「もっとリングは広いんですよ」フリーランスサミット『NOMADS’』夏すみれ、雪妃真矢、高瀬みゆき、山下りなが目指す大会とは?

⑤フリー選手に対してメッセージ

――団体に守られていないフリーとしてのセイフティーネットというか、新たな大会を開催するというところでは、フリー選手の今後の夢というか希望につながっていく第一歩になるのかなと思いました。フリー選手でも勇気を与えられるようなイベントとしてやっていかれると思いますが、いまのフリー選手に対して何かメッセージはありますか。

山下:メッセージですか?

――現在フリーランスの、ここにまだ参戦されない選手に対するメッセージです。

:いちばん難しいのきたな(笑)

――(笑)

山下:難しいお題が、いちばんヤバいところ(自分)にね(笑)

――現在フリー選手として一番試合数が多くて、男女問わず体を張った試合を行う山下選手だからこそ、「NOMADS’」を開催するにあたってフリー選手に対するメッセージをお願いします。

山下:何かやるときに、自分でやらなくちゃいけないというか、自分でやっていいんだというふうに、物事をいろんな角度から見てほしいなと思います。何かをやるときに、やらなくちゃいけないのか、ではなくて、やっていいんだと。え、何言ってるの、私?

高瀬:とてもいいと思います。

――こういう大会って勇気ある第一歩としてやられるところがあるんじゃないかと思ったんですよね。

山下:制限は特にないですし、フリーランス同士にしたら。お客さんにも選手の違う面をもし見せられたら見せてほしいし、自分も違う一面やスイッチを見つけるきっかけになってほしいですね。「こんなことやっていいんだ」という感じで。もっとリングは広いんですよっていう。

――名言!ちょっと、いまのめちゃくちゃいいと思います。(拍手)

全員:素敵!

山下:ありがとうございます。

――「もっとリングは広いんだ」

山下:私もうこれで終わりましたね(笑)本日終了で~す。

――いい言葉、出しましたね。

:いやあ、成功者だからこそ言えるよなあ、素敵。

山下:いやいやいや。

――本当にいい言葉ですね。海外でもデスマッチもやっている山下選手だから出る言葉かも知れないですね。

山下:そうですね。第1試合から後楽園のメインでやるような道具を出されたりとかもしたので、「こんなことやっていいんだ」という気づきが、海外は1回しか行っていないんですけど、その1回はすごく大きいです。それは「1回しか行っていない」と思うか「1回行ったことで大きく変わった」と思うかは、これからの私の活動次第だし考え方次第だと思うから、そういうことを少しずつ言葉を整えながら発信できたらなと思っています。

――お酒飲みながらね。

山下:お酒、そう(笑)

――いいセリフをありがとうございます。高瀬選手はどうですか?

高瀬:いや、でも私はまだフリーになって2、3ヶ月…

:一緒に切磋琢磨していく、これからの同志でありライバルであり、みたいなところじゃない?

高瀬:というのはあまり思ったことがないんですけど。

――(笑)ないんかい!っていう。

高瀬:だってフリー、自由じゃないですか。わざわざ周りと競いあう必要はないのかなと思っていて。でも、自由だからこそ目指すものがよくわからなくなったりとか、自分のことを必要としてくれるところに呼ばれるわけで、フリーの選手というのは。その求められているものをこなしていくうちに自分のことがわからなくなったり、フリーになってからのいい部分と、逆に悩みになった部分というものを抱えている人が多いのかなということを感じていて。フリーの仲のいい人たちの話を聞きながら感じていたので。そういう意味ではこういう大会、フリーランスが主役となれる、フリーランスによる興行という、一つものがあることで、その人たちも一つ目指すものであったり、「こういうことをしたかったんだよな」「自分はあれをやりたかったんだよな」って思い出すきっかけになってもらったらいいなと、いま私の立場からは思っていますね。この先自分がどういう思いになるのかはまだわからないですが。

――誰か悩んでいるフリー選手たちがいたら、前にインタビューで教えてもらったあれを言ってあげればいいんじゃないですか。

高瀬:「落ち込むのは5秒まで」。5秒以上落ち込んだら意味がないなと。

3人:すげー。

高瀬:決めれば意外とできるので。

――先日プロレスTODAYのインタビューで伺ったとき本当にびっくりして。超メンタル強いんだなと思いました。

高瀬:違う、違う、「メンタル強い」じゃなくて「決めている」

――決めているんですね。

高瀬:決めているだけ。

――でも中学時代はスーパーマンだと思っていたんですよね?

高瀬:そうそう、学生時代は自分のことスーパーマンって。何でもできると。私も生きていくなかで本当に人の笑顔が笑顔に見えなくなったり、笑うことができなくなったり、家から出られなくなったという時代もあったんですよ。そういう時期を経験して、結果思うのはやっぱり「うだうだ落ち込んでいても仕方ない」と思うようになったので。それが正解というわけではないですが、そういうふうに決めてみるのも一個の手だよと。

――そして雪妃選手も、いまフリーで活動されている同業者の方々に対するメッセージはいかがですか?

