棚橋弘至社長は、新日本プロレスをどう成長させていくのか ~社長就任インタビュー・後編

レスラーとしてはIWGP世界ヘビー級ベルトを巻く。社長としては常設会場「猪木アリーナ」を作りたい

――社長になった棚橋さんが生まれて初めてする業務、って何ですか?

「ハンコ押しです(笑)。ハンコ筋が発達してきました(笑)。10キロのダンベルをハンコに付けてみようかな(笑)」

――(笑)そのひたすらハンコを押すという業務は社長になって知ったんですか。

「そうですね。各部署の上の人の印鑑がバーッと押してあって、最後に社長の欄が空いてるので」

――地方に行って、久々に会社に出社してみると机は書類の山が。

「無茶苦茶溜まってますよ(笑)」

山口総監督 そこで初めて組織の意思決定プロセスみたいなことも分かったりしますよね。

「そうですね。こんなに許可、承認が必要なんだ。しっかりした会社だな、と思いましたね。上場会社の子会社の社長ですからね」

山口総監督 僕も同じく上場企業の子会社の社長を務めたことがあって、結構大変でした。いろんな形のプロセスを踏まないといけないんで。

「そうですね」

山口総監督 それでも最終意思決定権者という形になるんで、その印鑑の1個の重みっていうのが。これからさらに重大な局面になったときこそきついと思いますよ。

「そうですよね。赤字を出してしまった興行とか、グッズとか(苦笑)。全然売れないじゃん、いや社長の印鑑をもらってるか、みたいなね」

山口総監督 そこで保守的になるのか、積極的にやるのかですけど、これからいろんな意思決定プロセスを踏んだり、キャリアを重ねて『最強の社長』になっていただきたいなと思っています。

「ありがとうございます」

――慣れない業務もあったり、いろいろと大変だと思いますけど。

「(すかさず)大変じゃないです。やりがいでしかないです」

――さすがです。「社長レスラー」になって、これはやりたいと思うことは何ですか。

「社長レスラー……、これはリング上ですか? リング外ですか?」

――どっちもですよね。社長であり、レスラーである。

「僕はそこを分けているので。『社長レスラー』という言われ方は本意ではないかな」

――なるほど。

「レスラーの棚橋弘至としてはやっぱりIWGPの世界ヘビー級ベルトを巻く。社長として1個目標は、常設会場を作りたいですね」

――おお!

「今、後楽園ホールが一番多いんですけど、どこかに3千人、4千人規模の常設会場で、新日本が出来ても月何大会かだと思うので、音楽だったり、演劇だったり、他団体だったりのイベントがあって、常に何かしら稼働しているアリーナ。そこに人が集まれば、その周辺の飲食だったりとか、街全体を活性するような」

――いいですね、プロレスの新たな聖地。

「築地とか再開発が進んでるところになるのか。土地とか建物を含めたらかなり大きい規模の事業になるんですけど、新日本プロレスの持ちアリーナを作りたいです。名称は『猪木アリーナ』にします」

――おお、猪木アリーナ!

「そうしたら、100年後、200年後、今のレスラーがいなくなってもアリーナの名前が残るんで。その時代の人が『この猪木って誰だろう?』と思って歴史をさかのぼると『新日本プロレスを作った人なんだ』となったり、その過程で棚橋に出会う可能性もあるかもしれないし。常設会場は一つの夢ですね」

――素晴らしい構想ですね。

「コロナ禍の前に案があって、少し動いていたみたいなんですけどタイミング的に逃してしまったので。何かプロレスファンが集まり、いろんなエンターテイメントが稼働できるアリーナにしたいな、っていう」

――夢のある話ですね。

「ディファ有明でノアさんがやりましたけど、あれはノアさんの持ち物ではなかったので」

――なるほど。

➡次ページ(絶対に「プロレスファンでよかった!」と思える瞬間を何度も創り出してみせます!)へ続く

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