【アクトレスガールズ】風香アドバイザーインタビュー<前編> 「アクトレスガールズを守るために残った子が痛い目に遭うのは可哀想。何かお手伝いが出来れば、と入ってみたら……」

今年8月、アクトレスガールズのアドバイザー就任を発表した元スターダムGMの風香さん。アドバイザーとして、アクトレスガールズのメンバーの指導やコスチュームなどのプロデュース、スポンサーやメディア関係へのプロモーションなど精力的に活動している。

今回は「風香さんに『ぜひ見てほしい』と言われて、10月の後楽園ホールと11月の新木場ファーストリングで初めてアクトレスガールズを見た」という格闘技ライターの茂田浩司氏が風香さんをインタビュー。12月29日の後楽園ホール、年内最終公演を控えた風香さんに、この4か月間で感じた「アクトレスガールズの現状、その可能性と未来像」を聞いた。

やる気もモチベーションも危機感もあるのに
『どう見せるか』が分かってなかった。

――アドバイザーに就任されてから4か月、手応えはいかがでしょう?

「私はすごく手応えを感じてます。8月の後楽園ホールで初めてアクトレスガールズを見たんですけど、私は情を入れてしまうと温かく見てしまうので練習場所に一度挨拶に行っただけで、あえて選手との繋がりを持たないようにしてて。全く情報がない状態で試合を見てみたんです」

――フラットな状態で見て、どう思いましたか?

「悪い表現になってしまうんですけど、正直に言うと『文化祭みたいだな』って思いました。なんでこのタイミングで笑ってるんだろう? なんで出来ないドロップキックをやるんだろう? そんな感じのことが多くて、とてもいい選手で期待していた青野(未来)さんも彼女の良さが出ていなかったんです。確かにキラっと光る逸材は何人もいるんですけど……。だから、そんなにやる気がないのかな、という印象でした」


青野未来


青野未来

――そうだったんですね。

「でも練習を見に来たら、みんなモチベーションが高くて、すごい危機感を持って取り組んでいたんですよ。後楽園ホールは全員が試合に出られるんですけど、新木場では半分ぐらいしか試合に出られないんです。だから試合に出るためにも練習を本当に必死になって頑張っているんです」

――やる気やモチベーションはあるのに、試合では上手く見る人に伝えられていなかった、ということですか?

「シンプルに『どう見せるのか』が分からなかったのだと思います。それなら、私がテコ入れする部分がたくさんあるなと思って一気にいろんなことをやり始めたんです」

――かつて風香さんがGMを務めたスターダムの旗揚げの頃は、愛川ゆず季さんを始め、プロレスを見たこともなかった人たちを一から教えましたね。アクトレスガールズはまた違いました?

「スターダムの時は、デビューが決まっていた愛川さん以外の子は私がそこらへんを歩いてるような子に『プロレスをやってみませんか? 私が絶対に商品にするから!』っていう感じで誘ったんです(笑)。アクトレスガールズの子たちは、舞台とかグラビアとかで選ばれてきた子たちなので素材が全然違うんですよ。実際に教えてみて『すごい! かなわない!』って思う部分がたくさんあります。たとえば『リングの上でどう見せるか』という表現の部分でアドバイスを1つしたら、これは大げさではなくって10ぐらい伝わる感じなんですよ」

――なるほど。打てば響く人たちなんですね。

「だから教えていても楽だなと思いますし、実際に試合を見て貰えたら分かると思うんですけど、良くなっていくスピードが私が想像していた以上に早いです。どんどん良くなっていくので、驚いていますね」

 

中に入ったらやれることだらけで、
スターダムの時よりたくさん仕事を抱えてます。

――アクトレスガールズは昨年12月31日に「プロレス団体としての活動終了」を発表しました。コロナ禍でどの団体もイベント集客に苦しむ中、アクトレスガールズも試行錯誤して、その結果が風香さんのアドバイザー就任だったと思いますが、今もそのことに引っ掛かってるファンの人もいますね。そこはどう考えていますか?

