらいのメンバーが揃ってたように思います。
志田 はい。本当にそう思います。
ーーそして最終的に勝ち上がった水波選手は本当に熱く、ボルテージがマックスになるような試合を見せてくれて、『打倒志田』を叫んでいましたが。
志田 私、日本にいた頃、水波さんと本当に何度も試合をしていて、毎回とんでもなく激しくて、とんでもないダメージの試合になるんです。それがまずはアメリカトーナメントの代表とやってからですけど、その熱い、それこそハードヒットの日本スタイルで水波さんがアメリカの代表に勝って、日本人同士でタイトルマッチができるっていうのは本当に日本の女子プロレスを世界にアピールする絶好の機会だと思うので、ぜひ来てほしいですね。
■アメリカでの挑戦者決定トーナメントについて
ーー決勝を見ていてもすごく熱くなりました。一方のアメリカトーナメントでについても感想をお願いします。
志田 アメリカも本当に激戦で、もちろん里歩選手もいますし、ナイラ・ローズとサンダー・ロサの2人は、両者ともタイトルマッチしましたけど、あの2人はズバ抜けてとんでもなく強いです。なのでどっちが来ても水波さんとやってどうそうなるんだろうって…ちょっと勝敗予想できないですね。
ーーちなみに日本人でありながら、里歩選手がアメリカトーナメントにエントリーしていますが、理由などあればお聞かせください。
志田 やっぱり里歩選手は初代AEW女子王者っていうのがありますし、どこもコロナの影響で、ちょっと何か皆さん気分が下がり気味っていうのもある中で、その一つアメリカのファンの皆さんの気持ちもちょっと驚かせて、トーナメントに向けて明るくするようなニュースにもなるんじゃないかと思います。
■AEW第3代の女子チャンピオンとなって見えた景色とは?
ーープロレスの本場アメリカでAEW第3代の女子チャンピオンになって見えた景色はありましたか?
志田 そうですね、本当に大変(苦笑)。ただやっぱりいろんな方がこの時期にチャンピオンになって「可哀想だね」、「不運だね」とか言う方もいるかもしれないんですけど、私としては本当にありがたい。この時期だからこそチャンピオンになれてよかったなってすごく思うところもあって。というのは本当になんかチャンピオンとして何ができるかなってずっと考えてる中で、やっぱりこうして一つトーナメントという形ができたんで。この日米同時開催っていうのも、コロナの時期だからこそできたものだし、自分がやっぱり日本で自主興行をしてきたものが結果として日本の運営を任せてもらえて、色々と手配してっていうのに繋がったので。本当にこの時期にチャンピオンになれて、いろいろ踏ん張って、もちろん大変なこともありましたけど、その踏ん張ってやることで人としてすごく強くなれたんじゃないかなと思います。ベルトによって、この状況によって、すごく成長させてもらえたなと思いますね。
ーー渡米前のインタビューでも『世界チャンピオンになるために行ってきます!』って言っていましたが、その夢がかなった感じですね。
志田 そうですね。もうちょっと時間がかかるかなと思ったんですけど。それでもなんかやっぱりチャンピオンになって一個ゴールにたどり着いて、夢が叶って、やった!って思う間もなくチャンピオンとして次どうしていこうっていう、常に前向きにいれたので、なんかそれも一つ自分の成長できてるところなのかなと思うんです。
ーー志田選手のいいところは常に自分で課題を見つけるところだと思うんです。成長のステップを見つけるところがすごいと思います。
志田 そうかもしれないです。なんか自分に満足したことないかもしれないですね。
■日本での久々の試合
ーーそういう部分ではどんどん成長しているし、今日久しぶりに見た志田光の試合はやっぱり面白かった。
志田 良かったです!
