年内で退団発表の高橋奈七永「信じてるからやめる。グレート・リセット」SEAdLINNNG~2021年最終戦~に向けて②

12月に年内をもって自身が代表をつとめるSEAdLINNNGからの退団を発表した高橋奈七永。29日のSEAdLINNNG~2021年最終戦~後楽園ホール大会では松本浩代と共に保持するBEYOND THE SEA Tag Championshipの防衛戦を控えている。

プロレスTODAYではこのタッグタイトル防衛戦への意気込みと退団を迎えるにあたっての心境についてのインタビューを実施した。

――(退団に関して)ご本人が本当に悩んで決断されたことなんで、私達も大応援してしたいなっていうのがまず最初に伝えたいメッセージです。

高橋奈七永(以下、奈七永) ありがとうございます。

――病気についての話は奈七永さんが発言されてから、周りからはどういう反応がありました?

奈七永 反応がすごかったんですけど。応援するよっていうのが殆どでしたね。

――そういう風に言ってもらえて嬉しいですね。

奈七永 嬉しいし鬱のことも「言いたいな」っていうのはずっと思ってて。タイミングが難しかったし、それは発言できないという…プロレスラーだし、特にパッションとかですね…

――元気が売りのレスラーですから。

奈七永 そんな人が言っちゃって、逆になんか悪いイメージを持たれたら嫌だなという部分もあるし、でもなんかそれに対して嘘の自分を出してるような感じにもなっちゃったりとかしたんですけど。でもまず、こういう病気も身近にあるんだってことを伝えたかったし。私も自分がなって初めて知ったことはたくさんあるので、それを自分の何か一部として言えたことですごくスッキリしました。

――心が軽くなったと。

奈七永 はい。

――芸能人でもいっとき休んでから復活されてるっていう例もありますし、本当に身近な病気なんだと思います。

【代表としての葛藤とグレートリセット】

――ご自身が立ち上げた団体であり代表である奈七永選手が退団を決意するまでの葛藤はすごく大きかったと思います。

奈七永 本当に何年も悩んでたし、あとはコロナになったことで状況はいろいろ変わっていったこともうありましたね。

――本当にどんどん時間は経過していくので、進むも勇気、止まるも勇気みたいなところが奈七永選手の中で長い間そういう時間がかかったと言う事ですね。

奈七永 そうですね。

―そういう悩み事なんかが心理的な負担になってきたと。

奈七永 なんかどうにかこのままこのままっていうか、自分の状態のままなんというか方法があるんじゃないかと本当にいろいろ模索したり、何でも何かの治りそうなことなら何でもやった。その中で葛藤もあって、自分が辞めたら、みんな裏切るじゃないけども、…難しかったんですよ。

――よくわかります。会社経営していると色んな問題や壁にぶち当たります。だけどそういう時にはあらゆる側面を見直し、刷新することですね。

奈七永 “グレート・リセット”ですね。

――“グレート・リセット”いい言葉ですね。今回は退団という形となりましたが、そういう決断ができた奈七永選手自身を褒めるべきだと僕は思います。

奈七永 ありがとうございます。

――経営者として選手として皆を引っ張っていく部分での葛藤、全女イズムの継承者である奈七永選手は強いレスラーの代表格で、その強さと病気のイメージの衝撃が大きかったというところだと思いますけど、でもよく決断されて公表されました。

奈七永 やっぱり私はそれもレスラーだからできたことだと思うので、受け止める力、それはプロレスに私はすごく教えてもらったし。中島(安里紗)にもさんざん「負けたとこからプロレスラーは始まるんだから、負ける姿もどんどん見せてけ、さらけ出せ」と言ってて自分が本当のところまでさらけ出せなかったから。今なら中島にもっと「さらけ出せ」と言えると思います。

――ある意味そういう人間力という部分では逆に幅の広さにも繋がってくると思います。

奈七永 そうなんですよ。悩んだりしないと何の学びにもならないし、そういう人のつらさとかがわかるから、強くありたいっていうのを目指すこともできる。「人間としてはみんなと同じなんだよ」って、もうプロレスラーだろうが普通は何の隔たりもなくて、みんな同じように頑張って悩んでて、みたいなものを自分が代弁者として、やっていけたらいいなっていう思いもあって。

――例えば同じような心の病を抱えてる人に頑張っていくという姿をリング以外の場所で講演してもいいんじゃないかなと思います。

奈七永 そうですね。

――悩んで決断して新たな人生のスタートを切る。

奈七永 まさにグレートリセット(笑)。

――タッグ王座戦について。今回所属最後ということで「所属最後だからといって負けて終わるのは嫌だ」と発言されていますが、これからも松本選手とタッグを組みながら、王者ロードを歩んでいきたいと?