「私はそのことをそんなに知らなかったのと、アクトレスガールズを舐めてて申し訳ないんですけど『誰も気にしてないだろう』と思ってたんです。そうしたら、アイスリボンの朝陽ちゃんが会場に来てくれた時に『賛否の声があった』と聞いて、それだけ注目されている団体なんだって思ったんです。何でもポジティブにとらえてしまうんですけど(笑)、そういう時に私はいつも『小川さんだったらどうするんだろう?』と思うんです」

――現スターダムエグゼクティブプロデューサーのロッシー小川さん。風香さんとは、現役時代は風香祭のプロデューサー、そしてスターダムを一緒に立ち上げた方ですね。

「はい。みんな批判があると『じゃあ辞めようか』となるんですけど、小川さんは批判があっても『注目されてる今をどう活かすか』を考えるんです。だから私は、アイスリボンさんとのこともやると決めなら貫いた方がいいと思ってます。そうじゃないと団体を守るために覚悟を決めて動いた朝陽ちゃんの立場がなくなってしまいますから。今はアイドルがプロレスをしたり、それこそフワちゃんのプロレスデビューが話題になってる時代に『アイドルやタレントを辞めてプロレスラーになれ』という人はいないですし。だから私は難しく考えずに、もっと柔軟に考えていいんじゃないかと思っていますけど、その辺りのことは坂口代表にすべてお任せしています。私は、アクトレスガールズのメンバーがどうしたら報われるかだけを考えて、アドバイザーになったので」

――そうなんですね。

「はい。私にアドバイザーの話があった時はアクトレスガールズの業績が落ち込んでいて『プロレスは辞めるかもしれない』と聞きました。その時は坂口代表と青野さん、夏葵(なつき)ちゃんたちがうちに来てくれたんですけど、この子たちの居場所が無くなってしまうのか、アクトレスガールズを守ろうと残った子たちがこうやって痛い目に遭ってしまうのは可哀想だなって思って。子育ても少し落ち着いてきたから、微力ながら何かお手伝いが出来ればいいな、と思ったんです」

――今はもう「お手伝い」の域を越えて(笑)、ガッツリと関わっていますね。

「最初は代表も控えめに『試合を見て何かアドバイスしてくれると嬉しい』という話でしたけど、入ってみたらやらなければいけないことだらけで。まずプロフィールの写真がなかったり、発信ごともしていなかったり。やれることが一杯あるんだからやった方がいいんじゃないかなって動き出したら、あれもこれもになって、今はスターダムの時よりもいろんなことを抱えてます(笑)」

――本当にお忙しそうでこの取材日もなかなか決まらなかったんですよね。お給料を貰いながらやっているんですか?

「そうですね。昔と比べると少ないですけど、お金は全然いいと思っているんです。子供がいるから、もし子供に何かあったら辞めなくてはいけないですし。一生懸命に責任を持ってやるんですけど、100%の責任は持てないから。スターダムの時も別にお金儲けしようと思ってなくて、無償で始めたのが団体が大きくなって気づけばどんどん入って来てた感じだったので。アクトレスガールズも上手くいけばいいなー、という感じで。お金って後から付いてくるものだと思ってるので」

――アクトレスガールズのメンバーはどうですか? 以前、SNSで「練習時間を確保するために空いた時間は生活のためのアルバイトをギチギチに詰めてやってる」と見ましたけど。

「少しずつは良くなってると思います。私が最初、全員を集めてミーティングをした時にみんな大変な思いをしていることが分かって、じゃあちょっとずつでも収入を増やしていけるようにしていこう、と話して。私が入った後の新木場大会は『3か月ぶりの新木場』と聞きましたけど、今はコンスタントに月3大会とイベントをやって、お客さんが増えて来た分、比例してグッズの売り上げも増えてるみたいです。具体的な金額は知らないですけど、収入は増えてると聞いてます」

 

選手のプロデュースは「ひらめき」で。

――風香さんの手腕として「選手育成」がとにかく上手いことと、選手の個性を引き出す「プロデュース」がありますね。そのプロデュース方法はどうやって身に付けたものなんですか?

「そうですね……(しばし考えて)。一緒にいると『ひらめく』んですよ。たとえば、世Ⅳ虎(現世志琥)ちゃんは今でこそ誰が見てもヒールですけど、デビュー前は『私は風香ちゃんみたいな衣装が着たくて、風香ちゃんみたいにコルバタをやりたくて~』とか言ってたんですよ(笑)。だから『みんな、この子をどう使うんだろう?』と思ってたんですけど、スパーリングの表情を見てたら『絶対にヒールだ』と思って。あとはウソも混ぜながら(笑)乗せていったんですよ」

――全身金色の特攻服は分かりやすくて一発で覚えましたし、個性も引き立ちましたね。

「ビジュアルに関しては、撮影しながら『ちょっと止まっておいて』『前髪をこうするね』とか、どこを隠したら可愛く見えるのかとか、イメージカラーもいろんな色と顔とを合わせてみて、これ違うな、この色の方が似合うな、とか。そうやって一緒に作り上げていくプロデュースでしたね」

――アクトレスガールズはすでにそれぞれが「キャラクター」を持っている印象ですけど、風香さんはどういうプロデュースをされたんですか?