ーー今日の対戦カード(志田光&門倉凛&駿河メイvsさくらえみ&VENY(朱崇花)&伊藤麻希)も良かったと思いますけども、志田選手が入場した際は日本の女子プロレスのスターが帰ってきたなっていう感じで、より一層輝きが増していました。
志田 トーナメントで本当に素晴らしい試合をしたメンバーなので、この中にチャンピオンとして入って、ちょっと威厳を示さなきゃなっていう気持ちはすごくありました。
※スペシャル6人タッグマッチはAEW公式YouTubeチャンネルにて配信
ーーただ、対戦相手はみんな志田選手狙いじゃないですか。AEWのチャンピオンなので日本の女子選手の目の色が志田光に対して変わってると思います。
志田 でも嬉しいですね、そうやって活性化されていけば。頑張って結果を残せば世界に行けるっていうのをもっと皆さんに意識してもらえたら嬉しいなと思います。遠い世界っていうわけじゃなくて、今回のトーナメントもそうですし、日本の女子プロレスの中でもっと頑張って、もっと積み上げたら届くんだよっていうのを意識してほしいですね。
■AEWの現状
ーー今はAEWでもお客さんをあまり入れられていないという状況があると思いますが、どういう感じでやられているんですか。
志田 会場は5,000人が入れるところに1,000人ぐらいなので5分の1ですね。ただ会場が外なのでだからこそ入れられる感じで、これが室内だと入れられないです。それでも選手、関係者は全員会場に入る前にテストを受けて陰性の人しか入れない、陽性だったらすぐに帰されるみたいな感じです。
ーーその辺はやはり徹底管理しながら運営されているんですね。
志田 やっぱり1人がかかってしまうと全員に影響してしまいますし、会場にいないときは極力、人が集まるところには行かないようにしています。
ーーそこはやはりプロフェッショナルというか、チャンピオンという団体の顔というのもありますもんね。
志田 それはすごくあります。
■コロナ禍での生活
ーーちなみにこのコロナ禍の中でアメリカにいるときはほぼ自宅で過ごされているんですか?
志田 はい、ずっとゲームしてます(笑)やっぱりジムとかも閉まってたり、感染対策が十分じゃなかったりするので、トレーニング自体も自分で試行錯誤しながら何とか工夫して家でやったりとかですね。
ーーそんな巣ごもりの中でも自分自身を高める工夫とかコツみたいなものはありますか?
志田 本当に時間があるので常に考えてます試合のこととか、自分が今度こういう動きをしてみようかなとか。ソファに座ってるときも考えてるし、逆に何か自分のプロレスと向き合える時間がすごく増えたので、こういう状況になって、こういう時間がもっと必要だったんだって感じました。
ーープロレスに対しての考え方に改めて向き合えたと
志田 特にもう今は、ガッツリ練習しなきゃっていうキャリアでもないし、自分のケガとか年齢とかと向き合いつつ、うまくやっていく時期なので。やっぱりそういうリングにいないときの考え方がすごく大事なのかなって思ってますね。
ーーでもある意味それをうまく自分の中で消化できてるということなんですね。
志田 そうですね。本当にゆっくり考える時間があるので。
■最後にファンにメッセージ
ーーそれでは最後に日本のファンに向けてメッセージをお願いします。
志田 こういう大変な状況ではありますけど、なんか気持ちが落ちたりとか、やっぱり皆さんあると思うんです。そういう状況でも、少しでも明るい話題を届けたりとか、今日も頑張ろうって思ってもらえるようにするのが我々の仕事だと思うので。本当に私が今できることはAEWの中で1回でも多くベルトを防衛してトップに立ちつつ、日本にも明るいニュースを伝えていくことだと思うので、これからもチャンピオンとして日本とアメリカの架け橋になりたいと思います。
ーー本日はありがとうございました。応援してます。
志田 ありがとうございます!
志田 光 HIKARU SHIDA
公式Twitter
https://twitter.com/shidahikaru
公式Instagram
https://www.instagram.com/shidahikaru/
<インタビュアー:プロレスTODAY総監督 山口義徳>