奈七永 やっと松本と何か近づいた感じもしているので、そういう人とまだ隣に立っていたいなって思うし、もっと(防衛)回数重ねていければ、もっともっと息もあってくると思うし。お互いに豪快なレスラーだと思うんですよ。そういう、現代に少なくなってる女子プロレスの豪快さっていうものを知ることも、むしろ私がSEAdLINNNGを出ることによって、どこにでも届けられると思うので。団体関係なく、進めていったらもっと面白いと思うので。

【タッグパートナーと対戦相手について】

――松本選手とはいがみ合った時期もありましたけれども、実際組んでみると、心強いパートナーですか?

奈七永 めちゃくちゃ心強い。

――任せられる?

奈七永 はい。いがみ合ったきっかけが基本にあるので。遠慮もしてないし、言いたいことはちゃんと言ってくるっていうところ。だから信用できる。レスラーとしてもちろん任せるところは任せられるし、助けに来てくれるところをうまく助けに来てくれるし。そこは会話をしなくても、阿吽の呼吸で。

――戦ってきた長年の信頼関係みたいなものがパートナーシップにも生きてる感じですか?

奈七永 めちゃくちゃ生きてますね。

――挑戦者チームの真琴&朱崇花選手も息ぴったりだと思いますが、迎え撃つこの挑戦者チームに対してはどうですか?

奈七永 元々、私と松本は朱崇花と真琴からベルトを獲ってるんですよね。

――はい。

奈七永 その試合もなかなか手強かったんです。やっぱ近づいてくると、結構あの時手強かったかったなと思い出したんですけど、でも私にはきっと会場中のお客さんが私に味方してくれるでしょうと(笑)

――間違いないでしょう!

奈七永 後楽園は声は出せないんですけど「奈七永!」っていう思いはビシバシしっかり届いてくると思うので、それが何よりの力だなと思います。

――声はみんな出せないと思いますけど、手拍子等でみんな高橋奈七永選手を応援し続けると思います。

奈七永 嬉しいでですね。

――そしてSEAdLINNNGに残る選手へのメッセージみたいなものは各々に個別にお話されてるかもしれませんが、公の場でメッセージを残すっていう意味ではどのような言葉が出てきますでしょうか?

奈七永 「格好いいことを言えよっ」て自分で思う分、恥ずかしいし(笑) まだ別に死ぬわけでもないですと思ってて。でもSEAdLINNNG、選手は私1人で始めたから、もちろん人数が何十人とか増えた方が団体としていいけど最初1人だったんだから、まだ何人かいるから大丈夫だよって思うんですよ。私ができたことはみんなにも絶対できるから、やればできるから。信じてるからやめるっていう選択もできた部分もあると思うんですけど。何くそでも何でもどんな気持ちでもいいから来年からのSEAdLINNNGはみんなのものだし、輝かせていって欲しいなと思います。

――中島選手にインタビューしたときに、奈七永選手の話を振ったら、涙ぐまれる場面もあって、まだまだ伝えたい事を各選手も奈七永選手に伝えきれてない部分もあるし、奈七永選手自身も各選手にまだお話されてない部分もあると思うので。ただ、まだまだこれからも戦いは続きますし一緒のリングで戦うこともあると思いますけども、一旦ここでグレート・リセットという形で、引き続き2022年もいろいろやっていって欲しいと思ってます。ただあくまでも無理はせずに。必要なときにご協力出来る事があればファンの皆さんや私達がいますのでいつでもお声掛けください。

奈七永 ありがとうございます。心強いです。

<インタビュアー:プロレスTODAY総監督 山口義徳>

 

参考:【SEAdLINNNG】高橋奈七永が所属ラストマッチに向けてメッセージ!<記者会見>「12.29後楽園~年内最終戦~」

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