【ドラゴンインタビュー】藤波辰爾が病と闘う初代タイガーマスクを元気付けるべくSSPW参戦!船木誠勝との対戦や“ストロングスタイル”にかける想いを熱弁!
■元・付き人の船木誠勝と久々の対戦を前に燃える思い――「彼は彼の中の“プロレス”を背負ってんじゃないかな」「リングに上がる以上はお客さんに見せられる身体を作る努力をしている」
――船木選手は37年前に藤波選手の付き人となり、藤波選手もデビュー前から見ていた選手だと思います。船木選手についてはどういう思いを持っていますか
改めて今日、(付き人になったのが)37年前って聞いてねえ……。彼はその当時はまだ初々しい15歳で。僕が入門したのが16だったから、ホント変わらないくらいでプロレス入ってきたんだ。そのときは僕がジュニアでまっしぐらで、周りを見る余裕が無くて、とにかく走ってた頃で、彼に目を留めるアレもなかったけど、彼の性格はものすごい真面目でね。 自分の目指すものっていうのがしっかりあって、ものすごくストイックなんだよね。だからこそ今でもあの身体をキープしてんだろうし、ましてや動きも。そういう部分では、レスラーっていうのは本来、彼自身が色んな格闘技を見ている中で、“プロレスとは”っていうのが彼の心の中にあって、それを貫いてるんじゃないかな。
――船木選手も、初代タイガーマスク選手とは違った分野でプロレスの新たな可能性を拓いた選手ですね
ジャンルの違いで、どうしても今の総合格闘技ってのが……どっかで誘惑されてる部分があるけど、「違うんだ!」っていうのをね。本家の我々のスタートがそういうものだった。今でも彼自身の気持ちの中で背負ってんじゃないかな。それは大事なことだよね。ドラディションも今度11月17日に(後楽園ホール大会を)やるんだけど、常にカードの中に彼を入れてるっちゅうのはね、プロレスってのは僕なりに意識をしているし、そこにはいい時代のプロレス、いい時代の新日本プロレスっていうのかな。ファンもそれはだぶらせて見ているでしょうね。
――今回は久々の対戦となります。今でも高い壁でいたいと思うのか、対等にぶつかり合いたいのかで言えばどうでしょう
まあ、高い壁なのか。彼が僕を壁だと思ってるとしても手加減なく、容赦なく来るでしょうし、その方が自分自身もね、リングに上がるからには変に顔を合わせればいいんじゃなくて、闘うからには眼の前に来れば、俺は俺なりに気持ちの上でちょっと変化があるだろうしね。僕自身がリングに上がる以上は、ただ顔見せで上がるんじゃなくて、リングに上がる以上はお客さんに見せられるようにちゃんと身体の手入れをしたいね。僕も50周年になるまでやればね、足も腰もハンデを背負ってるけど、そういうのはどっかに忘れてね、自分の身体を前面に出していく努力をしているつもりだしね。
――今回の対戦相手の1人である高岩選手についてはどうでしょう。高岩選手も新日本ジュニアの一時代を創った偉大な選手です
彼もかなりいいキャリアを持ってんだけど、タイプは俺とも船木とも違うよね。だけど、みんな基本的には猪木の門下生ですよ。リングに上ったら顔つきも違うし、リングに上がるときの心構えみたいなものが通じているってのは、彼からも感じますよね。
――宮本裕向選手とは初対戦でしょうか
多分、初めてかなあ?多分どこかで会ってるとは思いますよ。リングに上がって肌を合わせるのは初めてだと思う。
――宮本選手は“デスマッチヤンキー”の異名を持ち、佐山先生が主宰する掣圏真陰流のトーナメント優勝経験も持つ実力者です
あまりそういうのは、僕は誰が相手でも考えすぎないように。常にリングに上ったら眼の前に立った敵には初対戦と同じようにかかっていく。それくらいじゃないと、若いときとは違って、今は人のことをあれこれ考える必要も余裕もないんでね。
――初代タイガーマスク選手の一番弟子であるスーパー・タイガー選手についての印象はいかがでしょう
彼は僕らに無い、僕らとは違った格闘技でやってきたものを持ってますから。まだ対戦は無いけども、僕は僕なりにすごく興味を持って見てますよ。格闘技でやってきたものの上に、彼自身もプロレスの動きを吸収しようとしているし。
――師匠である初代タイガーマスク選手の面影を感じているか、全く別の選手として評価しているかではどちらが近いでしょうか
僕らにそれを聞くのは酷ですよ。初代タイガーマスクは誰もが真似出来ない。僕らは僕らなりにタイガーマスクは別格に置いてるから。確かに、蹴りは今のスーパー・タイガーも弟子であるだけのものはあるけど、やっぱ……違うんだねえ。うん。本人が一番よく分かってると思いますよ。初代タイガーマスクと比べて、自分たちには何が足りないのかは一番分かってると思う。でも、佐山くんのいい部分を吸収しながら成長してると思うしね。彼もストロングスタイルプロレスを任せられてるって部分では責任も重大だろうし。
――今回パートナーの1人でもある島谷選手についても初遭遇だと思います。身長は小さいながらしっかりと身体を鍛え込んでいて、「ヘビーに負けてたまるか」という反骨心を感じる選手です。ジュニアヘビー級の大先輩として島谷選手になにかお言葉を
そういう反骨心ってのは大事なことですね。諦めきれなくてプロレスの道に入ったんでしょうから。僕自身も恵まれた身体でこの業界に入ったわけではないから。でもね、せっかくストロングスタイルプロレスに上がる機会をいただいたんだから、もう1回タイガーマスクの全盛期の動きなり、佐山がよく言っていたようなことを思い浮かべながら、そういう気持ちをリングに出せばいいんじゃないかな。だからって佐山くんみたいなことをやれって言ってるんじゃなくてね。いいファイトを見せてくれればと思いますよ。
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