雪妃:メッセージ…自分もフリーランスでこれから学んでいく立場なので、何かメッセージというわけではないんですけれども、団体でやってきて「大会とはこうあるべき」とか、団体の中で「チャンピオンはこうあるべき」とか、「先輩はこうあるべき」とか。これはフリーランスになってもいろんな団体に参戦していくにつれて役割みたいなものを自分に課してしまう部分が絶対にあると思うんですけれども。この大会では役割はないので、個人として全員が戦うだけのことで、団体を背負うこともなければベルトを背負うこともなければ。なので、そういう個性をぶつけて、「1試合目だからこれはやっちゃいけない」とかはないし、「メインイベントだからこれをしなきゃいけない」もないし。「先輩だから」とか「後輩だから」とかじゃなくて、ただ個人、フリーランスとして活動している自分個人をお互いが発揮できる場になったら、それは何かここ独自のことなのかなというふうに思うので。自分を開放したいなという思いはありますね、せっかくなので。

――なるほど。悪いほうの(雪妃)魔矢じゃないほうの、また新たな第三の真矢が。フリーの真矢。

:ああ、それいいよね。

高瀬:リングで感性を爆発させていただいて。

――第三の真矢が出ちゃうんじゃ?

雪妃:このフリーランスになったら何でも挑戦者のつもりでやっていきたい、というのがあって。なので興行を企画する、こういうこともそうだし、海外に行きたいとかもそうだし、何か、黒の魔矢だからとか、真面目なほうの真矢だからとか、そういうのは全く関係なく、どんな顔でも出せるような、何でもかんでも開放して何でも挑戦してっていう姿勢で活動したいなというふうには思っている感じです。

――またそういう部分が、全然また違う「え?そんな人だったの?」って言われるような。

雪妃:そう。だから期待するのはやめてほしいんですよ。

――そうなんですか。

雪妃:きちんとしているいい子ちゃんで、しっかり者で、というようなことは期待しないでほしいんです。

――私にそういうイメージをかぶせないでと。

雪妃:かぶせないでほしいです。

――ここでは本当に自由気ままな本来の雪妃真矢が垣間見られるような感じなんですね。

雪妃:そうですね。

 

⑥夏すみれから一言

――最後に発起人として今回このメンバーの皆さんにお声がけされて、いろいろと裏方で活動されるという夏さんは他のフリーの選手に対してメッセージはありますか?

:フリーの選手へというよりは、プロレス界、人口も多いので、なかにはちょっと志半ばでプロレスを諦めてしまった子というのも、実際に私のまわりにも何人かいまして。そういう子に「戻っておいでよ」というお話をしても、「戻りたいリングがない」ということをよく言われていたんですね。正直、私もこの2年間で、1日もプロレスのことを考えない日はなかったなんてことは言えなかったんです。むしろ、最近やっと試合が見られるようになって。2年前はゴングの音とかを聞くだけでちょっと胸がざわっとして見られなかったんですね。やっぱりそのときに、同じことを思って。「復帰したいリングがない」と。だから復帰したくない、という考えに至ってしまっていたんですけど。この大会が、さっき他の選手の話にもあったとおり、キャリアとかそういうのは関係ないと思ってやってほしいですし、むしろ私は、この言い方をすると語弊があるかもしれませんが、選手ファーストでいたいんですね。あくまで私の中の考えは、選手が楽しんでいないとお客さんも楽しめないと思うので。選手が楽しんでいなくて嫌々やっても、多分お客さんも楽しくないんですよね。だからやっぱり選手がまず最初に楽しんでほしいという気持ちがあるので、そういう空間を、場を設けることができたら、いつかそういう、志半ばでプロレスを離れてしまった子にも新たな道というか、「団体でもないよ、ユニットでもないよ、でも本当に試合がしたくなったらおいでよ」と言える場所があってもいいかなと思っているんですね。それはやっぱり自分自身にとっても自分を奮い立たせるというか。実際に「フリーランスサミットをやりたいんです」って声をかけたときに、こうやって3人が協力してくれて、こうやって会見をするというところまで実現できて、だいぶモチベーションとしても上がりましたし、ずっと「そういう場があったらいいのに」と思い描いていたことが、みんなのおかげで叶っているので。なので、ちょっとプロレスから離れてしまった子にも希望を与えられたら、よりプロレス界全体がもっと面白くなるんじゃないかなと思います。それと、ファンの人も応援していた選手を途中で見られなくなるというのはすごくつらいと思うので。

雪妃:俺の推していたあの子はどこへ行っちまったんだ?って。

:本当に気持ちがわかるんですよ。

――悲しいですよね、ファンにとっては。

:気持ちがわかるんです。そういうファンにとっても希望になるんじゃないかなと思って。結局いまの時代は令和なので、甘えかもしれないんですけど、選手が心に負担がなく楽しめる環境が一番良くないですか?もちろん厳しいのも必要なんですけど。

――選手自身が楽しんでいないとファンの皆さんもより楽しめないと思うので、その考えはとてもいいと思います。

:すべてがすべて、プロレス業界そういう場所ばっかりになってしまったら、それはちょっと本当にお遊戯会になってしまうんですけど、厳しい世界だからこそ1ヶ所こうやって、この大会に上がるときは楽しいわ、控え室から楽しいわっていう興行を作っていきたいですね。

――今日は皆さん名言連発して頂きました。イベントの大成功を祈念しております。本日はありがとうございました。

フリーランスサミット『NOMADS’』
■日時:2022年5月20日(金)18:15開場19:00開始
■会場:新宿FACE
《参戦既決定選手(順不同)》
山下りな、雪妃真矢、高瀬みゆき
SAKI、安納サオリ、朱崇花、優宇
※追加参戦選手は決定次第発表。

▼公式Twitter
https://twitter.com/NOMADS_fs
▼公式Instagram
https://instagram.com/nomads_fs
▼大会情報
https://note.com/nomads_fs/

▼オンラインでのチケット購入
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▼プロレスショップチャンピオン
http://champion-shop.jp/tNOMADS0520.html

インタビュアー:山口義徳(プロレスTODAY総監督)

▼会見の様子はこちらから視聴可能

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