「最初に見た時のイメージは、いろんなキャラクターがいるんですけど、いろんなキャラクターがごちゃごちゃしてて、誰がなんだか分からない印象だったんです。なので、それは整理しなきゃいけないなと思いました。たとえば、フリフリアイドルが何人かいるんですけど、その中に体が大きくて『私にはヒールにしか見えないなー』と思ったのが入江彩乃ちゃんだったんですよ。彩乃ちゃん的には試合中もアイドル的な笑顔でいたのかもしれないけど、私には相手を痛めつけてるのに笑顔だから妙に怖くて(笑)。だから『彩乃ちゃん、ヒールじゃないの?』と言ったんです(笑)」


入江彩乃


入江彩乃

――「アイドルだからヒールはちょっと」みたいな拒絶反応はなかったんですか?

「それが、彩乃ちゃんに限らずなんですけど、私が『こうした方がいいんじゃない?』と言うと、みんな素直に聞いてくれて、その上で自分でキャラクターを作り上げてくるんですよ。それで『これでいいですか?』と聞かれて、基本的にダメということは絶対にないです。本当におかしければ修正しますけど、基本的に自分の気持ちが乗れるものをやってほしいので。今はアクトレスガールの中でいろんな動きがありますけど、スタートが私のアイディアであっても、自分たちで考えてプロデュースしてやってくれてます。スターダムの時は『何をどうしたらいいか、全部分かりません』と言われて、私が全部決めたりすることもあったんですけど」

――先日は「ブルドーザー轟(とどろき)」さんの衝撃的な登場を目撃しました。

「ブルドーザー轟さんは『withなんとか』の形で試合が組まれて、マネージャー的な役目だったんですけど、毎回乱入してタックルでバンバンなぎ倒したり(笑)。その試合の中で一番プロレスラーらしくてしっかりしてたんですよ。その後に、新木場で試合が組まれてない時にもお手伝いに来てくれていた時に『試合はやらないの?』と声を掛けたら『実は悩んでいるんです』と言うから。『悩んでるならやった方がよくない? 絶対に出来るよ』と」

――風香さんには出来る確信があったんですね。

「轟さんは『出来るか心配です』って言ってましたけど、あれだけ大きい子が細くて小さい子と同じことをやる必要はないし、出来ないことがあっても当たり前だから、出来ることをやったらいいんじゃない、っていう軽いノリで言ったら『やりたいです』って(笑)。だから『バイパーって知ってる?』って、スターダムに来てたバイパーという体の大きな選手の試合映像を参考に見て貰いました」

㊧夏葵 ㊥皇希 ㊨青野未来

――演出家がヒントを与えて、俳優側が考えて役作りする作業そのものですね。

「本当にそう思います。だから『みんな、飢えてたんだな』って思います。私が一つ言うと、ワッと食いついてくるぐらい自分のポジションを作るためのヒントとか、きっかけが欲しかったんだと思います。以前のアクトレスガールズは、メインを務められる人が青野さん、澄川菜摘、松井珠紗(みさ)ちゃん、茉莉(まり)ちゃんとか限られた人しかいなくて、大きな会場のカードがあまり変わりばえしなかったんですよ。トップどころに絡める選手が増えないと面白くなるはずがないと思ったので、まず中堅の子を育てるところからと思ったんです。それで、ある子を仕掛けようかと思ったら『無理だよ』と反対されて。言われてることは分かるんです。まだ間が悪かったり。でも、何か足りないからダメとかそういうことじゃなくてイケるからって。そうしたら頑張ってくれて、あっという間に主力メンバーの中で遜色ない試合をしてくれています」

――キャリアの浅い人が成長したらトップどころの人たちにも刺激になるでしょうし、いい環境が出来ていますね。

▼後編に続く

【アクトレスガールズ】風香アドバイザーインタビュー<後編>「体を痛めながらプロレスに打ち込んでいるのに『この痛みが報われていないな』と思う。いろんなメディアに出してあげたいし、海外や地方でも公演してアクトレスガールズを広めたい」
https://proresu-today.com/archives/207406/

【大会情報】
アクトレスリング後楽園ホール公演
12/29(木)開場17:30 開始18:30
会場:東京・後楽園ホール
詳しくはこちら>>>

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